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六十七話 災い呼ぶデッドレース!!



「ゲッゲッゲ、いいのか?」



「いいって?」



ゲルムのその質問に、不思議そうにラグナはそう返す。



「お前もなんか目的があって狙ってたんだろ?裏切りってやつになるんじゃないのか?」



「あそこは俺には退屈だった。破壊も絶望もない、暇つぶしにもならない場所だ」



そう言いながら耳に指を突っ込みふっ、とその突っ込んだ指に息を吹きかける。

向こうから飛んできた小さなハエがゲルムの近くに飛んでくる。そして耳元で何かを伝えているようだった。



「お前のお仲間っぽい集団がこちらに向かって来ているようだ」



「そうか...」



そう言いながらおもむろにラグナは立ち上がる。そして「どっちだ?」とだけ問い、ゲルムが北のほうを指差すと、そっちの方に歩き出した。



「どうする?ゲールちゃん」



「だからそれをやめろと...まあいい。とりあえず我々は我々のやることをするぞ」



バーリムの言葉をスルーしてゲルムは歩き出した。ゲルムは立ち止まりバーリムの隣に居るポロロの方を向いた。




「いいか?今度はちゃんと従うんだぞ?お前は私に従ってればいいんだ」



「...はい」



ポロロは、アリス達が魔物世界であれこれしている時に争いを止めようとしてそれについて咎められた。

ゲルムびも一応許すと言われて一応お咎め無しということになって現在の状況に至るのだが、あの時のアリスの言葉はまだポロロの中に残っていた。



「おー、ゲルちゃんこわーい」



バーリムの茶化しはどうやら聞こえてなかったようで、そのまま歩き出すゲルム。

取り合ってもらえなかったバーリムは少し不満そうな顔になりながらついていった。




-


アンバーグは、チャッピーを再び墓場におり立たせた。ルビス達が外に出ている様子はなく、まだ中にいるのだろう。アンバーグは中の探索をしようとまたこの場に降り立ったのだ。



「あれ?テティじゃねえか。まだこんんなとこにいたのか?」


そこには先程下ろしたテティの姿。だがアリスの姿はどこにも見当たらない。テティはアンバーグを見ながら泣きそうな顔で「テティが...テティが...」とだけ声を震わせて言った。



「おい!どうしたんだよ!」



心配するアンバーグに、先程起こった事を説明する。女の霊が現れ、アリスを連れて行こうとしたこと。慌ててひき戻そうとしたがダメだっただった事などを事細かに話した。



「ほーう...いいなあアリス...そんな美人の幽霊に連れてってもらえるなんてな!」



「そんな事言ってる場合じゃないでしょうが!!ところでルビス達は見つかったの?」



「いいや。こっちもダメみたいだ。一緒に洞窟内をもう一度探索すっぞ。もしかしたらルビス達もアリスもいるかもしれない」



「そうね...」



「心配すんなって!見つかるさ!」



少し不安げな表情をしていたテティにそう声をかける。テティはそれを聞いて「そうね...」とだけ小さく呟いた。



「いくぞ」



「はいはい」



そう言いながらアンバーグ達は洞窟の中に入って行く。薄暗い洞窟は相変わらず何かが出そうな雰囲気だ。



「あれ...!私たちが乗ってたトロッコ!」



前方に見える古びたトロッコを見てテティがそう叫ぶ。たしかにそのトロッコは先程アリス達がここにたどりつくためににっていたトロッコだった。急な坂になっていてまるでジェットコースターのように揺られたトロッコはなかなかの物だ。



