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二十二話 雨上がりは恋とともに


「みんな、オノマトピアとやらを倒そうと頑張ってるなあ」



広場の噴水に腰掛け、ヴェラードはそう呟いた。行き交う人々は右から左へ、左から右へといち早くオノマトピアを倒そうと慌ただしく動いていた。いつの間にか空は夜に変わり街灯が道を照らしている。するとヴェラードをを発見した女はヴェラードの方に向かい目の前で立ち止まった。



「いや!強そうなやつ!」



そんなヴェラードの前に現れた女、オノマトピアのザーザはそう言い弓を構えた。ヴェラードは呑気に「おお!めっちゃ美人!!」と目をハートマークにさせザーザに魅入ってしまった。そんなこちもお構いなしに矢を放つ。だがヴェラードは大きな斧でそれを防いだ。



「私...お前を倒す!」



「おっと!俺は全然戦う気にはならないんだけどな」



「うるさい!!」



「あーあー、いい顔なのに怒ったら台無しだぞ?」



ザーザは表情一つ変えずつまんなそうな顔をしていた。全くそんなお世辞にも耳を傾けることはなく攻撃を続けた。

今度は上から激しく雨のように攻撃を仕掛けるが、ヴェラードは剣を回転させまるで傘のように攻撃を全て受け止めた。だがヴェラードは剣を回して全て受け切ってしまう。それを見たザーザはさらにやを増やしヴェラードに打ち込んで行く。



「いやあ、どこの角度から見ても見とれるほど美しいなあ...」



「...変態」



攻撃をかわしながら様々な方向からザーザを見ていた。



「そんなすごく美しいんだから無表情じゃなくて笑ってみたらどうだ??」



「...うるさい」



無表情のまま容赦なく攻撃を続ける。ヴェラードはその攻撃を仕掛けることなくただひたすら攻撃を避けていった。攻撃を一向に仕掛けてこないヴェラードに痺れを切らしたのか、弓を頭上に放つと、頭の上に大きな水の球ができた。



「これは避けられない!!流水破断!」



「おっと?こりゃ凄い技だ」



その水の球はウネウネと蛇のように形を変えてヴェラードの方に向かっていく。だがヴェラードは一斬りするだけでその水は無力化されてしまった。七天聖ということだけあってその強さは相当なものだ。



「何で....私の雨のスキルで弱体化してるはず...!」



「ああ、なんか突然雨降ったと思ったらそういうことか。まあ一応七天星だし、それぐらいで負けたら...な」



「七天星...まさか七天星のヴェラード...!」



「お、知っててくれたのか。それは嬉しいなあ!だが、俺も仕事だ」



そう言い剣を構えるヴェラードに、ザーザは後ずさりをする。こちらにヴェラードが向かってくる。弓を構えながら警戒する...のだが予想していたものとは違った。壁に追いやられさながら壁ドンのような状態になる。顔は結構近い位置にありすぐ目の前にはヴェラードの顔がある。



