#49 火龍のジャイアントレッグステーキ〜魔剣の目醒めは突然に〜(2)
「「うおおおおおおおお!!!!!!!」」
冒険者たちから、歓声が上がる。
「ジャニス!! スゴいっス!!!」
ミルカがぴょんぴょん飛び跳ねている。
ジャニスは、剣についたドラゴンの血を振り払い、鞘に納め、グラニスとミルカの方を見上げてニコッと笑いかけてくれる。
「これで、この街道も使えるようになるな」
「そうっスね! 早く街に戻って報告するっス!」
よかった、依頼は無事達成だ。
冒険者たちに寄り添っての旅というのは初めてだったが、冒険者たちの成長が目の前で観れて、とても面白い。
「さぁ、それじゃ火龍を料理するとするか!」
「ドラゴン、どんな味なんスかね……」
そう言うミルカにふと大きな影が落ちる。
雲だろうか。
遠くでジャニスが何か叫んでいる。
グラニスは振り返る。
大きな鋭い牙。
まさか。
信じられない。
━━ドラゴンだ。
もう一匹いたのだ。
先ほどジャニスが首を切った火龍と同じ種類だろうか、体は黒くすんだ緑色。
「ミルカ、危ない!!!!」
グラニスは叫ぶ。
ミルカは「へ?」という顔をしている。
火龍は今にもミルカの首を噛み切らんとしている。
ジャニスは全力でこちらに走っている。
━━だめだ、間に合わない。
俺にできることはなんだ。
何もない。
何もないが。
「うぉおおおおおりゃああああああああ!!!!!!」
グラニスは叫んだ。
火龍に向かって飛び出していた。
そして、バフ包丁を両手で逆手にぐっと握りしめ、
「やめろぉおおおおおおおおおおお!!!!!!」
火龍の眼、めがけて振り下ろした。
ザクッ!!
という音ともに、包丁は火龍の眼球に突き刺さる。
グォォオオオアアアアアアア!!!!!
火龍が咆哮をあげる。
頭を振り回して、グラニスを振り払おうとする。
「うぉっぉおああああああああああ!!!!」
グラニスは振り払われそうになりながらも、包丁に持ち手につかまって、火龍の頭にふんばり離れない。
「師匠!!!!!!!」
「ミルカ!!! 離れろ!!!!!!」
「そんな!!!!」
ミルカは動けずにいる。
こいつを何とかしなければ。
ジャニスが近くまで追いつく。
しかし、火龍が火炎を吐き回しはじめ、なかなか近づくことができない。
━━俺が倒すしかない。
そんな無謀なことが思い浮かんだ時には、体が動いていた。
頭の上に体をずらす。
包丁を持つ手を思いっきり引き抜く。
火龍の眼から血しぶきが溢れる。
そして、引き抜いた包丁を脳天に突き刺した。
━━浅い……
しかし、ここで諦めたら……
もう一度引き抜き、火龍の脳天に突き刺す。
そのとき、不思議なことがおきた。
包丁の刀身が大きく輝き出し、そして、そのまま……
━━火龍の頭を貫通した。
普通の包丁が伸びたのだ。
出刃包丁ほどの刀身が、太刀のような長さに。
「えっ?」
火龍はそのままどさりと地面に倒れこむ。
その衝撃でグラニスは振り落とされる。
ミルカが駆け寄ってくる。
「師匠! 師匠!! 大丈夫っスか!!!」
少し涙目だ。
「あ、ああ。大丈夫、大丈夫だ」
火龍は、口を半開きにして、絶命しているようだ。
「俺が……やったのか?」
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