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九十六話 混沌渦巻く爆炎

遅れて申し訳ございません



「そういえばドカンの姿がないけど」



アリスはそう言うとテティはキョロキョロと見回しながらドカンを探す。



「そうね。どこ行ったんだろう!」



「まあ、何だか逆らえないようだし放っておいていいんじゃない?」



「そうかな...?」



アリスは何だか嫌な予感のようなものがしていた。何だか嫌な予感が...。



「そんなことより、今はギルメラを追うわよ!!」



「わかった!!」










「お、終わった...?君は一体何を言っているんだい?」




ドカンと対面し奇妙なことを言うドカンに、キンキはそう返した。そう尋ねると、「知りたいか?」と勿体ぶるように返してくる。少しそこから間を開けてまあいいかとだけドカンは言うと、そこから喋り始めた。



「知りたいか?教えてやろう。もうあいつに従う必要は無くなったって事だ」



「は!そんな唐突に...」



「俺の秘密はもう知られることはねえ」



「どうしてだい?」



と聞いてみるが「それをお前らが知る必要はねえよ」としか返され無かった。今まではガーディスにしたがって動いていた。だがその縛りが無くなってしまったらわざわざそれに従う必要も無いのだ。つまりアリスやガーディス、キンキ達と共闘する必要もなくなる。

そう言いドカンは剣を出す。ガーディスから支給された爆破の使える剣だ。その剣を持ってニヤリと笑う。それを見てキンキ達も剣や杖を構えた。おそらく無理矢理にでも突破してくるだろう。だがキンキ達5人を相手にするのでとても有利とも言える。



「邪魔をすると言うなら...無理矢理行くぞ」



「来なよ。こちらは5人。戦えばどうなるかわかってる?」



「ザーザよ。お前も少しは賢いと思ったんだがなあ?」



そう言って剣を横に振るとその衝撃がそのまま爆発となった。まずはそのキンキの素早い攻撃で牽制する。ドカンがキンキの攻撃を受け止めると、横からザーザの雨粒のまほうがとんでくる。ドカンは剣を床に刺して床に大きな爆発を起こしその爆風でザーザの攻撃を簡単に弾いてしまった。



「おおー!これは面白い!!」




「ダメか...」


「5人いるからとか言っていた割に全く骨がねえなあ!!」



「美味しいケーキー!」


グーグが杖を回してそう言うとミニケーキが3個ほど現れる。丸い形にクリームとイチゴが乗ったそのケーキはドカンに向かって勢いよく飛んでいった。



「何だ?こりゃ」



ケーキはドカンの近くに行くと爆発を起こした。爆発を扱うドカンとはいえ武器の力。ただの生身の人間のドカンでもそのぐらいの攻撃は少しはダメージになるだろう。だがドカンはすぐに察知して後ろに下がろうとする。

だが後ろの異変に気づき足を右に回転させてその勢いで右の方へと行く。そのまま行っていたら進行方向にいたにはグーグだ。



「ほう、そうやって俺をあのグーグの範囲内に追い詰めようって作戦か。少しは知恵を絞ったようだが...足りねえなあ」



「さすがに...この攻撃じゃやっぱダメだよね」



「今度はこっちから行くぞ」



そう言うとキンキの方に向かい一発剣を振る。そしてザーザに向かうもう一度剣を振る。どちらも大きく爆発し少し遠くへ吹っ飛んでいった。初めて使う武器にドカンはとても満足そうな顔になる。



「ほお、こんなこともできるのか...面白いなあこれ」



「5人相手でもこれだなんて...」



「実力が足りねえんだよ」



「グーグ!!」



「あいよー!」



「いつの間にこんな近くに!?」



キンキ達にばかり気を取られていたドカンは少しづつ近づいていたグーグにまで気にしてられなかった。そしてグーグがあの眠りのフィールドを展開すると、その範囲はドカンのところにまで到達し、ドカンを眠らせようとする。ドカンはまぶたが重くなり眠そうになるのを耐える。だがグーグの力は強力で、強制的にも眠らそうとする。それにドカンは思わぬ行動に出た。



