二十話 闇魔売りのヘントール
「さーて、この調子でどんどん倒していきたいよね!」
アリスはそう言い伸びをする。あたりは日が落ちてきて空は一面オレンジ色に染まっている。まだ時間はある。おそらくペースはいい方だ。残りのやつの強さ次第とも言えるがこの調子ならなんとかなるかもしれない。
「うわああ!!」
そんなアリスたちの目の前で、その悲鳴とともに大きな音とともに2、3人の男女がこちらに吹っ飛んできた。吹っ飛ばされた者たちはアリスの前のところまで飛ばされると全く動かなくなってしまった。まだ息はあるようで死んではいないようだ。そしてすぐに誰かが姿をあらわす。それは...キンキだった。だが何やら先ほどと様子が違うようだった。手に持っている剣はどこか見覚えのあるような...。
「あ!あれ!闇魔じゃない!?」
「闇魔って体を蝕んでくっていう!でもなんで...?」
「ヘントール...」
その名前をアリスは口にした。今、のキンキは今まで戦ったピロンやバニアと同じだった。自我を失い、ただ剣に飲み込まれてまるで獣のように全てを喰らい尽くすのみ。ルビスは、スーツを着た恐竜のような魔物から闇魔を受け取ったと。そしてそいつの名前がへんトールなのだ。
「っていうことは、こいつ闇魔に飲み込まれてんのか!?」
「アリス、どうすんの!?」
「...倒すしかない!」
アンバーグは起きてたとしても使いものになるかはわからないが今は眠っている。キンキが襲いかかってくる。アリスは一度、このような闇魔に支配されたものと戦い勝っている。いけるだろうとテティも思っていた。だがそれは違かった。キンキが襲いかかり攻撃を仕掛ける。その一撃は重く耐えるのがやっとなぐらいだ。
明らかに前戦ったやつよりかはパワーアップをしている。一旦キンキの剣から自分の剣を離し、勢いよくスキルの名前を叫びながら剣を縦に降る。そこからは雷が放たれキンキの方に向かう。キンキはその攻撃をモロに食らってしまう。
「まだくるよ!!」
「くっ!この!」
迫り来るキンキを剣で跳ね返す。だがキンキの方も体をくねらせて再びアリスの方に向かってくる。
アリスは攻撃を剣で防ぎながらも好きを伺い攻撃をなんとかキンキに当てようとする。
「困りますねえ。私の闇魔を勝手にとろうとしては」
だが、その声とともにキンキの手は止まる。そして現れたしの魔物の近くに向かっていった。そいつは恐竜のような見た目にスーツを纏っている。こいつがガーディスの言っていたヘントールという男に間違いなかった。そいつの背負っている紫の袋から闇魔と似た武器が顔を出している。魔物なのに喋っていたりと奇妙さが際立つ。ルビスが言っていた特徴通りの魔物が目の前に現れる。こいつが...。
「あなたが...ヘントール?」
「はい。ヘントールと申します。
そういうと丁寧にお辞儀までして挨拶をする。頭を下げると背負っている袋の結び目からまた闇かが見える。とても多くの闇魔が見え。これらが全部他の人の手に渡ると大変だろう。
「あなたの活躍は見ていましたよ。あのガーディスという男を見事倒し私の闇魔を回収してしまうとは。いやはやお見それしました」
「何が目的なの?」
恐る恐るそう聞いてみる。ヘントールはアリスの方を見たまま少し黙り込み。数秒の後口を開いた。
「目的だなんてとんでもない。ただこの武器を必要な方にお渡ししているだけなのですからね」
「あんたは何がしたいのよ!!このヘンテコ恐竜!!」
「おや、そこの妖精はどうやら口がよろしくないようですね」
へントールはそう悪口を言ったテティの方を見る。テティはビクッとしたようにすぼめる。アリスは攻撃をやめ剣をしまう。ヘントールは分かってくれたのかと嬉しそうにアリスを見てくれる
「あなたもこの武器を欲しくなりましたか?この武器は恐ろしくも素晴らしい武器なのですからね」
「そんなわけないでしょうが」
「そうよ!アリスは欲しくもないんだかた
「だったら邪魔なので消えてもらいたいところですね」
そうヘントールが言うとどこからか人が集まってくる。その人たちは全員闇魔をもっている。その闇魔の者たちは囲むようにアリス達の行く手を阻もうとする。どんどんつめ寄ってくる闇魔をもった者たち。その時その周りにいた闇魔を持ったものたちが一掃されてしまう。そしてて誰かが現れた。それは...。
「ルビス!!なんでここに!?」
そこにいたのはルビスだった。ルビスは闇魔を持つ理性人々の中心にいるヘントールに剣を向ける。剣を向けられてもその不気味な笑みを浮かべたままだった。
「闇魔の匂いを嗅ぎつけて来てみたがなんだが、そのちっこい魔物を倒しゃいいのか?」
「ほう....面白いですね。でも私はまだ闇魔を配る仕事がありますので...倒されるわけにはいきませんねぇ」
「どうやら、それであってるみたい...だな」
その時、目の前のヘントールとキンキがポンと言う音を立ててお菓子に変わる。一瞬何が起こったのかが全くわからず誰もが困惑の表情を浮かべる。すると咄嗟にルビスが「ここから離れろ!!!」と大声を出した。
その声とともに誰もが一斉に離れる。よく見ると床にはクッキーのような模様が書かれている。
「あららーみんなお菓子になればよかったのにいー」
そこに居たのは太った男。手にはポテトチップスを持っていて袋からいくつか取り出しては口の中に入れて、モグモグととても美味しそうに咀嚼していた。
「あいつは...オノマトピアのモグモン!!」
「お腹すいたからちょっと待ってね」
モグモンは手をパーにして前に突き出すと、ポテトチップスを取り出し口に入れてモグモグと口を動かした。バリバリとポテトチップスが咀嚼される音が聞こえる。モグモンは口に含んだものを飲み込むとふーっと息をついた。
「あなたを倒せば!!」
「無理だよ。僕を倒すなんて不可能なんだから」
モグモンが杖を上に振り上げると大きなハンバーガーが現れた。アリスの2、3倍ぐらいはある。そのハンバーガーはアリスを挟もうと襲いかかってくるが、アリスがハンバーガーを真っ二つにするとハンバーガーは消えていった。
「今度は美味しいミートボールだよ」
ポンポンと音を立てて現れたミートボールは、まるで隕石のようにアリスの方へと凄い勢いで向かっていく。
何個かミートボールを弾いて行くが、防ぎきれなかったミートボールドンドンと床に到達すると爆発を起こし床には少しだけ窪みができた。
爆発で発生した煙が無くなるとそこにはアリスはいなかった。アリスはモグモンに攻撃を仕掛ける直前だった。だがモグモンはそんな状況でも動じず、また食べ物を口に投げ入れる煙から出てきたアリスはモグモンに攻撃を仕掛ける。だがモグモンはアリスの頭を杖で叩く。
すると、ボン!という音を立ててアリスは美味しそうなハンバーガーに姿を変えた。




