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四十五話 光と闇の拮抗



「なんなの...?このトカゲ!」



「ゲッゲッゲ、人間(ムシ)がたくさんいるな」




そのトカゲの魔物はそう言いながらホワイの方を見てどんどん近づいてくる。このトカゲもホワイ...と言うよりかは星7の装備を狙っているのか?



「もうここにまで来たでアールよ」




「ゲッゲッゲ、その星7の装備は僕らゲノムのものだ」



「ゲノム?いやちょっと話が見えてこないんだけど?」



「我々はゲノムから星7の装備から守るために保護をしてるのでアール」




その言葉を聞いて再びそのトカゲの魔物を見る。七天聖は、このゲノムとかなんとかからホワイ..もとい星7の装備を守るために狙っていたのか。アリスはホワイの手を掴んで辺りを見回す。どうにかしてこの状況から脱する方法を見つけようとする。



「へえ。このトカゲ野郎からこいつ..名前は知らないがを守る為に?保護を?」



その話に乗ってきたのはガーディスだった。ガーディスは「へえー」と言いながらホワイの方に歩いてくる。



「でも、そんなモンを鵜呑みにしてお前らに渡すとでも思うか?」



「渡さねえなら力尽くと言う事にもなるが?」



「面白れえじゃねえか。アリスと戦う予定だったが、予定変更だ。七天聖とやらのお手並み拝見、とでも行くか?」



「無理よ!ガーディスが勝てる相手じゃない!!」



ガーディスでもおそらく勝てる相手ではないだろう。戦いで解決するのは恐らく不利になるだろう。だからどこか逃げ道をどうにかして作らないと...。アリスは先ほどから何か逃げるのに使えそうなものを探すがなかなかいいものが見当たらない。ゲノムもいるし、また同じように「あそこに何かが!」とか言うのは通じないだろう。



「待て待て!ここは公平に行こうじゃないか!」



「お!リーダーかっこいいー!」



そこにしゃしゃり出てきたのはマブ。おそらくこいつがいると自体がややこしくなるだろう。そういえばマックスヒーローズの3人組はハルガンデスから解放されてその辺に倒れていたのだった。

マブは笑いながら喧嘩の仲裁をするかのように両手を横に広げる。



「今の話を聞いたところ、悪いのは全てこのトカゲ野郎と見た!こいつをぶっ潰せば解決じゃないのか?」



「よっ!リーダーさすが!」



「世界一〜」



まさか七天聖のアレを鵜呑みにするとは、マブの頭はスポンジにでもできているのか...?そう思う一同にマブはドヤ顔でトカゲの方を指差している。アリス達はダメだと頭を手で押さえて、ほんの少しでも期待した自分をアリスは恥じていた。



「お前、頭がスポンジとかできてんじゃねーのか?」



「なっ!」



ガーディスがアリスの考えていたことと全く同じ事をマブに容赦なくぶつける。マブは「なにをー!」とガーディスの方を向いて敵意剥き出しにして睨みつけた。アリスは街にあるマンホールを見つけるとそれに目をつけた。ちょうど5歩ぐらいの距離で逃げるならちょうどいいと言えるぐらいだろう。アリスがマンホールに向けて一歩踏み出すと、アリスの足元に何かが飛んできた。



「なーに逃げようとしてんだお前」



「くっ」



メイキスが動いたアリスに向かって小さな雷を打った後だった。次動いたら今度はアリス自体が狙われるだろう。ハルガンデスとの戦いの後ということもあって体が完璧と言える状況ではない。少しズキズキと痛むところもある。迂闊に無駄な動きもできない。



