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四十九話 滅竜剣 ドラゴン・バスター


アリスがガーディスと対峙する一方、ユオは別に潜入を続けていた。曲がり角になると誰もいないことを確認しながら進んで行く。

少し進んではそれを繰り返し慎重に、できるだけ見つからないように進んでいく。




「よし、この調子なら行ける!」



「ゲッゲッゲ、何が行けるって?」



「っ!」



そこにはゲルムの姿。なぜここに...そうユオが思っているとゲルムはゲッゲッゲ、とまた不気味に笑う。



「君たちが来ることは分かっていたよ。人間と一緒にね」



「何でそれを?」



「ま、それはすぐに分かる事さ。それにしても、また君がここに来るなんてね。ゲッゲッゲ、意外だなあ。しかも人間なんかと組んで。また裏切られるとは思ってないのか?」



「黙れっ!!」



ユオは激しくその言葉にそう叫ぶ。歯を噛み締めてゲルムを見ている。ゲルムはそれを見ながら「おー怖い怖い、ゲッゲッゲ」と言いながら手を左右に振る。



「今度それを言ったら!潰すぞ!」



「ま、あっちは任せてるし、僕はこっちのハエを駆除でもするかな」



そう言いながらゲルムは剣を抜く。その剣は竜の柄に鋼のように光沢のある刃。それを見るや否やユオは衝撃を受けた。なぜなら。そこにある武器は...。



「ドラゴン・バスター...なんでお前が?だってその剣は、英雄の...俺の...」



「ゲッゲッゲ!知りたいか?知りたいだろう」



「てめえ!!」



そう言いながらユオは槍を抜きゲルムの方に向かう。剣と槍がが擦り合わされる音が聞こえる。だが伝説の英雄の使っていたものということもあって、その強さはユオでは到底及ばないほどだ。


「その剣は英雄が使った云々とは別に、お前には特別なモンがあるだろうからなあ。ゲッゲッゲ」




「お前がそれを語るな!」



そう言いながら槍で何回もついてみるが全て剣に阻まれてゲルムまで届かない。

ゲルムが少し余裕そうな顔をするとユオの槍は伸び始め、ゲルムの顔へと一直線に向かって行く。ゲルムはそれを避けようとして顔を動かすと、槍は頬をかする。



「どうだ?この俺の武器!この伸びる槍は!」



「ゲッゲッゲ、面白い!だがそんなもの一回見てしまえば!」



「この野郎が!」



ゲルムの攻撃になんとかユオも応戦する。何回かまた槍を伸ばしてみるが2度目ともなると流石にゲルムの方も学習しスラスラと避けてしまう。



「もう同じ手は食わんぞ!!」



「流石にダメか...」



「ゲッゲッゲ!ドラゴンバスターの力を見せてやりたい...ところだが屋敷をぶっ壊したくないからな!お前程度なら必要ないだろう!」



「うるさい!!」



剣を交えるが、ゲルムが後ろの部分で首を後ろを叩くと、ユオはすぐに気絶する。

ゲルムは気絶したユオを担ぐ。すると向こうから2つの足音がやってくる。そのうちの1つはポロロで、もう1つは骸骨の魔物だ。



「ゲルムさん何事ですか??」



「ああポロロか。あとドグロも。準備はできてるか?」



「ああ、仕込みもバッチリだ」



ゲルムの問いにドグロと呼ばれた骸骨の魔物はそう答えカタカタと口を上下する。ドグロは、服などはきておらず全身が骨になっていて、骨と骨の間には隙間が空いている為か赤い心臓が顔を出している。



「ゲルムさん、ドグロさん、一体何を?」



「お前は知らなくていい。お前はずーっと俺の言うことだけを聞いてればいいんだ。だってお前は下位、俺たちは上位なんだからな」



ポロロの質問にゲルムがそう答える。その言葉と近づく顔に圧倒され「あ...はい」とだけ言ってから小さく頷き、そこからはもう何も聞かなくなった。






「あんた!何でこんなことを!?」



「時間がねえんだ!お前を殺さないと!殺さないと!!ニアが!!」



「ニアって死んだ幼馴染でしょ?なんで?



