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八十二話 らぶ♡はりけーん


「ああー♡ダーリン!」



「君は確か...ガチャした時にぶつかった...!どうしてここに??」



「もちろんあなたに会いに来たに決まってるでしょ♡」



そう言いながら、アミナはアンバーグに投げキスをする。それを見てゾクゾクっと体を震わせる。本当にそんなことが目的なのか?とは思うもののどうやってこの人から切り抜けられるんだろう。そう考えていると、向こうからのスキンシップをしてくる。こちらに走ってきて、勢いよく抱きついてくる。



「おい!ちょ!離れろって!!」



「何でそんなこと言うのおー!!」



「ダーリンって、そもそも付き合ったことないし!」



「ええー」




キッパリとアンバーグがそう言うとアミナは不満そうな表情で地団駄を踏み、そして弓を一本取り出した。ピンク色で矢の先端がハートになっている。弓を持つとアンバーグに向かって構える。矢を勢いよく放つがアンバーグのダジャレで飛んでくる弓を簡単に凍りつかせた。



「もー何で凍らせんのー?」



「そんな得体の知れないモン受け止められるかっ!」



「この弓は相手に使うと相手を魅了できるのよ!」



「なんじゃそら!」



なんて恐ろしい弓だ。あんなのを受けたらひとたまりもない。アミナは矢を3本取り出すとそれを一気に打ち出す。今度はアンバーグはそれを避けダジャレをいいながら弓を放つ。アンバーグのダジャレによって氷を纏った矢を自分の矢で相殺する。



「こうなったら...逃げるが一番だ!!」



「あ!待ってよお!!」




逃げ出すアンバーグに、アミナはそれを追いながら弓矢を放ってゆく。矢を避けながら走るアンバーグはどうしたものかと考えていた。



「あの呪いの杖使うわけにもいかないしなあ...」



「いい加減私のダーリンだと認めなさいよ!!他の女がいるわけでもないのに!」



「他の...女?それだ!!!」




アンバーグはおもむろに立ち止まるとアミナの方を向く。アミナの方もやっと観念したのだと思い攻撃をやめて立ち止まる。アンバーグの顔をじっと見ながら見惚れる。アミナの心の中ではきっと「なんてイケメンなのだろうか」とでも考えている事だろう。



「大事な話があるんだ」



「なに?」



「俺...彼女がいるんだ」



「え???????」



「アリスって言うんだが、ほら俺と一緒にいたあの女の子人間のさ」



「え?...え?...え?」



その言葉に、アミナは固まって何も言えなかった。その衝撃の一言はアミナを落胆させる。もちろん彼女だなんてそんな話は今適当にでっち上げた大嘘だ。こういえば諦めてくれるだろうというアンバーグの作戦だ。狙い通りアミナは衝撃を受け悲し雄な顔になっている。よし、このまま諦めてくれれば...!アンバーグはそう思いながらそのような節のセリフを期待しながら待っていた。



「そんな...」



「だからさあ、申し訳ないんだけどね諦めて欲しいからなー?」



「...たい」



「え?」



「奪...たい」



「ごめん、なんて?」



「奪いたい!!」



「え?ちょ!」



「らぶ♡はりけーん!!!!」



そう言うとアミナは弓を地面に打つと周りに大きな竜巻が発生する。その竜巻の中に入った床や壁はピンク色に変わっていく。竜巻が終わると周りはピンクの空間に包まれていた。ピンそのピンクの範囲の入っているアンバーグは何やら体がおかしくなっていくのに気づく。体が熱い。アンバーグの体は勝手にアミナの方へと進んでいく。



「なんだこれ!?体が勝手に!」



「これが私の気持ちスキルのらぶ♡はりけーんよ!」



「何だよそれ!」



「私の愛の気持ちよ!ダーリン♡」



「そんな事!」



そう言うものの。体はどんどん勝手にアミナの方に近づいていく体を動かそうとするが全くと言っていいほど言うことを聞かない。



「くそ!」



「さ、ダーリン!こっちよ♡」



弓を構えようとするが腕も動かない。アミナのすぐ目の前にまでくるとアミナは攻撃を加えるわけでもなくアンバーグの頭をさする。数回さすった後に嬉しそうな顔になる。



「さあ...色んなこと...しよ♡」



「勘弁してくれよ!



