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二十七話 再び舞い降りる絶望



「何でこいつがここに!!!」



聖竜の突然の登場に動揺する一同。だが聖竜は、そんなことも気にせず翼を広げこちらの方に向いた。聖竜は空中に飛び立つと白いボディを翻らせこちらにものすごい勢いで向かってくる。その勢いで風が起き服や髪が揺れる。その威圧感に今にでも押しつぶされそうな感じがする。こんなもの...どう戦えばいいのかと誰もが絶望感していた。


「どうすんだよ!」



「あいつを倒すしかないじゃない!!」



「そんなことできるのか!?」



グオーという大きなうなり声と共にこちらに向かってくる聖竜に動揺しながらも武器を見ける。おそらく倒すのは無理だ、勝てるわけがない。聖竜を目の前にしてそれしか言葉が頭でぐるぐると回転するようだった。



「やるしかないだろ!!」




ただそれだけだった。無理だとわかっていても、そうでも言わないとその威圧感に押しつぶされてしまうだろう。正面から勢いよく向かってくる聖竜にアリスたちは右や左によけると、聖竜はもう一度空へと飛びあがり空から様子をうかがっている。聖竜の登場に人々が集まってきてその一人が聖竜のほうにを指さす。そして口々に悲観の言葉を言い合っていた。



「あれ、聖竜ってやつ!?」



「なんであいつが!?」



「もうおしまいだ!」



「意地でもくらいつけ!!あんな奴の好きにはさせるな!!」



群衆の悲観にそう叫んだのはルビスだった。目の前の絶望にうろたえながらも

ルビスのこの言葉にざわついていた民衆は剣や杖を持ち聖竜に攻撃をはじめた。そうだ、こんなやつに自分の街を好き勝手させわけにはいかない。杖や輩は炎や氷の魔法弾、紫の光をまとった矢などの攻撃を行うがすべてまったくもって効いているようすがない。



「私も...行く」



「アリス!!」



その様子を見たアリスはフラフラになりながらも歩き出す。だがすぐに倒れそうになったのをテティが支える。体もボロボロで、命を落とすわはないが生気を完全に吸われて動くことすらできないぐらいだ。これでは闘うになんて到底無理だ。



「ダメよ!!あんたは戦える状態じゃない!!」



「でも...戦わないと...みんなが!!」



「攻撃が来るぞ!!」



向こうの方からそんな声が聞こえる。その言葉通り聖竜は口から大きなブレスを吐いた。白い光線状の炎は、それは当たった建物を簡単に粉々にするほどの威力だ。ブレスが通ったあとは家も何もかも消滅している。こんなもの当たったらひとたまりもないだろう。

人間側も負けじと聖竜に向かってスキルを用いた矢がいくつも放たれる。だがやはり全く喰らっている様子はない。続いて杖から赤や青といった魔法弾が何発も雨のように打ち込まれてゆく。

地に足をつけた聖竜は、ドンと足踏みする。すると大地が割れてしまうほどの威力だ。



「このやろう!!くたばりやがれ!!」



剣や斧、槍で攻撃を仕掛けるが喰らっているようには見えるがダメージがさほど通っていないような手応えだった。

尻尾を一振りして人間を吹き飛ばしていく。そして一回腕を振るうだけで何百人といた人が吹き飛ばされあっという間に戦闘不能の状態になってしなった。



「ピロロロ、これは凄まじいな...」



ピロンはその蹂躙とも言える光景に息を飲んだ。ピロンの額には汗が垂れる。そして「実験台にしたら面白そうだな...」と不気味に笑みを浮かべた。もちろんそんなことはできないがあの強さなら面白いデータが取れそうな気もする。



「ピロン様!!」



ピロンがその光景を眺めていると。外の騒ぎにカルラやゴーン、バニアといったほかの闇魔のメンバーも集まってくる。そして聖竜の姿を見て恐ろしげな表情になる。ピロンはただ聖竜をみて立ち尽くしている。


