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天才

俺の強奪スキルには『スキルを奪う』という能力以外にもいくつか隠された能力が内包されている。


一つが『隠蔽』。


効果は自身のもつスキルを隠すことが出来る能力だ。

強奪という他人には教えられないスキルを持っている俺にとって、これはありがたいスキルだと言うべきだろう。


もう一つが『解析』だ。


俺は他人の持つスキルを覗き込み、その効果を把握することが出来る便利な効果だ。

これがあれば相手のスキル構成を把握することで、より有利に戦闘を行う事もできる。


『強奪』を得てから俺は、出会った人間に対しては基本的に『解析』を行うことにしている。



だからこそ驚愕した。


エリシア フィル アークライト

スキル

戦神の加護Lv8

剣聖Lv7

光魔法Lv6

風魔法Lv4

並列思考Lv5

直感Lv5

魔力増加Lv6



強すぎる。


剣術の上位スキル『剣聖』に攻撃、支援に向いた『光魔法』と『風魔法』、極めつけが戦場では無類の強さを発揮する『戦神の加護』だ。


他のスキルも含めて高いレベルでまとまっている。


これがまだ成長過程であることを考えれば、いずれ英雄であるSランクにすら到達するとまで言われるのも納得せざるを得ない。


「ねぇってば! 大丈夫? 怪我とかない?」


肩を叩かれて我に帰る。


近くに整った顔があることにぎょっとする。

金糸のような長い髪に蒼穹を思わせるような青の瞳。透き通るような肌に桜色の唇。


どこか気恥ずかしくなって目をそらす。


「……大丈夫だ。別に怪我はしてない」


「そう? うん、それなら良かった」


目の前で能天気に笑っているが、何もよくはない。


「……あんた、《剣姫》だろ。Aランクの冒険者がなんでこんな場所にいるんだ?」


エルンスト王国周辺には魔物が多いが、だからといって危険度が高い魔物がいる訳ではない。


少なくともSランクの冒険者を除き、実質的に冒険者ギルドの最高戦力であるはずのエリシアが、なぜ安い依頼しか張り出されていない王国周辺にいるのか。


俺の質問にエリシアがぱちくりと瞬きする。


「ええっとね、少し前に迷宮の遠征から帰ってきてね。息抜きがわりに簡単な依頼をこなしてたの」


こいつはギルドの依頼の息抜きがわりに依頼を受けるのか。


日銭を稼ぐ為に毎日依頼を受ける俺が言えた事ではないかもしれないが、ずいぶんと変な奴がいるものだ。


「ここら辺での依頼か。 なら魔獣討伐辺りか、報酬も不味いだろうによくやるな」


俺もだが。


色々な理由はあるが王国周辺は大体魔物が狩られ尽くしている為、あまり魔物と遭遇しない。

討伐系統の依頼なら森や迷宮に向かうのが賢い冒険者というものだ。


「え? 私は薬草採取の依頼なんだけど」


「……ここらに薬草は生えてないぞ」


俺たちの現在地は平原だ。

魔獣が身を隠せる程度の木々は生えてはいるが、ギルドが求めている薬草は此処にはない。


「ええ!? でも森に行けば薬草が生えてるって聞いたよ?」


「森は反対側だ。 地図を見たらわかるだろ」


「見てたんだけど……」


「マジか」


マジかよこいつ。


地図を見て迷ったのか……。

冒険者としてどうなんだ、それは。


「そ、そういえばキミ! オーガ相手に一人は危ないよ? 仲間はどうしたの?」


しかも話を変えやがった。

どうやら強引にでも話題を逸らしたいようだった。


「……仲間はいない。 俺は単独ソロの冒険者だ」


俺の言葉にエリシアが目を丸くする。


「一人は危ないよ、強い魔物だっているのに」


さっきオーガを八裂きにした人間が、どの口で言うのか。


心配そうな目でこっちを見てくるが、余計なお世話だ。伊達に一人で冒険者稼業を続けているわけではないのだから。


「弱い魔物だけ狩るから問題ない。 さっきのオーガくらいなら一人でも倒せる」


「そうかも知れないけど……」


「そういうことだ。 じゃあな」


それでもどこか心配そうにするエリシアだが、そんなモノは不要だ。


弱いから、才能がないから、仲間がいないから。

そんな理由で押し付けられる気持ちなんて、ただ不快なだけだ。


少なくとも俺には心配なんて気持ちは無駄だ。

群れないと戦えない奴等なんぞに、俺が弱いだなんて言わせない。


適当な方向へと歩き出す。

もう少しゴブリンを狩っておきたい。報酬は多いとはいえないが、今日を生きる分くらいは稼げるはずだ。


あとはさっさと飯を食ってーーーー


「わかった!」


「ぐは!?」


急に襟首を掴まれて息がつまる。

光魔法で自己強化したのだろうーーー凄まじい力で振り返らされる。


いまいち状況が飲み込めない俺の前で、名案が浮かんだとばかりにエリシアが顔を輝かせていた。


「なら、一緒に依頼をこなしましょ! キミは一人より安全で、私は道に迷わない。 完璧ね!」


「おい、ちょーーーー!?」


返事をする暇も無く担ぎ上げられる。

その力は『戦神の加護』かそれとも『光魔法』の強化バフか。


「それじゃあしゅっぱーつ!」


かくして、ほとんど強制に近く、俺はエリシア フィル アークライトと共に依頼をこなすことになったのだった。









ひ、久方ぶり.........

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