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八十五話 マックスヒーローズにお任せ!


「すごいでっかい魔物...なの?」




ミーファが出した大きな怪物は建物の数倍は大きく青いボディに背中には鋭い針のような突起が並んでいた。建物は天井が壊れお日様が見えていたがそれも覆い隠すほどの大きさだ。

さすがは最強と名高い七天聖...というだけある。そんな事を考えながら向こうでまだ女性紹介談義をしているヴェラードとアリスを見る。



「もうあんたたちそういうのいいから!アリスこれ何とかしちゃってよ!」



「まっかせなさい」



「私は...休みます」



ミーファはそういうと目を閉じて、倒れる。それをヴェラードが受け止め、両手で優しく支えると数歩歩いては、近くの壁に優しく寄り掛かるように座らせた。




「かなり消耗するからな。ルナは行けるか?」



「だいじょーぶー!」



ルナは、少し疲れたような声でそう言いながら腕をあげた。ルナの方はまだまだ行けるようだ。



「待て!ここは俺たちに任せろ!!」



何だか聞き覚えがあり、全く期待を持てなさそうな声が聞こえる。この声、まさか...テティがそんな事を考えているとその3人組はまたあの決めポーズをしながら口上を述べ始めた。



「愛より愛を愛し!」



「えーっと悪しきもの撃つ!」



「ハンバーグはデミグラス!」



「バッカ!ホー!違うだろうが!!せっかくかっちょいい口上を思いついて早速使い所がきたっつーのに!!」



「マックスヒーローズ...」



ホーとマブのやりとりを見ながらテティはその名を言いながら「何で来たんだ?」と言いたそうな嫌な顔でマブ達を見る。マブはその顔に少し違和感を感じつつもおほん!と咳を1回してから話を続ける。



「俺たちが来たからにはもう安心だぜ!!」



「期待はしてないんだけど...」



「何でだよ!今回はこの大きな化け物か?腕がなりじゃねえか!!」




なんかもう恒例というか予定調和というか...おそらく、また挑んで負けるのだろう。この展開何度も見たからもうアリスもテティも見飽きているのだが...マックスヒーローズの3人はやる気に満ち溢れている。どうしてあんな弱いのにあそこまで余裕な表情を見せられるのか... (はなは)だ疑問だ。



「おいおい、お前らかよ。お前らが何ができるんだ?」



「七天聖のヴェラード!ふっふっふ見てろよ!俺たちの力を!」



「でもどうするんですか?無策で突っ込んでもおそらくまたいつものパターンですよ?リーダー」



「任せろ!俺の新武器を試す時が来たな!」



そう言いながら取り出したのは少し大きめの鎌だった。どす黒いデザインで先が三日月型の鋭いオーソドックスなヤツだ。マブは叫びながらその魔物の方に行く。誰もがやられるいつもの展開を想像した...のだが違った。

マブの攻撃はとても効いているようで魔物は悲鳴をあげている。



「何!?なんかすごい効いてるみたい!」



「はっはっは!このマブ様に喧嘩売った事が間違いだったようだな!」



魔物は背中の棘を飛ばしてくる。何百は少なくともあるだろうか?それらはマブの方にどんどん向かっていく。今度こそやられる!とは思ったのだがまたまたその予想を反してマブはその全ての攻撃を受けても全然平気な顔をしている。

信じられない!あんな弱いマブがこんな頼りになるなんて!何だか夢でも見てるのではないかとアリスは頬をつねるがその目の前の光景が変わることはなく頬にヒリヒリとした痛みだけが残る。



「どうしたの?それ」



「ああ、この世界でガチャ引いたらたまたま当たってな!何だったかな?確か『魔狩りの鎌』とか言ってたかな?」



「どんな効果があるとか聞いてたの?」



「確か...相手の魔物へのダメージが3倍になって魔物から受けるダメージを50%カットするとか」



その言葉に納得がいった。それならマブが強く見えているのも納得だ魔物が弱いのではないし、マブが強いのではなくただ単に武器が強いだけなのだ。

というよりこういう明らかな状況でも負けるような事があるのがマックスヒーローズなのだが...何だか今回は自身に満ち溢れている。というか毎回溢れているのだが。



「行けます!行けますよリーダー!」



「あいつがあんなよく分からないものをいつの間にか手に入れてたなんてな。まあいい。時間稼ぎになればいいしな」



「行かせないわよ!」



「もっと女紹介してくれるのか?」



「そうね...もうちょい紹介したいけど...ね!」



アリスはヴェラードに攻撃を仕掛ける。その間にマブ達は魔物の方を見る。ヴェラードを何とかすれば乗り切れそうな感じがするが、後ろにはとてつもなく厄介なのもいる。



「ボクもやるー!オーバー・ヒーリング!!」



ミーファとヴェラード、大きな魔物に緑の光が包み込む。先程マブが大きな魔物へ与えたダメージは全て消えて無くなってしまった。



「あーもう!本当にうざったいわね!!」



またあのルナの回復が始まったと思うとそれはすぐに終わってしまった。突然ルナが回復を止めてポケットから何かを取り出した。それは袋に入ったクッキーで、丸いものやライオンの立髪縁がギザギザしたものまである。赤いリボンを取ると中からクッキーを1つ取り出しては嬉しそうに口の中に放映込んだ。