「さ、これでいいだろう?降伏したらどうだ?君を傷つけるのはポリシーに反するからな。あ、明日ひま?美味しいお店知ってるかr..おぶっ!!」



連絡先を聞いた途端ヴェラードの顔面にザーザはパンチを繰り出す。それによってヴェラードは変な声を出してしまう。

今まで無表情だったザーザは少しだけ笑みを浮かべるのだった。なんだか余裕そうに肩を叩いた。



「やっぱり、笑った姿もいいな。あ!食事がダメならこの辺に強い武器の店知ってるんだけど一緒にいかない?」



「いかない」



「そいつと何を話しているんだ?」



その光景を見ていたドカンがそう言いながらこちらに歩いてくる。ヴェラードもザーザもドカンの方を見ていた。突然のドカンの登場にザーザは戸惑ったような表情をしている。



「お前は戦うためにここにきたんだろう?ならそいつを潰せ!」



「おいおいおい、今いい感じなんだから茶々入れないでくれますかねぇ?」



ザーザとドカンの会話にヴェラードが茶々を入れる。ドカンの怖い顔が

ヴェラードの方を向きドカンは「おお」と言いながら少しバカにるように驚いた顔をする。



「忘れたか?お前らに選択肢なんてない事を」



「....っ!」



弓を構えヴェラードの方に標準を合わせる。それでもヴェラードは余裕そうな表で「大丈夫だ」とザーザに言った。

ザーザの放たれたる。ヴェラードなら避けるのは容易だった...のだがその攻撃はヴェラードを貫く。その場に倒れ動かなくなってしまった。

それを見てドカンはにやりと笑った。



「そうだ!それでいい!!お前は俺の駒になるしかないんだ!もしまた変な気を起こそうとしたら...分かってるんだろうな?お前を爆発させることなんて容易なんだからな」




「わかった」











「おい...まさか...ハルガンデスって...」



一方、ヘントールと対峙したルビスは、へントールのその「ハルガンデス」という言葉に言葉にルビスは少し動揺した様子を見せる。ハルガンデスという聞きなれない名前にテティもアリスもついでにアンバーグも首を傾げている。



「そのハルガンデスってなんなの?」



「ハルガンデス...それは1000年に一度しか目覚めないと言う魔物の王。そいつが復活するっていう噂が立っている」



「ハルガンデス...」



「ま、そういうわけで、私はお暇させて頂きますね」



「あ、待って!!まだまだ聞きたい事が!!」



アリスが追おうとするとキンキが立ちふさがる。このキンキをどうにかしないとヘントールまで追いつけないだろう。だがザーザの能力で剣は弱体化し、戦うのは難しいだろう。



「こういう時は!」



アリスは槍を取り出すとそれを掲げる。その槍はーの槍で、光り輝くとキンキの纏っていた闇は消えていった。そしてキンキは側に倒れる。



「ーの槍!!なんだかんだで大活躍じゃないか!」



「どうせネタで作られただけの武器かと思ったのに!!」



「そういうこと言わないの..」



「どうするの?ザーザってやつを倒さないといけないけど、今の武器じゃ倒せないよ?」



「なら、いいところがあるんだが...」





ルビスに連れられてきたのは誰も通らないような路地裏を通りとある建物に付いた。所々壁が剥がれ古びた感じを醸し出している。しばらく進むと地下へと進む階段があり、それを降りると大きな木でできた扉が姿をあらわす。少し黒く腐っているところもあるがちゃんと扉として機能はしているようだ。



「ここは魔道具屋なんだが、武器も売ってるんだ。それも普通じゃ手に入らないようなやつがね」



「へえ」



「すみませーんオーナーいる?」



扉を開けるとチリンチリンと扉に備え付けられていた鈴が鳴る。

木でできた内装にカウンターが置いてあるだけの造りだった。店員がいないようだ。奥にも行けるようで、おそらくそこで作業しているのだろう。もう一度大きな声で呼びかけると奥から音がした。こちらに向かっているようだ。しばらくして女性が一人でてきた。それも、なんだか見覚えのあるような顔が...。



「はいはい、何をお探しですか....って」



「え?」



お互いにずっと見つめたまま沈黙が訪れる。数秒の沈黙の後、お互いに「えええ!?!?」と大きな声をだしお互いを指差した。



「あ、あんたは闇魔のおばさん!!」



そこにいたのは闇魔という違法武器を巡って争った敵、バニアだった。

向こうも向こうでまさかこんなところで再開するとは思ってなくて驚いた表情だった。ただ口をあんぐりと開けて何も言えない状況だった。




「あんた達なんでここにいるのよ!」



「それはこっちのセリフなんだけど」



そんなことを話してると後ろからまた誰かが出てきた。こいつも見覚えのある大男だ。

それはゴーンだった。ゴーンもアリス達を見てまた驚いたように口を開けて驚いている。



「あ!あんたは闇魔の濁点ゴリラ!」



「お前ば!あの時の!」



「ピロロロ、そのムカつくあだ名と声はあの時の妖精かな?」



奥から出てきたのはピロンだった。


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