倭国
倭国
黒霧を越えて日本国に接触した国家。瘴気内随一の外交機関と諜報機関を持つ。協力を得られれば心強いが、その為にはこちら側も相応の交渉力が必要となる。
・日本列島と同じ面積を持つ島国。日本国が転移して暫くは南海大島も領土だったが、今は独立させている。
・妖怪と人間が共存する世界でも珍しい国家。首都は「静京」。人口は6千万人。人型だけでなく、動植物、昆虫、不定形の妖怪がいるため、意外と人口は多いが数に入っていない者達もいる。
・以前は人と妖怪で血で血を洗う戦いを繰り広げていたが、畜産技術の発展で少しずつ争いが減っていき、今の状況ができあがる。
・人魔大戦時には大陸から難民を受け入れていた。大戦の情報を国政に活かし、人間との共生に舵を切る。また、古代文明の複合魔法兵器に対抗するため、「障壁」の術を完成させる。
・最高権力者は半人半蛇の大妖怪フタラだが、政治は議会が決める。
・いかなる理由があっても食人は禁止されているが、抜け道も多い。神格化されているフタラの元には毎年のように「共に居たい(私を食べてください)」との願いが届く。
・食人が禁止されているため、食人妖怪の不満が高い。
・同心会は食人妖怪達最後の砦であり、「好きに生きる」を実行しているアカギが絶大な支持を得ている。
・倭国に眠る魔石「紅魔石」の影響によって突然変異が起きていて、妖怪や妖魔の発生源となっている。
・フタラ神殿の神官達は紅魔石の影響で荒ぶる地脈を鎮めている。おかげで虫けらクラスの妖魔しか湧いてこない安全な国家を維持できているのだが、大妖怪にとっては虫けらでも、一般人には大きな脅威となっている。
・妖怪は全て魔族ではなく、大妖怪のみ魔族に該当する。しかし、黒霧外の人間は倭国人を全て魔族と見ている。
・大妖怪は全て首都の静京とその近郊で暮らしているが、大妖怪に匹敵する人間達も暮らしている。これは一般人と能力差があり過ぎるためである。静京の住人は特別な許可が出ない限り首都の外へ行く事を禁止されている。静京では何不自由なく暮らせるが、一部の住人は「監獄」と表現する。
・国の中心に魔族が住み、支配した他種族の集落を周辺に配置する構造は大陸の魔族国と同じである。人間のスケールだと倭国は帝国となる。
・宗教はフタラが信仰されているが、最大は神竜教。一部、女神教徒もいる。
・強力な外交機関と諜報機関を有している。
政治
議会制民主主義。全国各地の選挙で選ばれた者が国会議員となる。静京だけは独自の議会を持ち、倭国の中で独立している。
基本、長寿議員が多いので物事が中々決まらない。審議に百年以上かけているものが幾つかある。
外交
人魔大戦と凄惨な内戦の経験から平和主義、共存共栄思考となる。
人間への恐怖から諜報機関が発達している。他国へ人員を送り込み、内情を探り、必要があればあらゆる工作を行う。蜀では内部工作がバレて長年に渡り警戒されている。
ジロ戦争で暗躍し、ジアゾ勝利における最大の功労国となる。その関係で、ジアゾ合衆国は倭国と接触するため、黒霧の危険を承知で外交団を派遣した。
大陸唯一の魔族国「腐国」と国交を結ぼうとしているが、スーノルド国の保護領のため実現していない。
軍事
主に鬼族が牛耳っている。国は軍事にあまり力を入れていないため、地球の近世から近代程度の軍事技術である。兵器調達はとにかく威力が高い物、射程の長い物を選ぶ傾向にあるため、開発される兵器は破綻している物が多い。
人機の解析が行われ、コピー機体の「武神」が完成しているが、クリード系投射兵器をコピーできなかったため、武装は大剣を持たせている。勿論、機動性は悪く、実戦には投入できない代物となっている。
高い畜産技術を応用して戦用の魔獣を保有している。
パンガイア戦に備えて日本国へ装備の調達に来た担当者は、対装甲歩兵用に調達が始まったバレットM82を見て「次期主力小銃の最有力候補としたい」と語っている。
主な組織
同心会
