九十八話 伝説となれ!!マックスヒーローズ
「あれ...ここは?」
オノマトピアの4人が目を覚ますと辺りは爆発の跡地になっていた。今まで起こっていたことを思い出す。そうだ!ドカンが大きな爆発を起こして、それでゼロもろとも...!
キンキやザーザの脳内にあの記憶が蘇ってくる。でもなんであんな爆発で自分たちは無事何だろう?と思っていると隣にモグモンが倒れている。その横のザーザが代わりに説明してくれた。
「モグモンの絶対防御。寝る代わりにどんな攻撃からも守ってくれる」
「いつの間にそんな技を?」
「私たちの知らない間に特訓してたみたい」
「この美しい僕ですら気づかなかったよ」
「お腹減ったー!!」
「ドカンは...?」
「おそらくあの自爆じゃ生きていない」
散り際も爆発でこれもドカンなりの最期だったのだろう。キンキ達は動くこともできずにただぼーっとしているだけだった。
「はあ...はあ...!」
「ゼロ様!いかがいたしましたか!?」
アミナは戻ってきたゼロがボロボロなのを見て驚いた表情をしていた。ゼロはあの爆発をモロに受けて重傷を負っている。アミナはゼロにハートをいくつか出すと傷口にそれを当てた。するとシューっという音と共に少しずつ治って行く。アミナは治療をしながら「アンバーグ様以外には使いたくないのになあ...」と聞こえないぐらいに小さな声でつぶやいた。少し傷が癒えてゼロはアミナの肩を掴む。
「レミーもやられた。あとはお前だけだ。行け」
それを聞くとアミナは嬉しそうな顔をして「はいっ!!」とだけ言った。アミナの頭にはアンバーグのことしかなかった。アンバーグに会える...アンバーグと話せる...そう思うとアミナはたかぶってしまいゼロの前なのでそれを抑える。
「任せたぞ」
「はっ!!」
もちろんゼロの使命も大事なのだが、それ以上に頭の中はアンバーグの事でいっぱいだった。
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「こいつ!!!」
第二形態(?)のようなものに入ったギルメラは時々相手を抹消する光線を刃物状にして四方八方に放ってくる。頻度はたまにぐらいだが、当たったら消えるという一撃必殺とも言えるそれの時は撤退を余儀なくされていた。
「くそ!効いてんのか??なんかあんまり効いてる感じないぞ!!」
「いい?ひたすら攻撃をするの!!倒れるまで!!」
「んな事言ってもどのぐらい...?」
「分からない...けどとにかく何回も叩くしかないでしょ!」
テティのその言葉にマブは少し不満そうな顔をするが、ギルメラに攻撃を続ける。
効いているのか効いていないのかわからないその攻撃に終わりが見えない不安が戦ってる者達に募る。
「剣技ー魔!!」
「一閃の槍!!」
「鈍足斬り!!」
よせ集めた武器を使っている者たちの一斉のスキル攻撃が放たれる。その攻撃を受けても弱っているのかいないのか、よくわからない感じだ。だが今は攻撃を続けるしかない。とにかく攻撃をひたすらに続けた。
「アリス!どうするの?」
「どうするって...言っても...」
「ふっふっふ、俺の出番だな」
マブが何だか自信満々に出てくる。マブは一応相手の消す攻撃を完全に封殺する事はできなかったが弱めただけでもう出番はないはずだ。だが目立ちたがり屋のマブがしゃしゃり出てきて笑みを浮かべていた。
「もうあんたの出番は終わったわよ」
「うるさいうるさい!!もっと大勢の前でかっこいいところを見せてやるんだ!!!」
「なんて自己顕示欲の塊なの」
「あんたは引っ込んでたほうがいいわよ絶対」
そのテティの言葉は逆にマブに火をつけてしまったようで、対抗心を燃やしたマブは「何をー!!」といいギルメラの方を向く。
「覚悟しやがれよ!!ギルメラ!!」
「ああ、ちょっと!!七天聖の方々の邪魔にはならないようにねー!!」
そんな言葉は耳に入っていないようでふんふん、と鼻息を荒げながらギルメラの方へと向かって行く。
「お前たち!!邪魔だ!!」
そう言いながら戦っている七天聖の間を進んでギルメラの方へと向かう。誰もが「何だ?こいつは」という顔をしながらマブを見ているが唯一マブを知っているヴェラードは心配そうに声をかけた。
「おいおい、大丈夫なのか?」
「ああ」
「お前知り合いか?ヴェラード」
「ああ、ちょっとな」
「ここから俺がかっこいいところを見せるんだ、邪魔なしで頼む」
もちろんマブに強さも知っているため止めようとするが、マブのその心意気にヴェラードは止めるのをやめ見守ることにした。
「行くぞ!!」
また同じようなパターンになると誰もが予想していた。よく見るとマブの剣があの合成したものとは違っていた。本当に大丈夫なのだろうか?誰もがそう見守る中一騎討ちが始まった...と同時にすぐに終わった。
「やっぱり」
「だよな」
結果は見えていた。マブが足に攻撃を行ったが、その攻撃は効いておらずギルメラの爪の攻撃で簡単に吹き飛ばされた。もう何十回も見たようなマブのこのくだりに誰もが飽き飽きすらしていた。だがマブはニヤリと笑う。
ガコン!!
