八十一話 最強と最凶
お待たせして本当に申し訳ありません。
またぼちぼち再開していくのでよろしくお願いします。
「何だ?お前は」
「うーん、ボクはボクだよぉー!」
ルナはそう言いながら獣の耳をピクピク動かしながら、紙の容器に入った食べ物を嬉しそうに頬張った。自由気ままなルナに白い炎で形成した剣を向けるとルナは何故か興味津々な顔ですこし嬉しそうになる。
「何?遊んでくれるの!?」
「ルナ様!こいつ...なんかやばい感じがします!逃げた方が...!」
「えー?せっかく遊んでくれるっていうのに??」
「なんだ?ふざけているのか?」
「ああ、この人はこういう人なので...」
「まあいい、消えろ!」
お供のレフの言葉など全く聞く耳を持たず純粋なキラキラした目をゼロの方に向ける。こうなうとルナは聞かないことを知っているレフは、「はあ」とため息をついて隣のライに目で指示を送る。指示を送られたライはレフとともにルナの左右に立った。
「やるだけやってみるか...ルナ様のために」
「だな。ルナ様の意向となればやらないなんてあり得んな」
「来るのか?」
「やってやらあ!」
「レフ、ライ、いっくよー!」
そう言いながらレフもライもゼロに突っ込んで行く。だがレフやライでは当然ながら勝てる訳がない。炎の剣でレフの腹部を突き刺す。そこから血が飛び散って床に溢れる。
だがルナが杖をあげると緑の光に包まれレフの傷はあっという間に塞がった。あの誰もを圧倒するゼロの攻撃をすぐに完治させるなんて...さすがだとヴェラードもラグナも考える。
「何だ?傷が塞がった?」
「それが我がルナ様の杖の力だ」
「ほう...」
「あは!何アレ!面白ーい!!」
「そんな事言ってる場合じゃないですよ!ルナ様の杖で回復が間に合わなかったら俺たちは...」
「大丈夫だって!なんか面白そうだし!」
白い炎を目の当たりにしてはしゃぐルナに、ゼロは白い炎は炎をさらに大きくする。頭の上に丸い形の炎を生み出す。ゼロの顔の3倍はあるだろう。
その炎を変形させて、剣と斧を両手に持ち弓2つは空中に浮かばせている。
それを見てルナは無邪気に「わーすごーい!」と拍手している。
「喜んでる場合じゃないですよ!」
「散れ」
そういうと一斉に弓からルナ達に向かって矢が放たれる。レフもライはその矢に何回も当たりながらゼロに突っ込んで行く。攻撃を受けてもやはりルナの回復で傷が消えてしまう。レフとライはゼロの方まで行くと持っている武器で攻撃を仕掛ける。だがゼロの両手の武器で防ぐ。
「す、すげえ...俺たち2人を子供のようにあしらってたあいつに全然引けを取らねえ」
「当たり前だろ!求めたくはねえがあいつの強さは異常なぐらいだ。俺たちですら相手にならねえぐらいのヤツだ」
「...だな」
そんな事を話しながら、ガーディスとラグナはルナの方を見る。彼女は戦っているというよりかは遊んでいるような感覚なのだろう。何だか楽しそうな感じが見て取れる。
ゼロの猛攻は続くがいくら攻撃をしてもルナの回復によってすぐにダメージが無くなってしまう。だがルナ達の方も攻撃の1つ1つは簡単にあしらわれてしまい一向にダメージを与えることができない。拮抗した状態が続く中、ゼロの方に異変が起こった。
「うぐぐっ!」
「なんだ?突然苦しみだしたぞ?」
ゼロが突然苦しみだした。それは闇魔と戦った時にテティ達が見た時と同じだ。あの時は...なんだか危険そうな黒いオーラのようなものが出てきて...。
テティがそう考えていると、ゼロから黒いものが出てくる。壁や床を飲み込み消滅させていきながらそれは少しずつこちらの方に近づいてくるそれを見たテティはあの時のことを思い出し。咄嗟に叫んだ。
