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第5話 懸賞金1万の男 

本日3回目の更新です。明日からは20時くらいに更新すると思います。

憎きスライムを撃退した俺は更に数分歩き続けるとようやくバリエスタの町が見えてきた。


100年経ったにも関わらず外から見た感じはあまり変わっていない様子になぜか少しほっとしている俺がいる。


更に進むと町の門付近に立っていた門番らしき男2人と目が合った。



「こんにちは」



俺が少し遠めから挨拶すると、門番の男も挨拶を返してきた。


ニートは対人性能が著しく劣っていると思われがちだが、それは一部のいわゆる引きニートと言われる者達に多く見られる症状である。


俺はニートだが、引きニートではない。


働くのが嫌なだけで買い物に行くこともあればちょっと遊びに出かける事もあるニートの中ではかなりアウトドア派なニートなのである。


俺が近くまで行くと、門番は俺の顔をさりげなくチェックするような視線を向けてきた。


門番の仕事には魔物の侵入を防いだりする他に犯罪者を町に入れない事も含まれる。


だからそんな視線をさりげなく向けるのは当然の事なのだが、門番の一人がなぜか少し首を傾げた後に「いや、まさかな」と呟いた。


当然俺は犯罪など犯していないので門番の呟きをちょっと不思議に思ったが、特に問題はなかったのか門番は笑顔で俺に言った。



「ようこそ、バリエスタへ」



「あぁ、ありがとう」と俺も笑顔を返し、バリエスタへと入って行く。



問題なくバリエスタに入る事ができたものの俺は先程の門番の呟きが気になったので、通り過ぎた後振り返らず門番の会話に聞き耳を立てていると門番たちの会話が聞こえてきた。



「なぁ、今の人、ちょっと似てなかったか?」



「ん? 手配書にあんな顔の奴いなかっただろ?」



「いや、手配書じゃなくってアレだよ」



「……あぁ、アレな。まぁ確かに似ていたかもな。それで?」



「それでってお前……。いや、すまん。他人の空似だな」



「そんな事より今日あたり一杯どうよ」



「あー、最近カミさんがうるさいんだよ。子供が出来たばっかだしな」



「おーおー、自慢かよ。いいよなー、美人の嫁さんがいる奴は」



そんな真面目そうな男とちょっと寂しそうな独り者の会話が続いたので俺はそこで盗み聞くのをやめた。



(俺に似ている有名人でもいるのか? まぁ俺には関係ないか)



そんな事を思いつつ俺は冒険者協会を目指し歩くのだった。


少し歩くと目的の冒険者協会の建物が見えてきた。


立地も変わらず、建物自体も所々修復した箇所も見られたが、ほとんど100年前に訪れた時のままだ。


その他の町の景色も建て替えや新しく建て替わった物もあった風に思えたが、雰囲気自体は100年前とそんなには変わっていないようだ。


俺は早速冒険者協会の中に入ると、昔と変わらない光景がそこにはあった。


賑わい合う冒険者が依頼の話やつまらない雑談などに興じている。


流石は高ランク依頼を複数取りそろえる人気の冒険者協会である。


昔と全く同じというわけではないだろうが、魔物の分布や魔界やその他の町の位置関係が変わっていなければ恐らく今でも似たような依頼があるだろうからな。


とはいえ、当然ながら見知った顔はいない。


そもそも100年前も所属していたのはたったの3日間なのでそこまで知り合いは多くはないのだが。


特に話す相手もいないので俺は真っすぐ受付へと向かい冒険者登録を済ませることにした。


俺が受付の前まで行くと、笑顔の受付嬢が俺に話しかけてきた。



「こんにちは。こちらの冒険者協会は初めてですか?」



「はい、冒険者登録をしたくて」



本当は初めてではないが、本当の事を話すわけにも行かないので俺はそう受付嬢に答える。


すると、なぜか受付嬢から見つめられるような視線を送られた。



「えっと、なんですか?」



「い、いえ、なんでもありません。失礼いたしました」



受付嬢は自覚があったのか素直に俺に謝ると、冒険者登録についての説明を始める。


先程の門番の男の似たような反応だった。


本当に俺に似ている有名人でもいるのだろうか。


自分で言うのもなんだが、転生した俺は転生前の冴えないおっさんではなくそれなりに容姿は整っている。


この世界でも日本の芸能人ほどではないが有名人はそれなりにいる。


王族はもちろんだがその他に上位の冒険者などもそうだろう。


あまり目立ちたくないので俺的にはあまり好ましくないのだが、かといってそこまで気にするほどのことはない。


そんな事を思いながら俺はなんとなく説明中の受付嬢の後ろの壁に貼ってある張り紙に目が行った。


数ある張り紙の中に少し大きめの物があったからかもしれない。


その少し大きめの張り紙はどうやら手配書のようだった。


真ん中にデカデカと似顔絵が書いてあり下の方には懸賞金らしき数字とさらにその下には小さく注意書きが書いてあった。



(犯罪者にしてはかなりイケメンだなー)



というのが俺の第一印象。


だがよく見るとなぜかその顔にはなぜか既視感があるように思えた。


まぁでもそんなわけがないが、次に目が行ったのがその懸賞金。


なんと1に0が5つもついている。



(1万銅貨……? おいおい、すげー懸賞金だな。金貨100枚かよ)



ちなみにこの世界の銅貨は10枚で1銀貨、10銀貨で1金貨だ。


つまり100銅貨で1金貨となるので1万銅貨はなんと100金貨にもなる。


俺の見立てではなんとなくだが1金貨が10万くらいの価値があると見ているのでざっくり日本円計算で1000万円の賞金首という事になる。


中々の大物賞金首と言って良いだろう。


だが、ふと俺は疑問に思った。


別に1万銅貨など大きな数を用いなくても普通に金貨100枚で表記すればいいのではないかと。


気になった俺は再度金額の所を見ると、凄い事に気付いてしまった。



(えっ? 銅貨じゃ無くね? 金貨1万枚って書いてるぞ)



途方もないとまではいわないが常識的にはあり得ない金額である。


なんせ俺が四天王を討伐して貰った報奨金よりも高い額なのだから。


どこの世界に魔王軍四天王よりも懸賞金の高い犯罪者がいるというのか。


海賊王かなんかですか? もしくは魔王?


そんな事を思っていると俺が後ろの手配書をガン見していた事に気付いた受付嬢が俺に笑いながら言った。



「あぁ、これですか? ちょっとあなたに似ていますよね」



あぁ、確かに言われてみれば俺に似ている気がしなくもないが流石の俺もあそこまではイケメンではない。


手配書の男はあのリティスリティアのお兄ちゃんと言われてもギリ許容範囲に入るくらいのイケメンである。


受付嬢は笑みを浮かべたまま冗談っぽい口調で更に手配書の話を続けた。


「これはですね。昔、人間界侵攻を企んだ魔王が送り込んだ四天王を一人で打ち破った伝説の勇者様を探す為に聖鎧勇者様がお作りになられた物なんです」


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