「うおあらああ!!」



ドカンは自分に剣を刺し大きな爆発を起こす。爆風で一旦グーグのフィールドは消えて煙が立つ。そして煙の中からドカンが少し嬉しそうな顔でキンキ達を見ていた。

爆発の影響で眠気などは全くと言っていいほど吹っ飛んでいてなんだか清々しそうな顔だ。



「自分の爆発で眠気を!?」



「どっかの駄洒落で無理矢理目を覚まさせてた奴と同じような事する」



ドカンは一番厄介そうなグーグに的を絞るとグーグルーの方へと向かいスキルを大きく叫んだ。



「爆!王斬!」



その爆発は今までのより大きくそれに巻き込まれたグーグは重症ほどの傷を負ってしまった。やはり強い...5人いても圧倒的な強さを見せるドカンに格の違いのようなものを感じてしまうキンキ達。



「まだまだあ!!」



とは言っても4対1というのは有利に変わりは無く、先程の自分の爆発のダメージもあり四方八方からの攻撃に対応しきれない場面も多々見られた。

ドカンは「仕方がない」と言い剣を上する。


「何をする気だい?」



「お菓子食べるの?」



「違うでしょグーグ」



「大技みたいなのがあるみたいでな?それで決めてやろうと思ってな」



大技が来たらおそらく全滅は免れないだろう。キンキ達はコソコソと何かを話し合い、みんなで頷く。グーグも重症ながらも参加し四つの武器が合わさった。



「あの時見せなかったけど、僕たちも技があるんだ。4人合わせた技がね!!」



そう言うとキンキ、グーグ、ザーザ、は剣と杖を合わせるとその間に赤、緑、青、黄色の4色の光が集まってくる。強大な力を感じるいわば合体技のようなものだろう。



「何だ何だ?」



「あの時も使いたく無かったから結局使わなかったけど...今は使う!!」



「面白い!来い!!」



ドカンはキンキ達の方へと走り出す。キンキ達は一斉に声を合わせてこう叫びながらその球をドカンへと向けて発射させた。



「「「「オノマトブレイク!!!」」」」



「んなもん爆発で...何っだ!!!」



爆発で防ごうにも広範囲に及ぶ攻撃dwどうしようもなくドカンはその攻撃に巻き込まれてしまった。ドカンの大きな悲鳴が聞こえてくる。地面をえぐって木々を消滅させるその威力は凄まじく数メートルにも及ぶほどだった。合体技を終えたキンキ達は地面に座り込む。



「やった!!倒した!!」



「やった...!」



「お腹減ったなあ」



誰もが勝ちを確信してた...だがその希望はその声で簡単に打ち砕かれてしまう。



「なるほど。これはすごいな」



「そんな!!」



「効いてない?」



その質問に、ドカンは「いいや」と答える。確かにドカンハアハアと少し息を切らしながら少しフらついているのが窺える。



「結構危なかったがなあ?」



「くっ!!」



「お礼にすげーもん見せてやるよ。ジ・エンド・エクスプロージョン」




そう言うとドカンの周りでとても大きな爆発を起こる。その範囲は凄まじく逃げ場などなかった。キンキ達が巻き込まれ、周りの木々も消滅する。どんどんどん爆発の範囲は半径10キロほどを巻き込みその場にあったものはほぼ全て消え去るほどだった。



「はあはあ...これ自分にもダメージ行くのかよ...使い勝手悪いなあ...」



そんな事を呟きながら倒れているキンキ達を見る。起き上がってくる気配はない。あんな攻撃を受けて立ち上がれるわけもないのだが。



「クク...また俺の新しい生活の始まろだあ!!まずはそうだなあ...爆弾を仕込めないみたいだしなあ...」



「そこまでにしておいたら?」



「お前...っ!!」



そこに割って入ってきたのはガーディスだった。だがガーディスを見ても特にそこまで表情が崩れたりはせずドカンは平然とする。そんなドカンにこんな一言を告げる。



「そんな余裕でいいのか?バラしても」



「ああ?」



「考えたな。相手の記憶の一部を消すなんて。だがその一歩先を行っていったんだよなあ...」

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