表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/174

四十話 生まれ変わる世界


それは少し前に遡る。草原が広がるその場所で、アンバーグは立ち上がる。服についた赤い液体を見て不満そうな顔になった。



「あーHPとマジックポイントを回復する貴重なアイテムだったのに..!アリスのやつ..!」



その割れている瓶と地面に流れている液体を見てそう呟く。アンバーグは確かに、アンバーグに操られていたアリスによって消されそうになっていた。だがアリスは戦っている最中にこのようなことを口にしたのだ。「西にある大きな穴の中」と。

最初は訳がわからなかった。操られているはずのアリスがそんなことを言うなんて...その時アンバーグはアリスは操られてなどいないと気づいたのだった。



「そうか...この回復の薬の赤い液体を使って俺を殺したように見せかけたのか...」



アリスはアンバーグにとどめを刺そうとした時、アンバーグには剣を当てなかった。赤い液体の入った瓶を狙い剣を突き立てるとアリスの狙い通り命中し、赤い液体が流れ始める。

ヘントールはその時遠くから見ていてその赤い液体が血だと勘違いさせることに成功しあたかもあの時アンバーグが死んだように見せかけることができたのだった。



「くそー!後で色々言ってやるからな!」




アンバーグは言われた通りに西へ西へと走り出した。しばらく行くとコンクリートのような場所に出て、その地面に不自然な穴が開いているのだ。その穴はアリスがクエスト中に開けたものだった。中を覗くが暗くて何も見えない。

なんだか中から異様な感じがする気がしてきた。

アンバーグはおそるおそる下に降り灯をともす。どうやら空洞になっていて奥の方は暗くて全く見えない。



「アリスはここで何を発見したんだ?もしかして!お宝か!?!?」



そう考えるとアンバーグのテンションはぐんぐん上がっていく。もしかしたらアリスが取れなかったお宝か何かなのか..!そう思うとアンバーグの足はどんどん早くなって行くのだった。

しばらく歩くと赤い光のようなものが見える。アンバーグはお宝かと思い急ぎ足でそこに向かう。だがアンバーグの期待は外れるものとなった。



「はあ?なんだ?これ」



アンバーグはその物体を見て、不思議そうにそう呟いた。その反応はアリスがこれを見つけた時のものと全く同じだ。

赤い心臓のような物体で、アンバーグに何十倍もの大きさがある。時々ドクンドクンと鼓動を鳴らしている。その不気味は天井と床に伸びた赤い触手のようなもので支えられて宙に浮いている状態だった。



「なんだこの気持ち悪いの。お宝かと思ったのにアリスのやつ!!!」



そう言いアンバーグはその心臓のような赤い物体に探検を刺した。そこからは赤い液体が流れてその心臓の鼓動は止まってしまった。

アリスに騙されたと思っていたアンバーグは何度も何度も憂さ晴らしにその心臓のような物体を突き刺す。それがレッドハートだとも知らずに...。











「どうやら、アンバーグがやってくれたようね」



「おのれ...!」



ハルガンデスは、アリスに怒りの表情を見せる。このようにして、アリスはアンバーグを殺したように見せかけてレッドハートのところまで行かせ、破壊したのだ。



「私が行った時にたまたまへントールとか言うやつがいて、そいつが『困る』とかなんとかって言ってたから大事なものだとは思っていたけど...!まああの時はまだあれがレッドハートだと夢にも思わなかったけどね」



「だが!レッドハートを破壊したところで勝てる訳がない!!!」



「どうかしら?」




「なぜならもうすぐこの世界は終わりを告げるのだからな!」




「終わり??」



そうアリスが尋ねるとハルガンデスは「そうだ」と返す。



「この世界は生まれ変わる!!!魔物の世界にな!人間は全て魔物に変わる!そして魔物だけが住める世界になるんだ!!」



「そんな!冗談じゃないわよ!」



「魔物になれば何もいらない。武器も、戦いも、何もかもだ!」



「そんなことのために..!」



歯を食いしばり向かってくるアリスに、ハルガンデスは大きく両手でアリスを押し潰そうとする。間一髪でアリスは避けたが、地面にヒビが入っている。

すごい威力だ。確かにレッドハートを破壊できたとはいえ1人で敵う相手かどうかは、正直なところ分からない。

それでもアリスはひたすらハルガンデスに攻撃を加えていくのだった。



「うおおおお!この人間ごときが!!」



「アンタは倒す!絶対に!!」



「なんだよアリス。こっそり面白そうなことしやがってよぉ」



その声とともに持っていた剣でハルガンデスを斬りつける男の姿。それはアリスを追いかけてきたガーディスだった。その攻撃はハルガンデスの顔のところに直撃したようで、両手で顔を抑えながら地団駄を踏む。そしてハルガンデスは腕を振り下ろそうとするがガーディスはそのやってくる腕を吹き飛ばした。



「こいつの相手は俺だ。邪魔してんじゃねえよデカブツ野郎が」



「すごい...」



前に戦った時より明らかに強くなっているガーディスを見ていたアリスはハッとして自分もハルガンデスの方に攻撃を仕掛けようとする...のだがそれを邪魔するものがいた。ガーディスだ。ガーディスはアリスとの再戦を望んでいるし、今の状況など全く知らない。ただアリスが目の前にいるので邪魔をしたと言うよりかは望んでいたアリスとの再戦を果たしたと言った方が良い。



「今あんたと戦ってる場合じゃ!!」




「そう言ってまた逃げるのか?今度こそ再戦すんだよアリス!!!」



ガーディスの後ろからハルガンデスが攻撃をしようとする。ガーディスもアリスもその攻撃を避けた。だが、まだハルガンデスの攻撃は続く。



「チッ、うざってえやつだ!」



「ねえ、第2ラウンドといかない?あいつを先に倒すの」



「しゃあねえ!乗った!」



アリスとガーディスはお互いのスキルを組み合わせて行く。剣の間には青いバチバチと火花を散らせた2人のスキルが渦巻いている。それを思い切りハルガンデスに向けて叩き込んだ。ハルガンデス顔の前で腕をクロスさせて防ごうとする。凄まじい音とともにハルガンデスに2人のスキルが直撃する。



「無駄だぁ!」



「うそ!!」



ハルガンデスはその攻撃に怯むことなくアリス達の方に向かって行く。ハルガンデスはルビスとガーディスを手のひらで叩くと2人は勢いよく地面にぶつかる。



「さすがに...一筋縄じゃいかないね...」



「さあ、そろそろ時間だ!!」



そうハルガンデスがいうと、空から何かがゆっくりと降りてきた。青くとてもでっかい上に砲台のような発射口が見えている。その砲台のような先からは力がドンドン溜まって行くようだった。



「なに!?あれ!!」



「あれが世界を変える、混沌魔砲(カオス・バースト)だ!!」



混沌魔砲(カオス・バースト)...?」



「さあ!この世界を!!!魔物の世界にするのだ!!!ははは、はははははははははは!!!!」


唐突に魔物の金的を狙い出す小説とは一体...。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