「いいじゃない...ダーリン♡」



アミナが手でアンバーグを触ろうとしたとき、アミナの足元に矢が飛んでくる。その矢はまた2、3本ほど足元にとんできてはアミナはそれを避けるたびに後ろへと下がる。

アミナがピンクの空間の空間から離れるとそのピンクの空間は消えてしまった。



「誰?私達の空間を邪魔するのは」



「助かった。礼を言う」



「そうだろうそうだろう!俺の部下は有能だからな!」



「だよー」


弓を放ったのはマックスヒーローズのホーだった。アミナはやを放ち、それはホーに直撃する。するとホーは目をハートにさせてアミナに近づいて行った。



「なるほど、当たるとああなるのか」



「ホー!どうした!」



「もーあなたじゃないのに!」



「今度はもっと広範囲に!らぶ♡はりけー...!」



そう言いながら矢を放とうとしたとき、バランスを崩した。倒れる..!アミナがそう思った次の瞬間だった。



「大丈夫か?」



アミナは倒れる事はなかった。すかさず駆けつけたアンバーグが倒れそうになったアミナを支えたからだ。その時のアンバーグの顔は、より一層イケメンに見えた事だろう。そんな事をされてしまったアミナは目をハートにして鼻血を出しながら気絶してしまった。アンバーグは何が何だか分からず首を傾げているだけだった。



「結局何だったんだ?」



「さあ??」







一方、再び屋敷内に入ったアリスは、ロビーで再びゲルムと相対していた。今度は戦いではなく、自分達は協力したいのだと申し出たのだ。テティからギルメラの事を聞き、一度時を戻して現実ギルメラを止めるために暗躍しているゲルム達に協力しているのだと告げられる。それに協力するためだ。

だが不審がっているゲルムはなかなかそれを承諾してくれなかった。ゲルム達もテティの時を戻すことは分かっているが、アリスが信じるべきなのかは疑わしい。



「まあ、邪魔をしないのなら勝手にやっててくれ。こっちは忙しいもんでな」



「わかった」



「あの獣耳娘の星7を奪い取る方法を考えたいところだが...あれは相当難しいな」



ゲルムは目的の星7武器を目の前にしていたが相手はダメージを全て無効にするほどの回復量を誇るルナ。これを相手にするのは骨が折れるだろう。



「そういえばリグは?」



「ああ、あいつはちょっと、頼み事をな」



「そうなんだ」



あいつがいるとアリスアリスうるさいしちょうどいい。テティはそんな事を考えながらアリスに次の行動を尋ねる。と言ってもそう簡単に近くに星7武器があるわけでもないし、アリスはうーん?と首を傾げた。今できることとしたら...。




「とりあえずあのゼロとか言うの一味を倒す方が良さそうね」



「そうだね」



アリスとテティはロビーを横に行き、廊下を進む。しばらく進むと向こう側に誰かが見えてきた。敵か?少し構えながら進むとその姿がはっきりと見えてくる。これは...。


「あなた...あの時の」



それはテティがラグナタウンの近くの墓場で出会った女性だった。あの時は確かアリスを吸い込んで連れて行ったんだったか。その後にギルメラがきて...。テティは頭を抱える。あまり思い出したくない記憶だ。



「あなたはなんでここに?またアリスをさらいにきたの?」



「あの時はギルメラの襲来を予知していたので、この世界の別の場所に収納していました」



「え...は?」




「あなたが時を戻してくれたおかげで面白いゲームになりましたよ」



「あなた...なんなの?」



「私はこの世界の世界創設士(ゲームマスター)、ノア」



世界創設士(ゲームマスター)?何言ってるの?」



「あなた達をこの世界によんだ張本人、といえばわかりますかね」



そういうとノアという人はふふふと笑った。

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