#52 火龍のジャイアントレッグステーキ〜魔剣の目醒めは突然に〜(5)
巨大な丸鶏二匹、もとい火龍の仕込みが終わった。
特別貴重な内臓関連は、痛まないように壺に入れてディメンションボックスに入れておいて、街まで運んであげることにした。
あと、めぼしい素材やらは冒険者たちで分配することになるらしい。
グラニスたちにとって肝心な肉に関しては、二匹とも部位ごとにバラバラにして、こちらもディメンションボックスに入れさせてもらった。
足の一番おいしそうなモモ肉の部分だけを、勝利祝いに食べることにした。
「じゃあ、みんなもちょっと手伝ってくれ!」
巨大なドラゴンのモモ肉に冒険者たちの剣をガンガン刺して穴を開けていく。
バフ包丁でもきちんと刺しておく。
穴といっても、肉の弾力があるのですぐに埋まる。
それでも開ける理由は味を染み込みやすくするためだ。
「ミルカ! 塩持ってきてくれ!」
「了解っス!! ああ、あの街を思い出すっスなぁ」
海の街トルキアで仕入れた、上等な海塩をたっぷりとモモ肉に擦り込んでいく。
見た所、思っていたより癖がありそうな匂いはしないが、下味はしっかりつけておきたい。
そこにさらに、山中で摘んでおいた香草類をきざんでたっぷり揉み込んでいく。
ドラゴンの肉から少し水分がでてきて、テカリが増す。
肉の下ごしらえをしている間に、地面を掘って火を起こしてもらっている。
火炎袋の中の粉塵を少し混ぜて着火させたようで、すごい火柱があがっていた。
火を起こした穴の上に、丸太を乗せて、バーベキュー網の代わりにする。
その上に、男10人がかりで、下味をつけたドラゴンのモモ肉を乗せる。
「おお、もううまそうだなぁ!」
「あとはしばらく焼けるのを待つだけだな!」
じっくりパチパチ、焦らない。
◇
待ちきれない冒険者たちに、おあずけしていたエールやこれまで仕入れた珍しい食材の料理を振舞いつつ待っていると、いい具合にドラゴンの肉が焼けた。
「ついにドラゴンの肉が食べられるんスね!!」
「ああ、ちょっと俺も興奮している!」
ナイフで削ぎ落として、つまんでみる。
「うんんまぁあああああああああああ!!!!!!」
少し淡白そうな見た目だったが、とんでもない。
ものすごくジューシーで、かむほどに脂と肉汁が溢れ出てくる。
━━うまい、うますぎる……これがドラゴンの肉か……
「グラニスの旦那ばっかりずるいですよ!!」
「俺も食うぜ!!」
冒険者たちも思い思いに食らいつき、感嘆の声を上げている。
ジャニスが近づいてくる。
「ドラゴンの肉を食べられる日が来るなんて思いもしませんでした」
「これはジャニスが倒したドラゴンだからな。もしまた現れたら、自分で狩って食べてみればいいさ」
「はは! そのときに凄腕の料理人がいなきゃ意味ないですよ」
「ジャニスに、あんな実力があったなんて驚きっスよ」
「ほんと父さんに感謝しなきゃですよね。父さんみたいな剣聖になれるように、また修行をつけてもらおうと思います」
「その意気っス」
自信なさそうだった少年が、ここまで精悍な顔に変わるとは。
バフは勇気を与えるきっかけにもなるのかもしれないな。
それにしても、包丁が伸びたのはなんだったのだろう。
いつの間にかバフ包丁はいつもの大きさに戻っていた。
■作者からのお願い■
もし、少しでも面白かった、続きが気になると思われましたら、
【広告下から、評価☆☆☆☆☆→評価★★★★★】
【ブックマークに追加】
にて、応援いただけましたら嬉しいです!
読者の皆さまからの応援は、最高の励みになります。何卒お願いします!