「みんな逃げて!!!アレは危険よ!!」
「やべえ!!」
「おいルナ!俺たちを運んでいけ!!」
「しょうがないなあ」
誰もがそれに危険を感じ取り、動けないヴェラードとラグナをレフとライがおんぶする形で背負い運んでいく。テティは倒れているドグロを無理矢理引っ張りながら進もうとするがテティの小さな体では運ぶのは困難で、全然動かない。そんなことをいsているうちにもどんどん黒いものが近づいてくる。焦りながらもなんとか運ぼうとするがやはり動かない。運んでいると向こうからレフの声が聞こえてくる。
「おい!そこのお前!何してんだ!」
「見てわからない?運んでるのよ!!」
「何で敵のそいつを!?」
「見捨てるわけにはいかないでしょ!アリスなら...絶対そうしてるから!!動いて!!動いて!!」
そんなことをしているとすぎ近くまで迫ってくる。だが諦めずに運ぼうとするテティに、誰かの手が伸びた。その手はドグロを背中に乗せて運んでくれる。その姿を見ると、アリスだった。
「アリス...!」
「聞きたいことは...色々あるけど今は助ける...でしょ???」
「うん!」
テティとアリスはなんとかドグロを連れてなんとかその場を離れることができた。とにかく遠い所に逃げる。このまま連れていってもどうしようもないので、小さな部屋を見つけドグロを床に優しく置いてその場から離れた。一旦屋敷を出てその辺にあったベンチを見つけると腰をかける。少しの間、お互いに無言だったがテティから話を始めた。
「アリス...わたし...!」
「いいの。色々あったんでしょ?」
「聞かないの?」
「うん」
そこで会話は途切れる。テティはアリスの方を見るが、怒っても悲しんでもいないいるものアリスだ。
「でも1つ聞かせて。あなたに何があったのか...何がそうさせたのかを」
「きっと言っても信じてもらえない」
「信じるよ」
「アリスのお人好しのところはいい所でもあるけど、悪い所でもあるよね」
「それどういうこと?」
そうは言うが、信じるほどの信頼関係ということでもある。テティは今まであった事を話した。ギルメラによって一度世界が崩壊したこと。そこでアリスや色々な人達を無くしたこと...そしてそこから時間を巻き戻ってそうならないようにゲルム達についたこと...。
普通ならバカげたような話と思うだろうがアリスはテティの話を真剣に聞いてくれている。
「信じてくれるの?」
「どのぐらいテティと一緒にいると思ってるの」
「...ありがと」
アリスは「さてー!」と言いながら立ち上がる。そしてまたあの屋敷の方に戻ろうとしていた。
「どうするの?」
「とりあえずそのギルメラ?ってのを退治する準備の手伝いをとね。テティも一緒に行くでしょ?」
「もちろん!!」
テティはそう言うとうええしそうに笑顔を見せた。
「くそー!テティはどこにいるんだよ!」
アンバーグはテティを探しながら屋敷を彷徨っていた。屋敷が思った以上に広いのもありどこにいっていいかが全く分かっていない。廊下は長いし。部屋はいっぱいあるし...どうすればいいのか分からずただただ歩いていた。少し歩くとまた別の廊下が現れそこにも部屋がいくつもある。一体どんだけ広いのか...などと考えていると向こうからも誰かの気配を感じた。
「敵か!?」
「あ!やっと見つけた!ダーリン!」
「げげげ!!」
それは魔物の街を歩いている時に出会いアンバーグにいきなり一目惚れをぢたアミナだった。目をハートマークにしてじっーっとアンバーグの方を見る。アンバーグは嫌そうな顔でアミナを見た。
「マイダーリン!!私の愛を受け取ってもらうわよ!!」
「はー、なんか嫌な予感」