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プロローグ

 でも、物事にはけじめってやつがある。


 誰かが責任をもって旧式の人類の物語に幕引きをしなければならない。


 さもなくば僕たちのような滅ぶべき人種が報われないよ。


 手をつねったら痛いと感じる人間たちがあまりに惨めだよ。


 悩み、苦しみ、悲しみ、もがいた人々が可哀そうでならないよ。


 だから僕と君が今日ここで、全人類が犯してきた罪を背負うのさ。


 絶対に背負わなければならないんだ。



 少年が、少女の肩に、父が転んだ赤子を抱き上げるようにそっと手をまわす。


 

 可哀そうに。


 あなたはなんて可哀そうな子なの。


 この世界に生きるすべての者が狂人であれば、つまりすべての者が常人。


 故に、その世界におけるたった一人の常人、その者は狂人となってしまう。


 あなたは、そのたった一人の常人。


 今日まで辛かったでしょう。


 さぞや苦しかったでしょう。



 少女が、少年の頭を、母が赤子をあやすように撫でている。



 俺は悲しい。


 悲しくて泣きたい。


 人間みたいに声を上げて咽び泣きたい。


 枯れ果てるまで悲しみの涙を流し続けたい。

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