突然ギルメラの足にそのような大きな音が鳴り金槌の頭のような鉄の突起物が現れた。その突起物は足から両サイド数センチ出ているぐらいだがどうやら重量があるようで足を自由に動かせなくなってしまった。
「かかったな..!行くぞ!!」
その武器で全身を攻撃すると全身に同じような突起物が現れその重さでギルメラは大きな音を立てて倒れてしまう。マブは最初からこれが狙いだったのか。
「でもこれ、マブじゃなくてもあの武器なら誰でもできるんじゃ...」
「テティしーっ!せっかくマブがかっこいいところ見せようとしてるんだから言っちゃダメなやつだよ!!!」
テティのその言葉にアリスが突っ込む。その様子を見ていた2人はそんな事を思いながらもなんだかマブってこんな強キャラだったっけかなあ??と心の中で思っていた。
2人が観戦しているとマブはまたあの合成剣に持ち替えてオモリで無防備になったギルメラにひたすら攻撃を加えていく。
「どうしたギルメラとやら!!この程度かっ!!!」
「お前...誰だ?こんな強いマブはマブじゃないだろう?」
「俺はマブだっ!!」
ヴェラードのその言葉にも戦闘中でありながらも反応してながら攻撃をさらに激しくしていく。他の者たちもチャンスと思い一気にスキルをぶつけていく。そこにはクラウの隕石もあり、その広範囲の隕石の数々はギルメラだけではなく他の者たちまで巻き込んでいった。メイキスはクラウの胸ぐらを掴みながら怒り出す。
「てめえだからそれは危ないって言ってんだろうがクラウ!!!ふざけてんのか!!!」
「まーまーメイキス」
「まーまーじゃねえんだよ!!」
「ほら、絵でも見て落ち着くでアール」
「何だ?これ」
ノーブルから渡されたのは一枚の絵。うまくも下手でもなく、何だか平凡という感じだ。
「私の絵でアール」
「てめえのかよ!!」
そう言いながらメイキスは手からその絵を話離した。その絵は隕石に当たり粉々に砕け散ってしまう。それを見たノーブルは「ああああ!!」と悲しそうな顔をしながら膝をつきバラバラになった絵に手を伸ばそうとする。
多くの攻撃を受けてギルメラは少しの間動かなくなってしまった。
「これはもしかしたらマックスヒーロズが伝説に載るのかもね」
「や、やったのか?」
「そういうフラグっぽい事言わないでよ!!」
「ダメです!まだ生きてます!!」
ミーファのその言葉通り、またギルメラは立ち上がった。そして大きく雄叫びをあげると、辺りの背景が歪み始めた。突然のことに動揺する一同。そして背景はあっという間にカラフルな場所に変わってしまった。渦巻くようにさまざまな色が描かれた場所で明らかに今までいた場所とは違かった。
「何だよここ...」
「ここは...まさか!!」
「ヴェラード何か知ってるの?」
ヴェラードは冷や汗をかきながらこの世界の説明を始めた。
「ここは、あいつが行き来している異界ってやつだ。そしてここにいるあいつは...ほぼ無敵と言っていい」