「おい、なんでやめるんだ??」



「ちょっと休憩ー」



「おい!」



「ヴェラード様。ルナ様は休憩をなさっておられるのです」

レフのその言葉に少しイラついたように頭を掻く。ルナの自由奔放なこの感じは今に始まった事ではなく、このような状況でも平気でこのような事をしでかすような娘なのだ。

ヴェラードは「はあ、分かったよ」と呆れたように言いながらため息を小さくついた。



「分かった。もうそこでみてろ」



「はあーい!」



素直に手を真上に掲げて元気よく挨拶をする。そういうところは素直なんだな...。マブはまた魔物に攻撃を仕掛けようとする。



「魔封じの激昂!」



スキルで攻撃するととても効いているようで悲鳴を上げながら倒れた。ドシーン!と大きな音を立てて倒れたところに攻撃を仕掛ける。とても余裕そうだ。まさかこの状況から負ける事何てないだろう...。いやきっと。



「トドメだ!!うおおおおお!!」



「やっちゃってください!リーダー!」



「うおっしゃあああああ!」



マブがトドメを刺そうとするとその魔物は大きく腕を振り上げるとマブに向かって振り下ろす。もちろん剣のおかげで強化されているマブにはそんなものは通用しない。腕と剣がぶつかり腕を大きく弾いて魔物の胸のあたりのところまで到達する。



「入った!」



「まさか、マックスヒーローズがあの魔物を!?」




アリスはそんな事を思っていると、魔物はまた大きく雄叫びながら、そのままマブを掴むと大きく振りかぶり壁のある方へとマブをぶん投げた。マブは壁に当たり壁を壊したながらそとにまでとばされてしまう。胸にはマブ鎌の攻撃で、紫の血が溢れ出ている。



「マブ!?」



「イテテテ...あの魔物!許さねえぞ!!」



魔物は立ち上がろうとするがすぐに手と膝をついてしまう。相当鎌の攻撃が効いているようだ。

マブが追撃をしようとすると背中の棘をまた発射してきた。もちろんそんな攻撃はほぼ通用せずマブは気にせず攻撃をしようとまたスキルを放った。



「天下無双!」



その攻撃は魔物が顔の前で両腕をクロスさせることで腕に直撃した。

そして腕をまた開くと、空中にいたマブをはたき落とした。あの武器があるし大丈夫だろう...誰もがそう思っていたが、その攻撃をマブは全く動く気配がない。



「リー〜ーーだーーーー!!!」



「え?まさか負けたの!あのすごく有利な状況で?本当に何なの?弱すぎない?」



「でもあの武器でダメージは抑えられてるはず..!」



「もともとあいつのゲームでいう耐久値みたいなのが低いんだろうな」



「本当に役に立たないわね!相変わらず!」



「テティ、お前何もしないのによく言うよな」



ヴェラードにもそんな事を言われているテティはアリスの方に向う。魔物はウロチョロするテティに向かってトゲを飛ばす攻撃が襲いかかってくる。アリスは剣で防ぐが1つ1つの攻撃自体がなかなかのもので耐えるので精一杯だ。これを悠々と耐えていたマブはあの鎌のおかげだろうし、あれがなければすぐにやられていただろう。



「させねえんだよ!」



「ヴェラード!」




ヴェラードの鎌の攻撃もありなかなか近づく事ができない...このままでは...」



「内容が...ないよう!!」


その言葉と共に氷を纏った矢がヴェラードの方に飛んでくる。この矢は...まさか!矢が飛んできた方を向くとアンバーグの姿があった。



「アンバーグ!」



「またせたな!」



「まああんまり待ってないけどね」



「おいっ!」



「何しに来たんだ?お前は」



「もちろん、助けるためさ!」






魔狩りの鎌


レア度☆☆☆



攻撃50(+10)

MP70(+14)

防御33(+8)

重さ20(+4)


魔物の世界に売っていた鎌。魔物に対して大きなダメージを与えられ魔物からのダメージを大きく防げる。こんなものを魔物の世界に売ってるのもどうかと思うが。

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