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二十六話 滅亡へのカウントダウン


「あなたのくだらない理想郷はここで終わりよ」



テティはドカンに対してそう言い放った。だがドカンは、不気味にも余裕の表情を浮かべている。アリスがボロボロでなくても、勝てるかどうかはわからないかもしれない。だが倒すしかないのだ。剣を構える。剣を持っているだけで正気を吸われ少しフラフラする。



「くだらない』?この素晴らしき理想郷を前にくだらないと言うか?」



「ええ」



「うるさい妖精だ。そのうるさい口を、すぐに黙らせてやるからな?」



「テティには指一本触れさせない」



テティの前にアリスが立つ。ドカンは「よかろう」とだけ言い、アリスの方に向かった。向かう途中で何回か杖を地面に触れさせている。あの槍は触れた箇所を人だろうが何だろうが爆発させてしまう。



「厄介ね...あれは」



「スキルなんぞ使わなくともお前ごとき倒すのは容易だ!」



「くうっ...!」



なんとか槍に当たらないように横に降るが攻撃は惜しくも掠る程度だった。ドカンの攻撃は何度も地面に当たりそこはもう爆発する場所となり迂闊に近寄れない。距離を取り続けるアリスに槍を地面に何度も刺しながらアリスに近づくドカン。コンクリートと槍が接触する金属音がリズムよく聞こえてくる。



「攻撃しようにもあの槍の触れたら爆発されちゃうしどうしたものか...」



「なんだ?戦闘中に考え事か?」



「うるさい!」



ドカンのその言葉に乗らず、できるだけ槍に触れないように攻撃をしかける。




「くっ...もういっか...」



そう言い攻撃を仕掛けようとしたは、アリスの手は止まり、よろよろとして膝をついた。隙だらけになったアリスにドカンは攻撃をしようとするが横に転がり攻撃を回避する。アリスは立ち上がろうとするがすぐに倒れそうになってしまう。やっと立ち上がってもフラフラとしていてまともに戦える状況はない。



「ピロロロロ、もうあいつは限界だ。あの剣に生気を吸われ続けているんだからな」



「じゃあどうしたら...!」



「可能性があるとしたら...次の攻撃で決めるしかない。それ以上はもうあいつの体じゃ無理だ。でもあの武器をあそこまで使いこなせるとはさすがガーディスを倒した女だ。ピロロロロ」



ピロンのその言葉に心配そうな顔で」アリス...」と呟きアリスの方を見た。アリスはよろよろとした動きでもドカンに立ち向かおうとしている。ドカンは先程より全く手応えのなくなったアリスを一蹴しアリスに槍を触れさせる。そして槍を自分の前に突き出しすと、槍がアリスに触れた部分が小さめの爆発を起こした。そしてまたアリスに槍を触れさせる。



「どうした!もう終わりか?それとも、もう諦めるのか?そのまま爆発で破滅した方が気が楽だぞ!!」



「そんなことはない!!」




剣をしまいドカンの方に向かった。それにはドカンも呆れたような表情になる。ドカンはまた槍を動かしアリスに触れたところを爆発させようとする....

のだが。ドカンの目の前にはアリスがいた。ぴったりとくっつくようにドカンと同じ方向に残りの力を使って走り出したのだ。



「これ逃げられないわよ!」


わざと体に触れさせ、ドカンの爆発と同時に一緒に巻き込むつもりだ。アリスは大きくしがみつきがっしりとドカンにまとわりつく。そしてすぐに大きな轟音と爆風が辺りを包み込む。煙が消えるとアリスもドカンも倒れていた。



「アリス!!」



アリスの元に駆け寄るだがアリスはピクリともしない。ドカンの方もみるが倒れたままだった。安心と心配の2が入り混じりながらテティは心配そうにアリスの方にに飛んで行った。



「終わった...のよね?」



「終わり?いや始まりだ。支配のな。」



その声は聞こえてほしくなかった声。後ろを向くとボロボロになりながらもドカンが立っていた。あれで倒れなかったのか...。



「あんた...あれでやられなかったの」



「まあ結構ダメージは食らったがな」



もこの辺に戦える奴はいない。ルビスは倒れたままだしアリスはこの状況。一体どうすればいいのか...。太陽はだいぶ顔をだし朝を告げている。日差しが照らしはじめテティやドカンに影を作っていた。もう..タイムアップなのか..。



