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二話 違法武器 『闇魔』



「話は聞かせて貰ったぞ。闇魔とかいう武器を回収しに行くんだろ?」



集会場の外に出ると一人の男が進行方向を塞ぐ余ようにアリス達の前に立つ。年はアリスと同じ15、16ぐらいで、少し派手目の黄色い服に茶色いズボン。キメ顔でこちらを見てくる。あまり関わらない方がいいタイプの人間だということはすぐにわかった。

そうと決まればただ1つ。無視するのに限る。アリス達はそのまま何も言わずに歩き出した。



「さすがにあんな変なヤツに関わるだけ無駄だよね」



「テティ、変なヤツださんに失礼だよ」




無視して歩き出そうとするアリス達の前に立ちはだかり「待てーい!!」と声をあげる。またさっきのウザいキメ顔をしてくるその男に、アリスは1回、ため息をついてその男の方を見る。そいつはまだキメ顔でこちらを見てくる。

あまり関わりたくないがしょうがない。アリスは「えーっと...」と呟きこう続ける。



「えーっと、何かご用ですか?」



「ご用ですか?じゃない。あと俺は『変な奴さん』でもない!アンバーグという名前がある!!」



「なんか美味しそうな名前ね。狙ってるの?」



テティが少し小馬鹿にするようにそのアンバーグという男に問いかける。

そのアンバーグという男は少し怒ったように「違う!!」と叫び、おほんと咳をした。面倒くさいと言ったが弄られる系のキャラだったようだ。



「ハンバーグじゃねえ。狙ってもねえ」



「で、そのハンバーグさんが何かご用ですか?」



「俺もそのクエストに行かせてくれ」



この男、ついてくる気だ。なんだかいけ好かない感じで拒否したいところだが、拒否するとまたしつこくついてくるだろう。了承してもこのよくわからない男を連れて行くのは疲れそうな気もする。いったいどうするか...。



「ええ..?なんで突然?」



「いいだろ別に!!俺がいた方が安心できると思うぜ?...っておいおいおい!!」



先程より早歩きで去ろうとするアリスを呼び止める。アリスの肩を叩くとアリスはとても嫌そうな顔でその男の方を見る。その男は「しょうがない」と呟く。そして数秒した後にこう口を開いた。



「俺は闇魔の情報を知っている。どうだ?交換条件と行かねえか?その情報を教えてやる。だがその代わり俺を連れて行け。どうだ?悪くはない話だと思うが?ま、連れててくれなきゃその話はなかったことに...っていねえ!!」



もうそこにはアリスの姿はいなかった。その男が喋ってるうちにもうどこかに行ってしなったのだ。子供が指差し不思議そうに母親に何かを訪ねている。母親は変なものを見るかのような顔で子供の目を手で覆い隠し、「みちゃいけません」とだけ言った。










「ここみたいだね」



アリスたちがやってきたのはもう使われていない古びた街だった。砂が舞い、古びた家が何件も連なるように立っていた

時々風が砂を巻き上げて渦巻きを作る。受付のお姉さんの話では、ここにその闇魔とかいうヤツらが潜伏しているようだ。歩くとジャリ、ジャリと砂の音が聞こえる。砂を蹴ってみると空中に舞い上がり落ちていく。




「検挙とは言っても、いったいどこにあるのかしらね」



「さあ?ちゃちゃっとかたずけちゃいましょ」



少し歩くと誰かがいるのが見えた。あの人に聞いてみよう。近づくとその巨体に少し圧倒される。ガタイのいい大男:3、自分の3、4倍はあるだろう。とても人相が悪く背中に斧のようなものを背負っている。

声をかける前にこちらに気づきこっちの方を向く。



「おまえごんなどころで何やっでんだ」




なんだか喋り方は気になるが、今は闇魔を探しているのであまり気にしないことにする。それにしてもこの大きさとこのガタイ、いかにも脳筋という感じだ。服も着てないため凄まじいマッスルがお目見えされている。



