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百七十五話 大演舞闘会、終幕

 

「決まったぁぁぁ!!!優勝は、アリス選手だぁぁぁぁ!!」




「やった..」



優勝したということでふーっと安堵の息を漏らす。全身の力が抜けて脱力したアリスははあ...と言いながらその場に座り込んだ。



「さあ、これが優勝賞品です」



そう言って司会進行役は布を被った手のひらサイズのものを持ってくる。アリスが布を勢いよくとると、その出てきた赤い球体にアリスは「えっと...これは?」と言った。



「これは未知なる力を得られる石なのです!!」


「ええっと...」



元々アリスたちは元の場所に戻る手がかりを探して大会に出たのだが結果全く関係のないものだったので「あはぁ...」という変な声が出た。


「とりあえず喜んでおいた方がいいのかな...?」



「さあ、お受け取りください」



「ええっと...これ、どう使えば?」



「さあ?だがすごい力を得られるらしいんです」


「はあ...」



赤い球を手に取りよく見る。アリスは「まあいいか」とだけ言った。



「アリス!!」



「テティ」



会場を出ると、テティが迎えてくれる。優勝賞品を見せるとテティは不思議そうな顔をする。



「何これ?」


「なんかよくわからないんだけど、なんか関係なかったみたい」


「まーまた探せばいいでしょ」



「そうだね」



「アリス!」



「アリスさん!」



向こうからネネとミミもやってくる。まだ完治していないようで体に包帯やら湿布やらを貼っている。だが意外と元気そうだ。



「2人とも大丈夫なの!?」



「ええ。なんとか」



「このぐらいなんとも!いだだだだ」



「お姉ちゃんは特に無理しちゃダメだよ」



「2人とも良かった...」



「それで、優勝賞品は??」



そう期待の目で見てくる2人に優勝賞品を見せる。するとネネの顔は期待から何かよくわからないものを見るようなものに変わって行った。貰ったものはともかく、アリスは今は優勝の余韻に浸ることにした。










「どこ行くの?」


大会も終わり、商品を持って街を歩いていたアリスにテティがそう尋ねた。イズやメルロにも見せようとしたが、今は安静にしたほうがいいということで後で見せることになった。


「もう1人これを見せてあげたい人がいるから、その人に見せてから考えるよ」



「見せたい人???」


「そうそう」


「誰なの?」



「まあちょっとね」



敢えて言わずにアリスはズンズンと進む。街から出れ原っぱを進んでいくと、向こうに見えたのはお爺さんの経営している団子屋だった。


「あ、おじいさん!」


団子屋にいるお爺さんを見つけるとそう言ってアリスは駆け寄った。元々このお爺さんの提案でアリスたちはこの大会を受けたのだ。なのでお礼を兼ねて報告をしにきたのだった。



「お爺さん!これ!優勝しました!


優勝という言葉とともに優勝賞品を見せるとおじいさんは「おお」と少しばかりの感嘆の声を上げる。



「そうかい、すごいねえ」



「まあアリスだし当然よ!」


「でも何でワシに?」



「だって最初にこの話したのおじいさんですし...一応見せたい思って」


「そうかそうか...そうだ、お茶でも一杯どうかい?」



「じゃあいただきます」



そうアリスがいってしばらくした後、お爺さんは奥に入っていきしばらくすると容器に入ったお茶を持って出てきた。アリスとテティは「それじゃあ」そのお茶を飲む。少し飲むと突然目の前がクラクラと歪んでいるように見えてきた。



「っ...あれ?」



アリス視界が急にぼやけてきた。アリス達は眠気に襲われ、ぱったりと眠ってしまった。


「悪く思わんでくれ」


そう言いながらお爺さんはアリスの手から石を奪い取るとどこかに行ってしまった。






おじいさんがやってきたのは街から少し離れた廃古屋だった。中は手をつけられていないためほこりや蜘蛛の巣ばかりだ。そんな家に入り二階へと進む。そして一つの部屋に入ると、そこにはレミーがいた。


「...これで、いいんじゃな?」


「ああ、もうお前は用無しだ。好きにしていいぞ」



炎で操る能力を解除し、お爺さんをどこかへやると、レミーは笑みをうかべる。レミーはお爺さんをずっと炎の力で操っていたのだ。

全てはこの意思のため。お爺さんが石の話をしたのは最初から奪い取るためだったのだ。



「ククク、ちょっとアリス相手に遊びすぎたが、計画通りだし良いか。さあ、楽しみはここからだ」


「あまり調子に乗らないことですね」


そこに現れたのはヘントールだ。その言葉に少し不満そうにレミーは「ああ?」と返す。



「それは魔物の力をかなり増強させる力があります。だからと言って調子に乗らない事ですね」


「ふん、見せてやるよこの力を。さあ、大会の続きをしようじゃねえか...アリスぅ!」






「ううん...私たち確か...」


目を覚ましたアリスは起き上がり団子屋で何が起こったのかを考えた。確かお爺さんからお茶を貰ってそこから眠気が...。そこからどれぐらい経っただろうか?



「ねえ、アリス!優勝の時の石は?



「えっとここに...あっ!」



テテ優勝賞品である赤い球が無くなっていることに気づく。おそらくアリスたちを眠らせ、持って行ったのだろうというのはすぐに察しがついた。


「でも一体何のために...」



「わからない」



「ねえ!街の方おかしくない!?」



テティが指差した街の方からは何やら煙が立っている。


「アリス!行こう!!」



「うん!」


アリスたちは離れの店から急いで街へと向かう。だがそこはもうほぼ壊滅状態になっていた。家は壊され瓦礫が散乱している状況だった。


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