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出会う


スキルとは天から授けられる才能であるという事実を知らない人間は、おそらくエルンスト王国には存在しないだろう。


戦闘系のスキルを得た人間は戦いを生業に、生産系、知識系のスキルを得たものはそれを活かせる職業へ。


自身の持つスキルによって自身の人生を決定するほどに、この世界は才能スキルを絶対視している。


事実として、剣の腕前を鍛錬した人間が『剣術』スキルを持つ人間に挑む場合、剣技以外で上回る要素を持っていなければ勝つことは難しい。


凡俗には届かない才能の凄まじさ。


それを俺は今、実感していた。





◆◆◆◆◆◆◆




鈍く輝く剣閃が、目の前のゴブリンの胸を浅く切り裂く。


以前は細心の注意を払って挑んでいた魔物も、『怪力』、『剣術』、『体術』のスキルを手に入れた俺にとっては、ただのスキルを奪う為の餌に過ぎない。


「ギャァァァァ!」


強引にゴブリンを抑えつけ動けなくする。

それなりに力の強いゴブリンも『怪力』スキルの前では抵抗できないようだ。


「……強奪」


ゴブリンから持っているスキルを奪い取り・・・・とどめを刺す。


レオルの一件からしばらく経ったが、俺自身のゴブリンを狩るという生活には特に変化はない。

ゴブリンを狩るついでに、魔物がたまに持っているスキルを集めているが、その程度だ。


ウィル グレイス

スキル

強奪Lv5

怪力Lv4

体術Lv6

剣術Lv6

気配感知Lv2

自己回復Lv3↑


自分のスキルを見て、改めて『強奪』の力の凄まじさを思い知る。


レベル自体は低いものの、スキルの数で言うならば、冒険者でもトップクラスの部類だろう。

冒険者で言うならばBランクに匹敵するかもしれない。


すでにオーガやオークなどの中級クラスの魔物を狩れるだけの力はあるが、『無能』扱いされている人間が下手に目立ってしまうことは避けたい。


急に強い魔物を倒し始めれば、絶対に怪しまれるだろう。


万が一他人のスキルを奪う才能のことがバレれば、面倒ごとにしかならないだろうし。


パーティを組む場合は注意しなければならないだろう。


「ん?」


考え事をしていると『気配感知』で魔物の接近に気付いた。


「グルルルルル……」


視線を向けると巨大な影。


オーガだ。


中級に分類される魔物だが、人並みの知性と屈強な肉体からCランク冒険者がパーティを組んで戦うことが推奨される存在。


単独で戦うのはあまりにも危険な魔物だが、今の俺は目の前の存在を脅威とは感じなかった。


このオーガはスキルを持っていない。

おそらく俺は、目の前の魔物を一方的に殺せるだろう。


それほどにレオルの持っていたスキルは優秀だった。


「……ッチ、殺すか」


一瞬だけ過ぎった、ゴブリンの餌になって死んだレオルの顔を振り払い、剣を引き抜く。


「ガァァアアアアア!」


大鬼が剣を振りかぶるが、その動きは欠伸が出るほどに遅い。


溜息を吐き、オーガの間合いに一歩踏み込む。

まともに受ければ挽肉になるオーガの一撃、それを交わしながら反撃する自分をイメージした瞬間。



目の前の鬼が挽肉になった・・・・・・



「……は?」


一瞬思考が停止する。


何が起こったのかわからない。


俺が攻撃する前に斬り刻まれて肉片となったオーガを見つめていると、後ろから声が掛けられた。


「キミ、大丈夫だった?」


涼やかな声に反応して振り返る。


「お前はーーーー」


振り返るとそこには美しい剣士が立っていた。


流れるような金髪を靡かせた、軽量な戦闘衣バトルドレスを纏った少女。


俺はコイツを知っている。


「ん? どうかした?」


王国で期待されている新進気鋭の冒険者。


この時代における寵児。


真に才能に愛された者。




『剣姫』 エリシア フィル アークライト。




世界に認められた、英雄の資質を持つ少女だ。














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