「さて、時間が来たようだな」



「そんな!」




「時間切れだ!!!残念だったな!!ここでお前らも、この街もおしまいだ!!安心しろ!また新しい街を作ってやる!!この街を支配した俺がな!!」



「ここにはあんたの仲間もいるのよ!?」



「そんなもの知ったことではない。道具など目的が達成できれば捨てるものだ」



「あんた、ほんと最低ね」



「なんとでも言うがいい。お前らはここで終わりなんだからな!!」



本当に終わってしまうのか。何か策はないのか....考えても全くいいものが思い浮かばない。



「やめなさい!!!」



「5!!4!!3!!2!!1!!」



そのテティの言葉を無視し、5から始まり数字はどんどん小さくなって行く。そしてそれは終わりの数字「ゼロ」まで到達する。そしてついにドカンはその破滅を始める数字を口にする。



「ゼロだ」




ドカンはそういいながら腕を振り上げる。これでもう終わりだ....と思ったらのだが、爆発する気配などは一切ない。

ドカンは先ほどの余裕の表情とは一変、少し焦ったように「どう言うことだ??」と呟いた。不発に終わってに終わって拍子抜けしてしまった。



「なんでだ!?なんで爆発しない!!」



「ふあーあ。横になってたらつい寝ちまってた」



シリアスな雰囲気をぶち壊したヴェラードが、あくびをし、こちらに歩いてくる男がいた。

その男、ヴェラードの登場に少し空気は固まり、誰もがヴェラードの方を見ていた。ドカンは槍を構えてべラードの方を見る。



「なぜ爆弾が作動しないのだ!!」



「爆弾...ああなんかそこらじゅうにいっぱい仕掛けられてたヤツか?あれなら全部排除したが?一つ失敗して爆発が起きちゃったけど」



ヴェラードはボリボリと頭をかきながらそういうと、またあくびをした。解除なんてそんなことが...。七天聖ともなればもう何でもありなのかもしれない。それを聞いたドカンはぐっ、と歯を噛み締めてヴェラードを睨む。



「じゃあ、アリスがキンキと戦ってる時に聞こえた向こうからの爆発音って!」



「ああ、多分俺だ」




「さてーよく寝たことだしそこらへんのかわいこちゃんでも誘ってこようかな」



「ふざけるな!!お前のようなふざけた奴に解除されてそのままのわけがないだろう。私と一戦付き合え!」



「付き合えって俺は女性の味方ではあるが男とそう言うことをする趣味はないんだけどな」



ヴェラードの冗談にドカンは怒りをさらに露わにしてヴェラードの方に向かっていった。



ドカンが槍を上に突き上げるとドカンの周りの地面が爆発を起こし始めた。その爆発はどんどん後方に広がって行くが、ヴェラードは簡単に避けてドカンの方へと走って行く。ヴェラードがこちらに向かってきて困惑するドカンに、ヴェラードは大きな斧を振りおろしドカンを地面に叩きつけた。ものすごい音と地面が大きく割れた。



「すごい...これが七天聖」



「ピロロロ、七天聖...その力は初めて見たが、こんなバケモノがあと6人もいるなんてな」



「おのれぇー!!」



そう声を上げてヴェラードに襲いかかるがヴェラードは避けながら「この辺もういい子いないなあ...」などと全く危機感のないことをボソボソとつぶやいている。



「もういいか?お前の目的は知らないがこっちだって女の子追っかける大事な仕事があるんだ。まあそんなことしてたら本来の目的をしろって怒られるけど」



「ふざけてるのかお前!!!」



「ぜーんぜん」



誰がどうみてもふざけてるようにしか見えないがヴェラードはドカンの攻撃を避けながら顎のところに手をやる動作をした。

ヴェラードは何か小さく呟いて持っていた斧でドカンを吹き飛ばす。その重い一撃で吹き飛んだヴェラードは、家の壁の激突するとそれをを壊した。外から机などが見えて床には白い壁の残骸が散らばっている。



「くそがあー!!」



そう言いまたドカンがヴェラードに近づこうとした時、上から何かが降りてきた。それはとても大きく白い竜...。



「は...なんで?」



舞い降りたのは、かつてアリスたちの前に現れた聖竜だった。




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