「いががいだじまじょう!!」



「このままじゃこの街は終わりっス!!逃げるっスよ!!」



「ピロロロ、ゴーン、カルラ、心配するでない。どちらが勝っても、私には得は生まれる...ピロロロ」




「攻撃が来るぞ!!バリア部隊!!」



聖竜は遠くから弓部隊と魔法部隊に炎をを放つ。弓部隊と魔法部隊の前にいる数十人の水色の杖を持ったものたちは、は緑の結界のようなものを貼りそれを防ごうとした。だが聖竜の一撃で、結界にヒビが入りバリン!!という音を立てて簡単に壊れてしまう。結界がなくなると炎はその先にいる人たちの方へと向かって行く。そしてあっというまにその炎に巻き込まれ弓の部隊とバリアをする部隊はあっというまに一掃されてしまった

バリアすら壊し一撃で滅ぼすその炎にルビスは足がすくみただ目の当たりにした絶望を見ているしかなかった。圧倒的すぎる力にどうしようもなく立ち向かう者たちがどんどん倒れてゆく。



「わたしも...」



アリスは聖竜に向かって歩き出し立ち上がり剣を抜く。限界が来ているというのにタ戦える状況ではない。テティは止めようとするがそれも聞かずにアリスはそれも聞かず聖竜のほうに駆け出した。だが倒れそうになりながらも走っていくアリスは聖竜の格好の的だった。聖竜は鋭い爪のついた白い足をアリスの方に振り下ろす。防ぐことすらままならないアリスを守ったのはルビスだった。



「お前は逃げろ。それじゃ無理だ。ま、足止めぐらいはできるから任しとけって」



「ルビス...」



「長くはもたない!おいテティ!」



その声と共にテティが飛んできてアリスを重そうに引きずるように連れていく。それを見た聖竜は引きずられるアリスに炎をはこうとするが残っていた杖使いが顔に魔法弾を放ちそれは阻止された。

剣で防いだ爪を押し返そうとするがすごい力で少しでも緩めると押しつぶされそうだ。



「業魔の魔斬!」



そのスキルで聖竜は上空へと逃げる。向こうの方では斧を構えたヴェラードがいる。


どうやらそのスキルの打ったのはヴェラードだったようだ。上空に逃げた聖竜にルビスもスキルをお見舞いする。ヴぇラード以外の攻撃は効いていないようで痛みや苦しみの表情ひとつすらしない。

聖竜は周りに黄色い光を蓄えて行く。それは口へと溜まっていき。少しするとそれを空に向かって放った。それはしばらくしてその光は雨のように空から落下してきた。大きな音を立てて家や床を壊してゆく。ルビスはとっさに「屋根がある溶け大に隠れろ!!!と叫ぶ。

生き残っていたバリアを張れる杖を持ったバリアを張ってもそれを打ち破っていってしまう。屋根のある所に隠れてもすぐに天井は壊され空が見えるほどの野ざらしじょうたいにされてしまう。



「...もう嫌だ...」



テティはそう呟く。次第に戦える人間はいなくなって行く。その日亜kりの雨hはやんだが、周りには何百人という人が倒れている。死んではいないだろうが戦える状況ではなかった。まるでそれは地獄絵図というべきだった。ヴぇラードがなんとか戦える状況で立ち向かっているが七天聖ですら歯が立たないぐらいの強さだ。テティは涙を流しながらその交易を見ていた。

聖竜からしたら、おもちゃで遊ぶ子供のような感覚だろう。誰も戦える者がいなくなり周りを見渡し新たなおもちゃを探す。壊れたおもちゃには興味を示さず動くまだ遊べるおもちゃを探してすべてを破壊しつくす。ただただそれだけだった。



「もう...やめて」




テティはそう呟きながら涙を流し聖竜の方を見た。








遠くの方で聖竜を見つけたその女は背中に背負っていた杖を取り出す。銀髪で白いローブを着ていて杖も白く先端には白く綺麗の輝く玉が装飾してある。その白い巨体は町の遠くからでも目視できるほどだ。



「聖竜...やっと見つけた!」



その女性はそう呟くと聖竜の方へと向かった。


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