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三十話 終幕と新たな始まり



脅威が去ってて数週間ほどがたった。数週間じゃ街は完全に復旧とまではいかないが復興が進んでいた。人々もいつもの生活が戻ってきている。



「ちょっと!星3しか出ないじゃない!!!」



テティが怒鳴る。店主は頭をポリポリとかいて「俺に言われてもなあ...」とだけ言った。

オノマトピアを退けたということもあって程々の報酬が手に入った。なのでアリス達は新しい武器を調達しにきたのだ。なぜかハンバーグもいる



「あと1回引けるけど、アリスどうする?」



「ここは俺が行こう。&で武器を失ったからな」



アリスにかっこいところを見せようとでもするのか、意気揚々とアンバーグが前に出て店主に石を渡した。こういう場合は大抵うまくいかないものだ。案の定というべきか、出たのは全て白い玉。ハズレの部類だ。



「おい!全部白!星3じゃないか!!



「やっぱり」



目の前のテーブルには10個の白い玉が並んでいる。俗にいう爆死というやつだ。

アリスがもう一度買おうとした時。モヒカンの男が割り込んできた。それ「ちょっと!」とテティが声をかける。



「あ!いつも爆死してるモヒカン男!!」



「うるせえ!!」



そう言いテティを怖い顔で睨みながらガチャを回す。だが結果はアンバーグと同じで白ばかりだった。その結果に腰の袋からジェムを取り出し「もう一度だ!」と叫ぶ。



「今日はダメみたいね。いきましょ」



「あの人くると長いからねー」



「聞いたか?魔族の王ハルガンデスが眠りから覚めるらしいぜ」



「ああ、聞いた聞いた。今日がそのちょうど1000年なんだってな」



向こうの方から若者たちの声が聞こえてくる。魔族の王ハルガンデスが1000年の眠りから覚める?一体何の話だとアリスは首を傾げた。するとわからなそうにしているアリスにアンバーグは解説を始める。

ハルガンデス...それは1000年間眠り続けるという魔族の王だった。その眠りから覚めるとその場所は破壊と破滅だけが残るという。

そして今、その魔族の王が蘇るかもしれないという噂が立っているのだ。

復活すれば、きっとこのへんも襲われただじゃ済まないだろう。復活したら大量の魔物が攻めてくるかもしれない。




「ハルガンデスは四獣とも言われてる」



「シジュウ?」



その聞き慣れない言葉にまた不思議そうな顔をするテティとアリスにアンバーグはまた話し始める。



「魔の王ハルガンデス、冥界獣ギルメラ、火鳥王フェニキア、そして聖竜バルトラード。この世界の脅威とも言われてるこの4匹はそう呼ばれてる」



「聖竜...」



突然目の前に現れて絶望を見せたあの竜...あいつが現れた時のあの恐怖は記憶に新しいだろう。



「聖竜は四獣の中でも桁違いの強さなんだとか」



「うん。体験したからよくわかるよ」



「で、その中の一体、ハルガンデスは1000年に一度目覚めては暴れまわりほとんどを荒地にした後また眠りにつく」



「ずっと寝てればいいのに」



「この世界に迷い込んだ人はいっぱいいる。目覚めるのが本当だとしたら相当危険なことになるだろう」



「そろそろクエスト行かない?」




「そうね。じゃ、アンバーグまた後で」




そういいアンバーグと別れる。ハルガンデス...復活するのなら戦わなければならない。だが勝てるのか?もし聖竜のようになれば今度こそ...。そんなことを考えながら。しばらく歩きいつもの集会場に来る。どうやら上の方が壊されているだけでそれ以外は無事のようだ。受付のお姉さんはアリスを見ると嬉しそうに手を振った。



「ご無事でしたか!!」



「あなたが差し入れ持ってきた時近くにいましたけどね」



「クエストですか?最近魔族の王ハルガンデスが動き出すってことであまりクエストの数が少ないんですよね」



確かに、掲示板にある張り紙はいつもならぎっしりとあるのだが10枚ほどしかない。本当に復活したら...その時はテティを守る..。命に変えてでも。

一枚の紙を取り受け付けに置く。そこには『山ウサギの調査』という文字。山ウサギは温厚で危険がない。だがその生態は謎が多いので調査をするというものだ。これならば危険はあまりないだろう。ハンコを押してもらい紙を受け取る



「ハンコも押したし行こうか」



「そうね」



「ちょーーっと待った」



目の前のその女性はアリスを呼び止めた。それはバニアだ。



「なに?オバさん」



「オバ...口の悪さは相変わらずね妖精。ほら、これを受け取りなさい」



バニアは何かをアリスに投げ。アリスがそれをキャッチする。なにかのペンダントのようだ。赤い石に黄色い縁があるデザインをしている。中の石は傾けるときらびやかに光っていて綺麗だ。



「一応受け取っておくわ。もしかしたら持ってるだけでデメリットが被るかもしれないけどね」



「テティ、失礼だよ...おばs..バニアに」



「あんたもおばさんって言おうとしたわよね。まあ闇魔の時のお礼とでも考えておきなさい。



闇魔に支配された時のことだろう。危険なものではなさそうで、とりあえず受け取っておこにしよう。

ペンダントを受け取り手を振りながら歩き始めたアリス達を見送った。






「このあたりなんだけど...全然いなくないじゃない」



町から結構離れた場所にある、荒地にアリス達は来ていた。その辺りにはそのウサギと思わしき魔物はおらず植物の魔物や丸っこい魔物が行くつもいる。

何匹か遅いかかってくるが簡単に倒してしまう。そこまで強い魔物はいないようだが



「ここ、こんな敵多かったっけ?」



「さあ?」



「グオオオオオオオオ!!!」



そこに斧のようなものを持った大きな牛のような獣。手に持っているその斧は赤く血のように色をしている。

突然のことに同様しながらも剣を構える。



「こんなところにこんなやついたっけ?」



「さあ...?どうだったかな」



大きな音を立てて振り下ろされた斧が大地を砕く。その威力に驚きの表情を見せる。



「おーおっかない...ってちょ!落ちる!落ちるって!!!」



その斧で地面が割れて穴が開く。下は空洞になっていたからか、穴が出現し吸い込まれるように落ちていった。



「なるほど、落下なだけに、小説の『オチ』がついたって事ね!」



アリスはポンと手を叩いてそんなことを口にする。テティはそれを聞いて少し呆れたような表情になる。



「うまいこと行ってる場合じゃないでしょ!!」



うわーという悲鳴とともにアリスたちは落ちていった。








ここはどこかの洞窟。そこにはたくさんの魔物に囲まれ、赤い卵のようなものがドクンドクンと鼓動を鳴らしている。

その卵のようなものはどんどん割れていき、中からどの魔物より5倍ほど魔物大きい魔物が現れた。紫の体。筋肉質な体、とても大きなツノ。その威圧感はとてつもないもの。



「長い眠りからよくぞお目覚めになられましたね」



「ああ」



ヘントールが近くによってくる。その大きさの違いは一目瞭然というほどの差だ。その魔族の王ハルガンデスはドシンドシンと大きな音を立てて立ち上がる。



「さて、破壊と破滅をし尽くすとしよう」



「はい。今から始まるのは、人間と魔物の生存をかけた戦争なのですからね...」





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