「えーっと、『闇魔』っていう武器を探してまして..」




「ぞれっでごれのごとが?」



そいつは大きな斧を取り出す。紫のデザインと邪悪さを帯びた大きなもの。

斧を2、3回降るとそいつは斧をまたしまった。

これが闇魔というやつなのか。とても邪悪な感じがしてくる。これが闇魔...危険らしいので早く回収したいところだが、どうやってこの男から回収するか...。



「ごれ、づがうど力がわいでぐるんだ。どうだ?使っで見るが?」



「さっきから気になってたんだけど、キャラつけなのか濁点がうざったいわね」



「えーっとすみませんこの子ったら...!」



テティの発言に慌ててそうフォローを入れる。相手は...どうやら怒ってはいないようだ。口の悪さと思ったことをすぐに言ってしまうのがテティの悪い癖だ。いつもアリスがフォローするのでなんとかなっている。



「で、なんでごの武器を探じでるんだ?」



「ええーっと、ワケがあってその武器を探してて...」



どうしようかと考えながらそう口にする。この後はどう続けようか...。言葉を詰まらせながらなんとかひねり出そうとする。だがそれは向こうからやってきた。



「お!仲間になりたいのが!今丁度仕入れだやづがあるがらごれをわだすぞ!」



「え?」



そういうとその大男から一つの剣を渡される。黒い鞘から引き抜くとあの斧のような紫色のデザインと邪悪なこの感じ...「闇魔」に違いない。

なんだか色々すっ飛ばしたような気がするが、とりあえず一つ手に入った。この男は仲間になったものだと思っているがさて、ここからどうしたものか...



「ごれば裏斬り。星4だがズギルばない。攻撃力が高い武器だ」



「へえ...闇魔にも星でレア度が...」



「あんたたちの仲間になるわけないでしょ!?あんたたちの武器を奪うために来たんだから!」




「ちょっとテティ!」



テティがいい感じにぶち壊してくれた。このまま仲間になるわけにも行かないし、まあ結局は戦うことにはなっていたので良かったのかもしれない。

テティが本当のことを暴露してしまう。それを聞いてその大男は怒ったように斧を構える。



「ぞうが、騙じでいだのが!!我が名はゴーン。まあごれをいっだどごろで意味ばないげどな。お前はごごで死ぬんだがらな!」



「あんたみたいな筋肉ダルマの仲間になんてなるもんですか!!!」



「オオオオオオオオオ!!怒ったぞ!!この闇魔・剛魔剣の餌食となれ!!」



「くるよ!アリス!!」




大きな雄叫びをあげて振り下ろされた斧を剣で防ぐが、体が後ろに下がる。ものすごいパワーだ。ゴーンとかいう大男は斧を再び振り上げると勢いよく振り下ろす。それを避けると斧が地面にあたり、ひびが入る。



「その程度なのがぁ!!」



その筋肉ダルマは斧を地面から抜くと今度は横に振りながらこちらに走ってくる。剣で防ぐもすごいパワーだ。アリスの持ってるのは星3の武器でさほどの強さはない。パワーに押し負けながら後ろに下がって行く。



「くっ、このままだと...!」



「およびかい?お嬢さん!」



声が聞こえる。そしてすぐに目の前に現れる男。こういうのは、テンプレだとイケメンが助けてくれる...!

だが。期待通りとはいかなかった。現れたのが期待通りの人物ではなかったのだから。



「おいおい、レディーを傷つけたらだめだろう?」



「あ、あなたは...!」



その続きが浮かばず、少し間を開ける。そして結局浮かばなかったのか、「誰だっけ?」と口にした。

その言葉でせっかくかっこよく登場したのを台無しにされ「おい!」と言いこちらに近づいてきた。それは先ほど散々名前でいじってたアンバーグとかいうヤツだった。


「おいっ!お前らさっき、散々人の名前でいじったのにもう忘れたのか!」



「あー!ハンバーグさん!!」



手をポンと叩き思い出したような表情をする。それにすぐに反応するksのように「アンバーグだ!!」とツッコミを入れる。それにアリスはそうかそうか!と頷きながらわかったような顔をしていた。

