天上天下唯我独尊高校
思いつきで書いてます。もう後先考えずひたすら思い付きです。ところでもう一方の連載のほうは書き直そうかと思っています。趣味で暇なときに書いてる自己満足小説なので。完結はしたいとおもっていますが。
よろしかったら感想くれたらうれしいです。
四月、桜が舞い散るなかポカポカとした陽気に包まれ俺は高校の校門前に立っていた。時間はまだ八時を少し過ぎたくらい、まだ始業式には充分間に合う。
俺は校門からこれから通う校舎を見上げ、この高校へ通うこととなった理由を思い出していた。
ことの始まりを話すには二週間前にさかのぼらなければならない。二週間前といえばちょうど高校入試の結果発表の日だ。普通ならばのどから心臓が飛び出るほどの緊張だろうと思う。しかし、俺は緊張など微塵も感じていなかった。
それどころか結果はわかりきっていたので合否を見に行くこともなかった。勘違いしてもらいたくないので、ここで俺は頭がいいんだ・Z・E!!とか思っているのではないことをここに言っておきたい。
俺は今まで『普通』以外の出来事に遭遇したことがない。中学のころ、いや小学生の
頃からテストではいつも平均点だったし(言いたいのは平均点近く、ということではな
平均点ピッタリということだ)、運動も常にクラスの真ん中だった。ついでだが、顔
も少し化粧などすれば女に見られてしまう(もちろんしたことなどない)という男とも
女ともとれる中性的な顔である。
そんな普通の俺に人生初の事件が起こった。さらにさかのぼること一週間、入試当日母親が交通事故に・・・いえすいません嘘です。嘘つきました、ていうか意地も張りたくなるよ!!試前日にインフルエンザとか!!恥ずかしくて嘘つきましたが、なにか?
こうして行く高校がなくなってしまった俺。家族にも恥ずかしいからという理由でマンションをあてがわれ、現在一人暮らし。ひどくね!?親なのにひどくね!?
まあ今時の高校生の例にもれず一人暮らしには少なからず憧れていたのでいいといえばいいのだが。マンションはこれまた普通で新しくもなく古くもなくといったかんじだが、中は思いのほか広くさっぱりとしていて一人で暮らすには充分すぎるような気もする。これが小説によくあるラブコメディならば、ドアを開けたら美少女がなどというのがお約束だが、もちろん現実にそんなことがあるわけがない。少し現実逃避に実を投じてみたくなった。
さて、これからどうしようかと頭をひねる。幸い完全に見捨てられたわけではないので月の生活費は実家から送られてくる予定である。家事も料理はそれなりにつくれるで心配することはない。だがただ無駄に遊んでいるわけにもいかずどうしたものかと
考えていたとき玄関からピンポーンという客の来訪を告げる音が響いた。隣の住人が挨拶にきたのかな?自分からも挨拶に行かねばと腰を上げドアのチェーン
をはずしドアを開けると、四十代ほどのスーツ姿の渋い男性と若い二十代ぐらいのこ
れまたスーツをかっこよく着こなした女性が立っていた。
想像していたものと違い少し戸惑いながらも挨拶をすると、男性のほうが、
「いきなり押しかけて悪いな、私はここで校長をしてるもんだ」
と、およそ教師とは思えない口調で名刺を渡してきた。名刺には天上天下唯我独尊高校 校長倉内 正蔵 とだけ書かれていた。
「高校の名前長っ!これつけた奴どんなネーミングセンスしてんだよ!」
あまりの常識外れの名前に驚いて声を出してしまった。失礼だったかとはっと気づき
前を見ると校長が悲しそうな顔をしていた。
「これ考えたのアンタかよ!!」
つい礼儀も忘れて大声を出していた。
「だってかっこいいとおもったし・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
なんかすいません。空気めっちゃ重いです。
校長はすねているので変わりに女性のほうから説明をうけた。
「私はこの・・・高校で教師をしている佐々 美希といいます。突然ですがあなたは
どこの高校にも受かっていませんね?」
「なんでそれを知っているんですか?恥ずかしいんで友達にも数人しか言ってなくて
口止めもしておいたはずなんですが・・・?」
「まことに勝手ながらこちらで調べさせていただきました。それについては謝罪をし
たいと思っていますがそれは後ほど。ところでこの・・・天上天下唯我独尊高校のこ
とを知っていますか?」
「ええ、まあそれなりに。最近できたばかりの私立校である大企業から莫大な支援を
受けているのだとか。たしか天才、なんらかに秀でたものにしか入れない高校だと聞
いていますが?」
「ええ、おおむねそれらであっています」
「で、その天上天下唯我独尊高校の先生方がどうしたんですか?」
やっぱ言いにくいな、佐々さんも言いたくなさそうだったし。
「その質問には私が答えよう」
先ほどまで地面にはいつくばっていた校長はムクりと起き上がり急に、
「君を我が高に入学させたいと思う」と言ってきた。
「・・・・・・・・・・・・・は?」
「もちろんただでとは言わない。授業料などはこちらで全額負担するつもりだ。
決して悪い話ではあるまい?」
「ちょっと待ってください!なんで俺なんですか?俺は何の才能も持っていません。なにかに秀でてもいない普通の凡人です。」
「いやそれこそが才能なんだ!君は普通すぎることの天才だ。中学校、いや小学校かずっとテストで平均点を取ってきた。一点も上でなく下でもない。それがどんなにすごいことかわかるか?それはテストで満点を取り続けることよりもなお難しい。普通神より授かりし普通の才を持つもの。普通すぎるがゆえに普通ではない、普通で有り続けることの天才、それが君だ」
「普通の神様なんているかー!!そんな才能ほしくねぇぇ!!」
こうして俺はこの変な高校に通うことになってしまった。学校のことを詳しく説明する日がいつか来るかもしれないが、そのときは愚痴でも聞いてくれ。
《Fin》