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九十九話 冥界への招待状


「ここが...異界??」



不気味な雰囲気の場所に呼び寄せられたリズナはそう呟く。その場所はいるだけで何だかおかしくなりそうな場所だ。時々背景のカラフルの波が順番を変えてウネウネとひたすらに動いている。ギルメラは今までに食らったダメージなど無かったかのように尻尾や腕を使って攻撃をし始めた。その攻撃に誰もがひたすら避ける...のだが少しばかりか俊敏さが増していているのか避けるのも少し難しくなっていた。



「何?なんか元気になってない???」




「あいつは異界ではさらにパワーアップするみたいだ」



「何よそれ!!!」



確かに、攻撃は俊敏になり避け辛く、先ほどまでとは何だか違う気がする。ギルメラは今度はまた消滅する攻撃をそこら中に撒き散らし始めた。今度は丸い球体のような形であ四方八方へと飛んでいく。その無差別に放たれた玉は次々と人を消していく。ヴェラード達は何とか剣で防ぐが、それにしても数が多すぎる。



「くっ...!」




消滅させる玉の攻撃は終わったが、今度は高く飛び立つとそのまま落下し地面に強い衝撃を与える。地面は割れ人が何人も吹き飛ばされていた。



「くそっ!!!」



「面白えじゃねえか!!この魔物!!!」



そう言いながら飛びかかったのはヴェラード。大きな斧を携えてギルメラの方に走っていくとその斧を勢いよく振り下ろす。その攻撃はそこそこのダメージが入ったようで悲鳴を上げながらギルメラは暴れ出した。



「どうだ!!!」



怒ったギルメラは尻尾で攻撃を仕掛け、ヴェラードはそれを斧で防ごうとする。だが斧もろともヴェラードは吹き飛ばされてしまった。



「どうなってんの?このフィールドになってから強くなってるじゃない!」



「だったらこれを何とかできれば...!」



アリスはこのギルメラ有利のフィールド地面や空に攻撃をするが全く意味がなかった。攻撃をしたところで変化はない。ギルメラを倒すしかないとアリスはギルメラの方を向いた。



「やっぱりあいつを倒すしかないよね」



「ええ」



「いくよ!ドラゴン・バスター!!!」




そう言いながらアリスがギルメラに戦いを挑む。一度ギルメラを斬りつけるとギルメラの方も反撃をしてくる。それにもアリスはスキルを使い反撃を行った。



「竜炎鬼斬!!!」



まるで竜の炎纏ったように攻撃を行う。その攻撃が当たると何だか今までより効いているような感じがする。



「もしかして...この前言ってた属性が何とかって...!」



「効いてる?」



「みんな!!炎の攻撃は使える者は炎で一斉に攻撃して!!!」



「了解!!!」



アリスのその掛け声と共に一斉に炎の攻撃がギルメラに向けて放たれる。ギルメラは苦しんでいるようでドシドシと足を地団駄のように何度も何度も地面に打ち付けている。ギルメラは翼を上下させて生み出した風圧で炎を弾き返そうとする。




「効いている...っぽい?」




「効いてるわよ!!そのまま行けば!!!」



「グオオオオオオオオオ!!」



その咆哮と共にまた空中にブレスを放つ。そのブレスはまるで雨にように降り注ぎアリス達に襲いかかってきた。あの消滅ブレスではないためそこまでではないのだが、それでも避けることのできないブレスの雨に誰もが大きなダメージを受けてしまった。




「何これ!!」



「うぐっ...」



その凄まじい威力の攻撃に、そこに立っている者はおらず、その攻撃が終わる頃には全員床に倒れている。




「何だ..?あれ!」



「まだ攻撃を残してたっていうの...?」



「ギルメラは容赦なく追撃をしようとする。ギルメラからは爪の攻撃が繰り出される。その対象はギルメラから近い位置にいたヴェラードに向けて放たれる。その攻撃に反応するようにメイキスとノーブル、そしてクラウがギルメラの攻撃を何とか3人で受け切ろうとする。



「ヴェラード!お前ばかりいいとこ見せてんのもずりいからなあ!!」



「メイキスカッコいいでアール!!」



「うるせえ!!今は余計な口叩くな!こいつに集中しろ!!」



ギルメラは3人まとめて薙ぎ払い簡単に処理してしまった。



「クソ!!」



「なんて強さなの...?もう...私達じゃ..!」



「諦めないの!!何とかなるって!!」



だがその言葉を打ち砕くかのようにギルメラの攻撃は容赦なく続くまるで弄ぶかのようにに人間を掴んで投げ飛ばしたり軽く吹き飛ばしたりとギルメラからしたらおもちゃで遊んでいるような感覚なのだろう。テティの目には、時を戻す前のあの崩壊した街とどんどんやられていく人々のトラウマとなっている光景が浮かんできた。



「やめて...やめて...!お願いっ...!!!」











「さて、と言ってももう敵はいないし...アンバーグ様はどこかしら!?」



アミナはいるはずもないアンバーグを探していた。すると1人の男の姿。その姿をじっと見ると、それはルビスだった。



「あれ?なんでこんな所に...?」



「あんたは確か、アンバーグに一目惚れしてた!」



「あなたもギルメラ退治に?」



「それが、ちょっと遠くに行ってたら置いてけぼりにされちまってなあ」



「あら、それはお生憎様。でも私は今忙しいから」



「ああそう」



「早くダーリン...アンバーグに会いたいわ。ねえ、どこにいるか知らない???」



そのアミナの言葉にあのことを言おうか言わないか...少し頭の中でルビスは迷っていた。初対面であり尚且つどうやらアンバーグの知り合いらしい。そんな奴に言うべきなのか少し思考を巡らせながら、アンバーグは決心して言うことにした。それがこの魔物のためにもなるのかもしれない。



「あいつは...もういないよ」



「は?何を言っているの??」



「いや、アンバーグは...だから死んだって言って...」



ルビスが言い終わる前にアミナはルビスの胸ぐらを掴んだ。ルビスは失った者などない。だからそんなことを安易と言えるのだ。



「嘘!!!嘘嘘嘘嘘!!!嘘よ!!!」




ただ嘘という言葉を連呼するだけのアミナにルビスは何も言えなかった。



「本当だ!!」



「あんた何でたらめを!!」



剣でルビスの頬を切る。頬からは血が流れてくる。もう一度来る攻撃に、ルビスも剣を抜いて応戦する。余計なことを言わなければ先頭にはならなかった...がなぜだか言わなければならないような気がルビスにはしていた。それが余計なことだとかお節介だとかそう言われてもいい。だからこそ言わなければならないのだから。



「ふざけないで!ふざけないでええええ!!」



どんどんアミナの姿が変わっていく。これが前に言っていた獣鬼化と言うやつなのだろう。恐ろしい形相で剣を使いルビスに勢いよく襲いかかってくる。ルビスもその攻撃を避けながら攻撃をする。



「ううううあああああああ!!!」



「くっ!!」



その攻撃の勢いは止まらずルビスは防戦一方という感じだ。



「俺だって同じ気持ちだ!!だから!!」



「黙れ!!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!」



「悲しみを俺は光に変える...お前みたいなやつを見てきたから!!」


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