そんな茶番をつまんなそうにゴーンは見ている。ゴーンの方に剣を構えたアンバーグは、凛々しい立つ姿になる。もしかしたらめちゃくちゃ強い人...!なのかもしれない。



「さあ覚悟しろ!ってかお前なんかキャラ付けなのか濁点がすごいうざったいな」



「そのくだりはもうやったから」



「覚悟じろ!!うおおおおおお!!」



ゴーンが襲いかかってきたと思ったら。大きな鈍い音が聞こえ、一瞬何が起こったのか理解が追いつかなかった。

もう目の前にはアンバーグの姿はいなかった。そこには斧を振り下ろすゴーンの姿。少ししてアンバーグとかいうやつが吹っ飛ばされたということがわかる。



「ハンバーグ!」



アンバーグが斧で吹き飛ばされたとやっと脳が理解したアリスはそう叫ぶ。大きな音を立てて岩をも壊し、向こう側には横たわっているアンバーグ。生きてはいるようだがもう戦うことはできないだろう。倒れたままピクリとも動かない。



「よ、よわー!」



それがかっこよく登場したくせに無様すぎるその姿に抱いた、最初の感想だった。ドヤ顔で出てきてすぐにやられる奴がいるだろうか。そんな間抜けを漫画などで見ていただろうか。ダサいという言葉以外に思い浮かぶ言葉が何もない。

筋肉ダルマの男は斧を肩に乗せてこちらに近づいてくる。



「ざあ、お前の番だ。覚悟じろ」



アリスの方を向く。あの斧、尋常じゃない攻撃力だ。真正面から行って勝てるような相手ではないだろう。

足を一歩後ろに下げ、素早くゴーンの懐のところに潜り込む。だがゴーンも斧の持つ部分を盾にしてアリスの剣を防ぐ。その斧は持つ部分も鉄でできていてすごい強度だ。アリスは後ろに下がり様子を伺う。



「どうするの?おそらくその剣だと勝てないよ」



「なら、こうするしかないみたいだね」



「ちょっと!アリス!」



アリスはさっき手に入れた「闇魔」と呼ばれる剣を引き抜く。「闇魔」だとか、体を蝕むだとか、いっている場合ではない。この人たちをこの武器から救うにはこれしかがないのだ。その剣を持つとすごい力が湧いてくる。紫の瘴気のようなものまで出ていてる。



「ぞの剣で向がっでぐるのが。いいだろう!来い!!」



「うぐっ」



その時だった。アリスに異変が起こる。黒いモヤモヤしたものがアリスの剣から出て、アリスはううう...と頭を抱えながら千鳥足でウロウロし始める。その突然の光景にテティは心配そうにアリスの方を見る。



「聞いたことがある...『闇魔』が蝕もの...それは闇。弱き心に入り込み心を蝕む。そして理性を失い...怪物のようにあるのだと...



いつのまにか起き上がったアンバーグが豹変したアリスの方を見てそう呟く。



「アリス...!!」



唸りながら頭を抱えているアリスにそういうが、全く聞く耳を持たない。

そのアリスをテティはただ心配そうに見ていた。


武器紹介的なの



闇魔・裏斬り


★★★


アリスがもらった闇魔。攻撃力がめっちゃ高い脳筋用の武器他のやつより持ち主を飲み込むのが早い。



闇魔・剛魔剣



レア度★★★★


ゴーンの持つ武器。脳筋っぽいゴーンに合わせたような力強いデザインが特徴。これも攻撃力はそこそこ高い。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ソシャゲのガチャを三次元化した表現が面白かったです。 あと武器名「裏斬り」が"今から裏切って下さい"と言っているように感じ爆笑しました。 [気になる点] 裏斬りは星4ですか? 星3ですか?…
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