大妖怪アカギを中心に集まった食人妖怪の集団。倭国政府にも匹敵する組織で、政府よりも遥か昔から存在している。昔は襲撃や破壊工作を行っていたが、オウマの取り締まりによって封じ込まれてしまう。現在は静京の食肉流通ルートに人肉を混入させるなどのテロ活動を行っている。
人肉の出所は東の離島、「養殖島」と「屠殺島」である。この2島は地図に載っておらず、海流の関係で帆船は到達できない。同心会のメンバーは小龍か海中を移動できる「大王ホタテ」を改造した生物船で移動している。
大陸の魔族国同様、人間を家畜としているが、家畜化技術を発明、確立させたのは魔族ではなく食人族である。魔族帝国が誕生する前、大陸の支配地域が広がるにつれ、魔族達は食人族も支配して知識と技術を吸収した。
日本政府(名も無き組織)と独自の窓口を持ち、「ナギ」を取引できないか交渉中である。主にコクコが取り仕切っているが・・・
フタラ神殿
フタラが管理する神官集団。主に地脈の維持を行い、魂を浄化する事が仕事。フタラと同じ種族の神官が大半を占めている。神官達のお陰で紅魔石の影響下でも大きな災害は起きず、魑魅魍魎が跋扈しない安全な国が維持できている。
お堅い仕事だが数年に一度、神官達が楽しみにしている神事がある。書くとノクターン行きになるので書かない。フタラはクチナと共に変装して参加している。
養殖島
鼠人を中心に、ヒト、獣人、エルフ、下級妖怪が一定数暮らしている。中には大昔に難破して辿り着いたジアゾ人の子孫も住んでいる。
それぞれの人種は島の各地にコロニーを形成して共存している。
島には妖魔の発生地域があり、住人の被害が絶えない。襲撃があれば島の管理者である同心会のメンバーが駆除に向かう。このことから、島の住人は大妖怪を守護者として崇めている。
住人は一定の年齢に達すると繁殖か屠殺の選定を受け、屠殺の場合は屠殺島へ連れていかれる。管理者は本人と周囲に「神に選ばれたので天国に一番近い島へ連れていく」と説明している。住人達は栄誉と捉えているが、長老クラスは実情を知っている。選定は管理者と長老達で行われていた。
屠殺島
家畜は鮮度が落ちないように眠らせた状態で配達される。食人が禁止されている倭国でアカギを始めとした妖怪が人肉に飢えていないのは、この島あっての事。実は倭国内の安定化には必要不可欠なので、暗黙の了解として長年見逃されてきた。
同心会の幹部用に狩場や加工の体験場所が用意されている。
月詠み(ツクヨミ)一族
兎人の一族。兎の特徴がみられる人間達。
大昔に倭国で「幸運の兎の手」が流行ったおかげで一族は姿を消し、他の人間と変わらずひっそりと暮らしている。現在は兎の手を作る事は犯罪とされているが、彼等が姿を現すことはない。
小百合が倭国に留学した際に家出中の兎人を見つけた事で鴉天狗と月詠み一族の交流が始まる。
登場人物
センジュウロウ
倭国の日雇い外交官。人と鬼のハーフ。実力があり、人、魔族両方へ対応できる彼が未知の転移国家へ派遣された。性格はおおらかで、人のやさしさと鬼の厳しさを併せ持つ。
ナギスケールだと上の下であり、大陸で旅をしていた際、ドラゴンライダーから避難民を守りつつ生身で返り討ちにした。
旅のついでに、大陸にかつて存在していた鬼族の痕跡を調査しているのだが、人魔大戦以降、大陸で鬼族を見た者はいない。
フタラ
半人半蛇の妖怪、大陸ではラミア種と呼ばれている。倭国における現人神。
聖女のような人柄として国民には認知されているが、その実態は一般妖怪と変わらない。
治世の術に疎いため、政治には基本口を出さない。政治家として国をけん引できる資質を持つアカギに国政を託そうとしているが、話は全く進んでいない。
ナギスケールは規格外の魔王。固有妖術「霊体化」を持つ。また、種族固有の技「締め上げる」は強力であり、捕まった場合はアカギですら締め落とされる。
大陸のラミア種は人魔大戦によってほぼ根絶された。
クチナ