「つーかさ、お前魔物なのになんでここいんの?ここ魔物入れない結界みたいなの張ってるはずじゃないの?」



「ゲッゲッゲ、人間(ムシ)は面白いものを作るな...これだ」



クラウが投げかけたその質問を投げかけられたトカゲの魔物は紫の石を出す。周りがゴツゴツとしていて綺麗に光る石だ。おそらくこれが先ほどの質問の答えなのだろう。



「これは結界やバリアの類を無効化してくれるアイテムだ。だから人間(ムシ)が何やっても無駄なのさ」



「さっきからムシムシって何言ってんだ?そこのトカゲ野郎は!」



「ゲッゲッゲ、人間(ムシ)人間(ムシ)だろ?」



「で、いつまでこのしょーもない話をしてるんだ?力尽くで来るなら来いよ。正直このホワイ?とか呼ばれてる女が誰の手に渡ろうがどうでもいい。俺はお前らと戦いてえ、それだけだ」



「ガーディス!」



ガーディスは戦う気が満々のようだ。ガーディスが剣を構えてメイキスの方に向かう。キン!と大きな音を立ててガーディスの剣とメイキスの剣がぶつかる音が聞こえる。その隙にトカゲの魔物が近づいて来るのを見てメイキスはクラウとノーブルに声をかける。するとクラウとノーブルはトカゲの魔物の道を塞ぐように遠距離から攻撃をする。



「いくよ!」



「え??」



困惑するホワイを引っ張るように走り出す。トカゲの魔物は弓を取り出すと上に向けて放つ。すると黒い煙が辺りに立ち込め始めた。それは一気にアリスもガーディスもメイキスも何もかもを包み込んで周りは何も見えなくなる。



「なに...これ..!」



「くそ...視界が!!」



視界がぼやけてくる。視界がどんどん狭くなっていく。このままでは...。ホワイに手を伸ばすが、それは届かずアリスは意識を失ってしまった。



「おいノーブル!!何とかならねえのか!?」



「今お絵描...忙しいのでアール」



「てんめえまた違う事をしてた...」



メイキスもノーブルもその煙の中で倒れていく。その中で倒れていないのはトカゲの魔物だけだった。そのトカゲの魔物はゲッゲッゲと奇妙な笑い声をあげてホワイと、ついでにアリスとガーディスを担いでどこかに消えてしまった。











目を覚ますとベッドの上にいた。青い天井が見えた。一体ここは...?

起き上がるとどうやら、部屋のようだ。見たことない家。一体この部屋は..?

ガチャと言う音と共に誰かが入ってきた。それはあのゲノムとか名乗るトカゲの魔物だった。

気を失っている隙によくわからない場所へと連れてこられたと言うことは分かった。と言うことはホワイは...星7の武器はもう既に奴らの手中にあると思って良いだろう



「ゲッゲッゲ、来い。とって喰ったりしねえから安心しろよ」



「あなたは...?ここは...?」



「それも全部教えてやるからとりあえず来い。お前にはお礼が言いたくてな。お陰で白の魔術師から星7の装備を取れたからなあ!」



ホワイと共に。おそらく誘拐でもされたのか?と思いながらついていかないと危なそうな感じがし、アリスはついていく事にした。廊下は赤いカーペットに紫の壁が続く。しばらく歩くと茶色い扉があり、それを開くと大きなテーブルのある部屋が現れた。白いシーツが敷いてありろうそくが2、3本立っている。

ここも紫の装飾がされている壁や天井に床は白いフローロングと言う感じだ。




「ここは何なの!?」



「とりあえず、その質問に答えるために、外を見るといい」



「外..?」




この部屋の奥の壁はガラス張りになって日差しが照りつけている。恐る恐るそちらの方に行き、外を見てみる。その外の光景に、アリスは目を見開いて驚きを隠せないような表情となった。



「何!これ!?この場所は何なの!?ホワイをどこへやったの!?」



「ゲッゲッゲ、この人間(ムシ)は質問が多いなあ。じゃあとりあえず一つづつ答えてやるとでもしようかな?まずはこの場所だ。ここは、お前ら、人間(ムシ)がさっきまで、いた場所じゃねえんだ。ここはそうだな...ここは魔物だけが住む世界、グリアージュ..」



その外に見えたには、人間などは存在せず、行き交っている住人は全て魔物という不思議な光景の街だった。

本当に2ヶ月も待たせてしまい申し訳あろませんでした。

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