「うるせえ!とっとと消えろ!」



ガーディスが剣を振る。それを避けてまたアリスは問いかける。



「そんなことを信じるの!?」



「今にも死にそうなんだよ!だから...だから...!」



その必死さにアリスはガーディスを見る。ガーディスは本気のようだ。アリスが問おうとしても、何も答えてはくれない。なぜ、このようなことを始めたのかを...。





なぜこうなったかというのは、少し時間を遡る必要がある。それは、アリスが来る少し前だった。ガーディスの前に現れたゲルムはこう持ちかける。「お前の幼馴染のついた呪いのものを知っている」と。半信半疑ガーディスはまだ警戒を緩めない。いきなりそんなことを言われてももちろんすぐに信じるわけがないのだ。だが事実、すぐにでも助けたいと思いう気持ちもあり心が揺らぐ。



「そいつは死の呪い。放っておくと死ぬぞ」



「死ぬって...!」



「ああ、まあ信じるかはお前次第だがな人間(ムシ)。ゲッゲッゲ」



だが魔物が絡んできた時あのマークを見て「気分が悪くなる」と言っていた。この自分達よりかはなにかを知っている可能性は十分にある。だが...



「残念だがお前らを信用できないんでな」



「ガーくん、いた!」



ひょこっと顔を出したニアにガーディスは驚いた表情をする。ニアはガーディスの近くまでよるとじーっとガーディスを見る。



「お前、どうしてここへ?」



「なんかねー、ガイコツの人に教えてもらった」



「行くぞ!」



「うん!」



だがその時だった。ニアが突然苦しみ出したのを見てガーディスはニアを抱え上げて心配そうな顔になる。それを見てゲルムは「始まったか..」とだけ口にする。ニアの苦しみはどんどん強くなる一方でガーディスは必死に声をかける。



「そうなってしまったら、呪いでこいつはいずれ死ぬ。治す方法を調べてる余裕はないぞ?まあ、対処法を教えてやらんこともないがな?ゲッゲッゲ」



「...わかった、教えてくれ」



「それはだな...」



スーッと息を吸って、ゲルムはまた不気味に笑いながら続きを述べた。「アリスを消せ」と...。





✳︎


「何も答えてくれないの?」



アリスがそういうが、ガーディスはやはり何も答えようとしない。ガーディスはただアリスを消すことだけしか頭にないようだった。テティは何を言っても無駄だと悟りアリスにこう叫ぶ。



「しょうがない!何言っても聞かなそうだし、倒しちゃいなさい」



「わかった!!」



この世界で手に入れた手に入れた武器から緑のデザインをした槍を取り出すとアリスはガーディスの攻撃を受け止める。さっき手に入れたばっかりで、使い方などがさっぱりだがとりあえず戦うしかない。

アリスが槍で攻撃をすると何やら変な笑い声が聞こえてくるそれはゲラゲラと馬鹿のするような声でガーディスを煽るように笑いは続く。



「えーっと、これは『ラフスピア』攻撃すると笑いで相手の注意をそらすです?」



「何よこれ何に使えんのよこんなもの!アリス!大丈夫!?」



テティのその問いにも答える暇がないぐらいの容赦のないガーディスの攻撃が続く。攻撃を槍で回避しながら攻撃をする。



「このスキル、笑い話っていうので!はあああ!!」



「いやなー!この前面白いことがあってな!聞いてくれや!」



槍からエセのような関西弁が流れ出す。なんでこの世界に関西弁があるのかとかは置いといて、その声はまるでマジンガンのようにトークを始める。



「とある白い動物がいてなーこれが面白いんやー!尻尾も白いんやて!え?何で面白いんやて?そりゃー決まっとるやがな!尾も白い何つってなー!あははははは!!!おもしおいやろー!」



それを言い終えると、槍は何も喋らないただの普通の槍となった。どうやら終わったようだ。アリスは無言のまま、細長い円柱の木でできた持つ部分をバキッという音を立てて真っ二つにした。



「まだまだここで手に入れた武器はいっぱい...!」




取り出したのは木でできた見た目は普通の弓矢で、それを構え放ってみる。だがその矢はあさっての方向に行き壁に突き刺さる。もう一度撃ってみるが、まるでガーディスを避けるように軌道を変え今度は近くにあった銅像に当たった。



「何これ?『当たらない弓』?これは絶対あたりませんって何よこれ!」



表示された矢の説明を見ながらそうアリスは呟く。こんなネタ要素のある武器もあるのか...。



「遊んでる暇はねえ。お前を消せば...!」



「俺のアリスに何やってんだよ、テメェは」



その時だった。突然現れた1人の男は、大きな斧を振り下ろすと、それは暴走するガーディスにあたり壁を突き破って外へと飛ばされる。大きな音とともに



「お前は邪魔だ。何やってんだ、どきやがれ」



そいつはそう言いながらこちらに向かって歩いてくる。アリスはその人間の男を見て怯えたような顔になる。テティは何が何だか分からずアリスに声をかけてみるが全く反応がない。



「なんで...なんであんたがここにいるのよ!!!リグ!!!」



「会いたかったぜ!俺のアリスゥ!」



そいつはそういうと不気味な舌舐めずりを見せた。

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