「あのトロッコじゃあ...戻れないよなあ、流石に。



「あっちの方にも道がある、行ってみようよ!!」



テティとアンバーグが進むと、誰かの姿が見えて来た。アレは...よーく見るとその姿はゲイナスだと分かった。ゲイナスもテティ達を見つけるとこちらの方に近づいてくる。



「おお、奇遇だな。何しにこんなところに来たんだ?」



「言うわけないでしょ」



「そうか...」


どうやらゲイナス一人だけのようで他に人の気配はしない。



「アンタこそ何しにきたの?」



「まあ、色々とな」



「じゃあ、アンタを倒せば色々良さそうだがな」



「おい、待て待て」



剣を構えるアンバーグに、ゲイナスはそう言いながら手をパーにして左右に揺らす。



「待て待て!俺はラグナさんやそこらへんのやつみたいに野蛮じゃない。勝負は戦いじゃないのでどうだ?」



「うーん...」



正直、アンバーグが戦いで勝てるような気があまりしない。だからと言ってた向こうの提案を鵜呑みにするのも何かありそうな気もする。



「いいぜ」



意外にもその提案を呑んだのはアンバーグだった。テティは何か言おうとしたが、おそらく戦いよりかはマシだろうとないも言わない事にした。



「戦いはあれだ」



そこにはトロッコが2台ある。ということはまさか...。



「これでかくれんぼでもするのか?」



「バカ、そんなわけないでしょ」



アンバーグのボケにテティがそう突っ込む。ゲイナスはおほん!と咳をして話を続ける。



「レースってのはどうだ?」



「レース?」



この辺はトロッコのレールが枝分かれしててレースするにはもってこいの場所なんだ」



「わかった」



そういうとアンバーグはトロッコの方に近づく。アリス達の使っていたのより少し新品そうだが2つともサビのようなものがある。



「よし、こっちにするか」



右側のトロッコに乗り、アンバーグは小さく「よろしくな」と言いトロッコを撫でる。



「ルールは簡単。ゴールは木でできた赤いアーチのある場所だ。おそらく進んでいけば分かるだろう。そこにどちらが早く着くかの勝負って事でいいか?」



「ああ」



「そこのレバーを引けば動き出す。道が入り組んでいるから俺にもどうなるかはわからねえ..」



お互いにトロッコに乗り込みレバーを引く。するとどちらも動き出した。

最初はゆっくりだったがだんだんスピードが出て。どんどんそのスピードが早くなって行く。



「うわわわ!」



「さあ!どっちが早いか勝負しようじゃねえか!!」



トロッコは数分も経たないうちに爆走と言えるほどのスピードになり、右へ左へと忙しそうに移動する。



「おいおいおい!大丈夫なのかこれ!!



ガタガタ右や左に揺れながら動くトロッコにアンバーグは心配そうにつぶやく。



「大丈夫。骨は拾ってあげるから」



「それ大丈夫じゃねーだろお!!!」



レールが入り組んでいてトロッコ同士がとても近い位置にまで近づいてくる。たまにぶつかりながら火花を散らしてもいる。もう満身創痍という感じのアンバーグにグィナスの方は、まるでアトラクションに乗っているかのようにとても楽しそうだ。



「もう限界か?」



「まだまだあ!!」



限界そうな顔でやせ我慢でそういうのだが。表情は死にそうな顔をしていて全くそれが伝わってすらこない。

少し行くと崖のようなところに来た。



レースが敷かれた道以外は奈落になっていて右も左もぽっかり穴が空いたようだ。あるのはトロッコが通れるぐらいの道と、そこに敷かれたレールのみ。脱線でもしたら大変だろう。

そのレースの敷かれた一本道は右へ、左へとウネウネと移動しながら進んで行く。少しすると赤い木でできたアーチが見えきた。あれが先程言っていた、ゴールだろう。



「さあ!ラストスパートだ!」



だがその時、目の前に何か赤いものが落下して来た。それは大きな音を立てて爆発し、その爆風でトロッコも道もふっとぶ。右上の方を見ると白い服の男が去って行くのが見える。



「てめえ!やっぱこれが目的か!」



「違う...!これは...!」



「アンバーグ!」



テティは飛びながらアンバーグを掴もうとするが、テティほどの小ささでは持ち上げることすら困難で一緒に奈落へと落下していった。




✳︎


「よお、お前たち」



そう言いながら突然現れたラグナに、メイキス達は動揺を見せた。



「ラグナ!今更戻ってこれると思わないでアールよ!」



「んなもん分かってるさ」



「もうあのお方に報告済みだからね」



その言葉に少し動揺を見せるが舌打ちをして剣を構える。



「俺は破壊と絶望の使者...!全てを壊すだけだからな!!」



「行くしかありませんね...あいつを止めるのです!」



「こっちは4人もいる。いくら2位でも数の力じゃ...!」



メイキス、ノーブル、クラウ、ミーファの4人その続きを言いかけるとあっという間にクラウの目の前にラグナの姿。そしてクラウを剣で強く叩き斬った。



「数が...なんだってえ?」



メイキスが雷をまとった剣を振るがラグナはそれを横に避ける。メイキスの剣が地面にあたると、地面を伝い、あたりに雷が広がって行く



「ノーブルの矢は...変化させる事ができるのでアール!!」



そう言いながら放たれた矢は3つに変化しラグナの方に向かって行く。だがラグナはすぐに姿が消え少し右のところに移動していた。

すぐさまメイキスが攻撃をするが、いつの間にか先程の矢を避ける前の位置に移動していた。



「当たんねえよ!!」



ノーブルはもう一度矢を放つ。その矢は今度はウサギに変わりピョンピョンと可愛げにラグナに近く。




「お前のやることはわかってんだよ!」




剣を一振りするとウサギは矢へと戻ってその場に落ちた。そしてメイキスの攻撃も避けて一度斬りつける。



「ぐっ...」



「メイキス!」



「あー弱え弱え弱え弱え弱え!もっと破壊したい奴はいねえのか!内部からぶっ壊してやりてえような奴はよお!!」



メイキス達を圧倒していい気分になりながらそう呟く。はあ、とため息をつき顔を下にやる。そんなとても退屈そうなラグナはメイキスをふんずけ足を左右に動かす。



「あれれー?皆揃って何か凄く楽しそうな事をしてんじゃん!!」



突然聞こえてきたその無邪気な声は、メイキスたちを圧倒していい気分に浸っていた先程までラグナを一気に腹立たせる。

ラグナはその声の主の方を険悪な顔で睨みつけた。



「てめえ...何でここに居るんだよ...!」



その声の主は幼い見た目の15または16ぐらいほどの少女で、茶色の獣のような耳とフサフサの大きな茶色い尻尾を左右に振りながらさせながらラグナの方を見ていた。

隣には赤と青の小さい悪魔のようなもの達を連れている。



「もーう!!ボクだけ仲間はずれなんてずるいじゃん!ボクも仲間に入れてよお!」



「何でここに居ると言ってんだよ!ルナぁ!!!」

武器紹介ー



ノーブルの矢



その名の通りノーブルが扱う矢。特注品でノーブルのために作らたもの...らしい。

数や姿を色々な子のに変えられるが大きいものや数も数本のみと使い勝手は微妙。

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