神官であり、ラミア種。幼いころから神官見習いとしてフタラの世話をしている。出世した今は、本音をぶつけられる人物としてフタラ専用の付き人となる。
ナギスケールは上の上。陰の実力者であり、素手でセンジュウロウを倒せるほど強い。静城で封鎖されたパソコン部屋の管理を任されている。
コクコ
外務局長兼暗殺教団首領。8尾の妖狐であり、狐人から妖怪となる。
出世のためなら手段を選ばず、貪欲に行動して来た。「好きに生きる」を実行するために権力を手に入れるが、その過程で他人を動かす事に生き甲斐を見出す。生き甲斐はエスカレートしていき、今では国家を動かしている。
倭国が日本国と接触し、最初の会談で日本国を新しい玩具と認識する。日本国の求める物を求められる前に提供するなど、国内外で友好をアピールし、良好な関係を築く立役者となる。その過程で築き上げた外交パイプをフル活用し、南海鼠人、同心会、アカギといった問題を解決する。
静京以外では変装を多用している。大妖怪と一部の者以外、コクコの性別を判断できないが、これは変化の術を使用しているからである。術を見抜ける者と見抜けない者で相手の実力を計っているのだが、日本人と南海鼠人はコクコの仕草と雰囲気から性別を当ててしまう。
ナギスケールは中の上。8尾の割には弱いが、一般人からここまで強化できた者はいない。
妖狐となってからは鼠人が大好物となり、外務局と同心会の裏ルートを使って頻繁に食べている。親交を深めた者には、鼠人料理を勧める。
孤人時代に強姦された事が原因で子供が作れない体となっている。今も治療法を探していて、日本の先進医療にも手を出すのだが、名も無き組織が黙って見ているはずもなく・・・
妖狐や人狼、吸血鬼といった魔族はパンガイア大陸全土に生息していたものの、人魔大戦後に大規模な駆除が始まり、現在はほぼ駆逐された。
オウマ
倭国議会の議長。種族は不明。倭国発足当時から議長を務める正義感と責任感の強い人物。内戦中は中立の立場を貫き、不正義が行われた場合のみ人、妖怪、双方に助力した。
オウマは基本的に政治家は不向きだが、責任感から後任が育つまで議長を務めている。しかし、中々後任は育たず、議長選も形式化してしまっている。
数々の不正義疑惑のあるコクコを調査しているが、彼女の方が何倍も上手であり、証拠を掴めていない。また、個人的な理由があって同心会にメスが入れられない。
ナギスケールは規格外の魔王。妖力は他の2人に及ばないが、戦闘となれば3人の中で1番強い。種族、出生が不明な未知の妖怪。その正体は「隣国」から移り住んだ外来人。
新秩序確立戦争後は娘の成長と出世を陰から見守る父となる。
ゴウキ
軍務局長を務める鬼族。南海鼠人に兵器性能で差を付けられ、戦略、戦術共に有効打を与えられなかった前任者に変わって就任したが、次期主力小銃にM82を選んでしまう。
司令部以外戦場に出る事は無いものの、作戦行動中は愛用の拳銃「大蛇60」を携行している。勿論、60は口径の事である。
ナギスケールは中の上。
ノロ
諜報局、諜報部、潜入工作班「ビドゥン」所属。決まった形を持たない不定形の妖怪で、液状妖怪または寄生妖怪と呼ばれている。この組織に所属する者の名は全てコードネームである。本来は魔石鉱床にへばり付くようにコロニーを形成している原生生物に近い存在だが、知性を持つ者は倭国にしか生息していない。倭国以外では採掘、精錬の邪魔になるので駆除対象である。
魔石鉱床に根を張って魔力を得る生態を活かし、他生物の魔力回路に根を張る事で寄生して体を乗っ取ることが出来る。寄生された生物は抵抗して返り討ちにするか、乗っ取られて死ぬ以外ないが、寄生生物自体が弱い生物のため、対象が余程衰弱していない限り成功しない。また、衰弱させたとしても大妖怪クラスへの寄生は死を意味する。
