幸子8
召喚されてから、1か月の間、真面目な勇者ヨシツグは、邪神教を倒すために、この世界について学んでいった。また、腕が鈍らないように訓練も欠かさず行い、過ごしている。
また、国の王女に好かれてしまい、時々王女がヨシツグの元にやって来ては、頬を染めながら話しをする。
王女は、女神とヨシツグの会話で、元の世界に帰ることを知っているため、これ以上は好きにならないようにと。でも会いたい、会ってお話したいと、めちゃくちゃ健気なアプローチをし、ヨシツグもデレデレであった。
さちばぁさんも、一日目は勇者ヨシツグと共に勉強をしたのだが、なんせ認知症だ。すぐ忘れてしまう。
『何でここに来たんじゃったかのう、家に帰らんといけんのに』っと、城を徘徊していると、子供達が庭で遊んでいた。
さちばぁさんは、子供達とけん玉や面子、お手玉、あやとり、後、凧上げを教えて、一緒に遊んでいた。孫が沢山いるため、子供らと遊ぶのはお手のものだ。
すると、訓練中の騎士達が急に集まって来た。
『幸子様、あれは何ですか?』っと、凧上げのたこを指差した。
『ホッホッ、珍しかろう、わしの国では子供らがこうやって遊んでいるんじゃ、あれは凧上げといって、風で飛ばして浮かせる遊びじゃ。』
騎士達は、凧上げを見て、驚愕した表情をして、
『あれにのって偵察とか出来たりしますか?』と聞いてくる。
『あれには、乗るには、かなり強い風と、高いところから飛ばないといけん、わしゃ無理じゃ。』と凧をあげながらさちばぁさんは答えるが、
『はて、もしかしたら忍者だったら出来るかもしれんの。』とポツリ。
『忍者とは、何ですか?』と騎士達は食いついた。
そこから、さちばぁさんが考える忍者の授業がはじまった。
『忍者とは、ズバリ忍びじゃ。
強靭な身体能力を持ち、忍術を使って、潜伏をしたり、時には暗殺をしたり。人に気付かれることなく活動を行う。』とさちばぁさん。
『おおーっ!!』
『幸子様のお国は、凄い人達がいるんですね!』
と騎士達は興奮している。
さちばぁさんは、忍法木遁の術、忍法影分身の術、影縫いの術、等の忍法や、手裏剣や吹き矢、鎹などの器具の方法など、知る範囲のことを、説明していった。
『…ということなのじゃ、後は、自分達で技術を向上していってくれ』
『『はい!先生!』』
こうして、忍装束の幸子忍び隊が結成されたのだった。