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七十五話 巻キ戻ル刻


「あれ..?なんで?」



テティは再びあたりをもう一度見回す。アリスがいる。ゲノムもいる。七天聖のメイキスやノーブル、マックスヒーローズの3人もいる。やっぱりここは魔物の世界に行く寸前だ。

確かここで、ホワイがゲノムに魔物の世界に連れて行かれて...。



「え?え?ギルメラは?」



「ギルメラ?何言ってるの?テティ」



「何を言ってるんだ?」というような顔でアリスはテティを見る。

アリスはともかく、ゲノムの面々は何か知っているんじゃないかと聞いてみる。



「あんた達は何かを知ってるんじゃないじゃないの?」



「さあ?何の事だか」



ゲルムも全く知らないようだ。やはりここは...ギルメラの事件が起こる前なのだろう。信じたくはないが...。



「テティ大丈夫?突然」



アリスは心配そうにテティを見る。テティは今の状況を飲み込めずにただテティだけをみていた。



「話は終わったか?ゲッゲッゲ」



「ええ。それで何だったっけかねえ?」



「そこのホワイを貰っていく」



「何でそんなことをするの?」



「ま、ある計画のためにね」



その言葉にハッとする。その計画って..あのギルメラを打ち倒すために星7の装備を集めているとかいうやつじゃないのか??もしかしたら、それがうまくいけば、ギルメラに支配されたあの世界を変える事ができたんじゃないのか...。



「計画?計画って何よ?」



「それは教えられないがな」



「そんなので『はいそうですか』って渡すわけないでしょ?



「まあだろうな」



ゲルムはそういうと杖を構える。あれは確か...眠りの...!咄嗟にテティは「眠りの奴が来るよ!!!」と叫んだ。

杖から黒い煙のようなものが噴射される。アリス達は当たらないように距離を取る。




「あいつ...まさか」



「さて反撃と行きたいけど、あの煙が厄介ね...」



「その星7は渡さないでアールよ!!」



隣にいた七天聖面々が煙避けるように迂回しながらゲルムの方に向かっていく。ゲルムは向かって来るメイキスの攻撃を杖で受け止める。



「ほう人間(ムシ)もやるもんだな」



「うるせえ!」



「ていうかノーブル!!お前も戦えよ!!」



戦い中にメイキスがノーブルの方によそ見をすると、ノーブルは何やらお絵描きをしている。メイキスは一旦ゲルムの方に向くと剣を杖から話すともう一度突きをゲルムに向かわせる。



「俺のいるのを忘れるなよ!!」



その直後、後ろからガーディスが攻撃を仕掛けてこようとするが、ゲルムは後ろに下りまた黒い煙を杖から吹き出して来る。


「またこれか!」


メイキスもガーディスも腕を使って口と鼻を塞ぎなが、もう一方の剣を持った手で攻撃を続ける。


「さすがにこの2人相手はきついか..!こうなりゃ奥の手で...!」



ゲルムが床を杖で軽く叩くと、周囲の床から眠らせるのと同じ霧が噴き出る。その範囲はとても広くあっという間に周りは見えなくなってしまった、



「なんだこれ!!」



先ほどとは違い周りが見えなくなるほどの霧に包まれ視界が全くわからなくなってるメイキス達に近づき杖で少し強めに腹に部分を突く。すると腕が手から離れてメイキスは大きく霧を吸ってしまう。

それをみてゲルムはニヤリと笑みを浮かべる。



「俺たちも行くぞ!」



「はい!リーダー!」



マブ、アル、ホーの3人がゲルムの方に向かっていくが、眠りの効果がある霧が立ち込める中に突っ込んで行けばどうなるかなんて誰にだってわかるだろう。

案の定3人ともすぐに眠らされあっさりと戦闘不能にされた。

霧が晴れるとメイキスもガーディスも眠らされていてゲルムだけが立っていた。ガーディスも同じようにされたのだろう。



「お前らはそんなものか?さあ、そこのホワイを渡してもらおうか?」



ゲルムの眼差しはホワイに向く。ホワイは少し怯えた表情でアリスの後ろに隠れる。



「ま、すぐにこっちに来ることになるからな」



「ゲルムの所に...」



テティの頭の中ではまたあのおそろいし光景が思い浮かぶ。ギルメラの滅した世界の光景が...。



「ならいっそのことゲルム達に渡した方がもしかしたら...」



「テティどうしたの?なんか変だよ?」



「あ...いや...」



アリスにそう誤魔化すテティの頭の中ではゲルムに渡すという選択肢が浮かぶ。

だが本当に信用していいのか?などという考えがゲルムの計画が成功しなかったら、またあの未来に行きついてしまう。ならいっそのこと...。

ぐるぐるとそんな事がテティの頭の中で頭の中で渦巻いていた。



「くそ...こうなったらこのまま逃げて...」



「それはダメ!!」



咄嗟にテティがそう叫ぶ。アリスは「なんでよ!」とテティに尋ねるが、テティはなかなか言おうとしない。 



「どうしたの?本当にさっきから!」



「それは...」



流石にギルメラの話をしても信じてくれないだろう。「何言ってるの?」とあしらわれて終わるのが関の山だろう。



「さあ、渡してもらおうか」



「いやよ」



「まあ、だろうな。力づくでやらせて貰うからいいけどな」



「そうはさせない!テティはホワイト一緒について行って、ホワイを無事なところまで誘導して!」



「....」




「聞いてる?」



「あ、うん...」



上の空のテティはそのアリスの言葉に慌てたようにそう返す。先ほどから変だったテティの様子は気になるがアリスは3歩出て剣を構える。



テティは歯を噛み締めるとホワイの手を掴むと走り出した。だが、それはアリスが望んだ方向ではなく、ゲルムのいる方向だった。

ゲルムはテティの方へと向かうとすぐにホワイを捕まえて眠らせる。


「テティ...なんでなの?....テティ!!」





予期せぬ事にアリスはテティの名を呼ぶ。だがテティは何も答えようとしない。なぜこんなことをするのか。アリスはテティの名をもう一度言うが一瞬アリスの方を向いただけで何も答えなかった。



「テティ!!答えてよ!!テティ!!」



だがその妖精は黒い渦の前で立ち止まったままで何も言わない。

羽をパタパタさせながら止まっているテティをゲルムは「行くぞ」と促す。



「テティ!!」



またアリスはテティの名前を叫ぶ。何度も、何度も叫ぶー。

何度も、何度も、何度も、何度も...。

だがテティには何も言えなかった。こうしないと、またあの悲劇が起こってしまうのだから。もう、ギルメラによる支配が起こるあの悲劇にはさせない...。そう胸に誓いながら。



「テティ!!テティ!!!」



「ごめん....」



その声に応えるかのように少女の方を向く。だがその悲しそうな目をこちらに向けながらそう言い、言い渦の中に入ってしまった。「テティ...」と小さく呟き伸ばしたその少女の手は手は届かず、ただ空虚を握りしめるだけだった。

第一幕完!!



一話冒頭も回収...まあもう少し早くやる予定だったのですがこんな感じになってしまいました。

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