ビドゥンのメンバーはノロと同種族が多数在籍して潜入任務に就いているが、他生物への寄生自体命がけの行為であり、魔族対策に脆弱なため、死亡率は激戦地の軍部隊より高い。種族の特性上、国内でもよく思われていないため使い捨てともとれる任務がほとんどだが、ノロ達は地位向上と待遇改善のために命がけで任務を遂行している。しかし、日本国が転移して来て日本人に寄生するように命令が下ると、多くの職員が辞表を残して去ってしまう。魔力回路の無い日本人には寄生のしようが無く、無理やり寄生すれば死よりも悲惨な「消滅」が待っている。
各国で潜入工作班の対策が進み、組織にとって暗黒の時代が訪れるが、南海大島で調査中のナギを捕獲することに成功し、ノロの後任が乗っ取ることにも成功する。
ナギスケールは規格外の低級妖怪。弱いが故に接近を許す結果となった。
ツヨシ
外務局職員の妖狐。7尾の妖狐で、コクコの右腕として表でも裏でも活躍している。
代々続く妖狐の家系であり、大妖怪でもエリートと呼ばれる存在だが、コクコの部下に成り下がっている。同心会のメンバーからは「金魚の糞」と揶揄されているが、コクコに従っているのは彼なりの考えがあっての事。
ナギスケールは上の下。
タマモ
外務局職員の妖狐。3尾の妖狐で、雑用をテキパキこなす新人。
ナギスケールは下の中で、魔族だったら平均的な能力を持っている。しかし、日本から来た「それ」にしてみれば魔族も人間も野生動物と変わらなかったようで、事務仕事中に行方不明となる。
アカギ
孤高の妖怪。妖怪ムカデの突然変異種。他者の圧力に屈せず、自身の生き方を通している事で同心会のトップに祭り上げられる。
ただの虫けらから始まり、知識ある者を捕食する事で知恵と知識を身につけて来た。賢者と謳われた姉のアマギを捕食した事で比類なき力を手に入れるが、余計な知識が身に付いたことで、彼女の葛藤が始まることとなる。虫けらのままだったら、余計な事は何も考えずに生きれた・・・
過去に2度、フタラを喰らおうとして返り討ちにあっている。1度目はフタラの毒にやられ、2度目は見事な締め技で落とされた。3度の失敗は許されるものではないため、フタラとの戦いは次が最後となる。
種族特性なのか、テリトリーに侵入されると怒る。とにかく怒りっぽい。霧氷連山の外へ散歩に出かけた際、上空を飛行する日本の航空機にも怒る。食事を邪魔した者は殺すため、緊急の用でも食事後となる。
基本、倭国の外には興味が無い。今は最優先事項が出来てしまったため、屋敷に引き籠っている。
ナギスケールは規格外の魔王。固有妖術「妖怪レーザー」は要塞級防御スクリーンでなければ防ぐことはできない。種族固有の技「抱きつく」によって抱きつかれた者は、可及的速やかに自殺することが推奨されている。
倭国を選んだ際の主人公キャラ。
倭国政府と日本国による討伐作戦が行われた際、フタラによって生まれたばかりの子供がいる事が判明したが、親と共に核で焼かれた。
アカギの屋敷は放射能汚染によって長年立ち入り調査が行われなかった事で、1匹の妖怪ムカデが生存している事を見逃してしまう。
カツラギ
妖怪鴉天狗。
春夏秋冬新聞社の記者。陰の実力者であり、人魔大戦を生き抜いて倭国へ亡命した過去を持つ。
国の特例で小百合の取材を行い、ナギの情報を公にした。
本人は抜けた気でいるが、同心会の上級構成員である。
セシリア・サイド
スーノルド帝国大教授学。魔族研究のために長期滞在しているエルフ種の女性。
最初はサマサを拠点にしていたが、倭国の実態を把握したことで拠点を倭国に移す。
魔法科学院で働くことで生活費と研究施設を確保している。
独自の理論を証明するため倭国に長期滞在しているが、自身の変化から理論が正しいと分かり、大学で発表する論文を書き上げた。
入国時と現在では見た目が大きく変わっている。
戦争に巻き込まれる前に大陸へ出国し、ついでに留学生のお守も任された。
夫のパラスとの関係は可もなく不可もなく。
ナギスケールは下の下、彼女を文字で表現すると変異エルフ、妖怪化エルフ。
次は蜀の紹介ですが、その前に新章を進めます。