日本国、異世界で外交に力を入れる!
日本国が蜀と接触してから1週間後、総理大臣官邸
「なかなか上手くいきませんね。」
総理は蜀との会談の報告を受け、ため息をつく。
日本国は外交団と共に自衛隊を派遣するという、地球では考えられない方法をとっていた。外洋にはどのような怪物が潜んでいるかわからないため、派遣される外交団には海上自衛隊の護衛艦を護衛につけ、蜀に上陸してからも不測の事態を想定して、陸上自衛隊の地上部隊とヘリ部隊の派遣も決定された。護衛艦の活動支援、上陸してからのサポート等で結果的に規模の大きな艦隊が編成されることになる。
接触に際して、日本の艦隊がいきなり出現しては蜀を刺激することになるので、日本国は倭国に仲介を依頼していた。先行して蜀に入国していた倭国の使者により、日本国の外交団は敵対されることなく蜀と接触することができたのである。
蜀は九州の西に位置し、面積240万㎢程の大きな島国である。国土の大半が荒野で、東西に国土を分断する壁が存在しており、壁の東側が人間の支配地域で、西側が「木人」と呼ばれる魔物の支配地域となっていた。
「蜀とのファーストコンタクトは上手くいき、各地の有力者とも接触できました。事前情報のとおり、内陸部に油田も確認できました。現在は採掘に向け交渉中です。上手く行けば石油の枯渇は回避できそうですが、多くの油田が魔物の支配地域にあります。」
「また、日本人が魔力を保有していないことが現地で問題視され始めています。蜀の人々は「魔力がない人間は死者と同じ」との考え方を持っているようで、我が国を死者の国と言う者までいます。」
「このままでは人間の支配地域でも採掘が始められない可能性があります。」
ここで冒頭に戻る。
「魔物に関して何か情報は?」
「現地に派遣した専門家の判断がまだ出ていませんが、陸上の魔物であって、人に似ているそうです。蜀は千年もの間、この魔物と戦い続けています。国政の中枢にいる要人複数から、魔物駆除のため自衛隊の受け入れ許可も得られました。」
「我々が死者という誤解は解けそうですか?」
「現地で説明しているのですが、状況は悪化しています。」
この様な誤解は偏見と差別を生み、両国の将来にわたって悪影響を及ぼしかねない。今は時間をかければかけるほど悪化していく状況なので、総理は直ぐに指示を出す。
「我が国は早急に石油を確保しなければなりません。当初の予定通り、蜀を支援しましょう。資源地帯を支配している魔物を駆除できれば大きなアピールになるはずです。彼らに我々の行動を見てもらえば雑音もじきに消えるでしょう。」
言葉で信頼してくれと言っても、信頼は簡単に得られるものではない。行動とその結果によって得られるものである。
後日、政府は蜀への大規模な自衛隊派遣を決定する。
備蓄がなくなる前に石油を確保しなければならない日本国は精鋭を投入します。
ジャンルで空想科学を選んであるので、日本国の新技術や新兵器を「紺碧の艦隊」のごとく出していきますよ。