百七十三話 激突する2つの炎
「はーっ!」
アリスは何度か攻撃をしかけようとするが、そのスピードについてこれない。
「どうしたどうした!!」
「スキル!!!獄炎葬!!!」
炎で囲もうとしたが、そのスピードですぐに逃げられて距離を詰められ、アリスはまた一撃を喰らう。
「許さないんじゃなかったのかあ!?」
「っ!!この!!」
何度も炎を纏った剣で攻撃をするが、レミーのその素早い動きに翻弄され、全くと言っていいほど当たらない。
「ほらほらどうしたー!!」
「っ!」
レミーからの反撃を受けながらもなんとか攻撃をしようとする。だがやはりアリスはそのスピードについてこれていない。
「くっ...!」
「どうした?その程度か??」
「そんなわけ!」
ネネからバトンを受け継いだアリスは負ける訳にはいかない。どうにかして攻撃を当てようと躍起になるが全て避けられてしまう。
「今度はこっちから行くぞぉ?」
「こっちだって!!」
「おーいいぞいいぞ!!もっと来い!!」
「はーっ!」
「いいぞ!もっと来い!もっとだ!!」
レミーはアリスの剣を受けながらそう余裕そうに言う。一方のアリスも勢いよくレミーに向かって剣を振った。
「どうした?お前の炎はそんなものか!!」
「っ!!まだまだ!!」
剣を回しながら炎を出して円を作り、その円の間から突きをすると円形の炎が激しく燃え出しレミーに同時に襲いかかってくる。アリスの攻撃にもレミーは余裕そうな表情をしている。
「ふん!」
レミーは炎の一振りをした後。「本当の炎ってものを見せてやるよ」と言いながら剣を空に突き上げる。炎は天に昇るように舞い上がって行く。
「 炎滅の流星」
そう言うと上から大量の炎を纏った何かが隕石のように勢いよくフィールド全体に落ちてくる。それは1回戦で使ったものだが、その数は1回戦の時とは比べものにならないほど凄まじいほどのだ。
その攻撃はかなり激しくドンドンと激しい音を立てながら地面にぶつかると地面を抉るほどの威力だ。アリスは炎で応戦したりしながら防ごうとするが数が多すぎて防ぎ切れなかった。激しい攻撃で煙が立ち、晴れる頃には満身創痍のアリスの姿。
「はあ...はあ...」
「ほう、これを耐えるか」
「っ...これをもう一回撃たれたらまずいかも...」
「クク..ならもう一度...といいたいところだがこれもそう連発できるもんじゃないんでな。まあ、今のボロボロのお前にはもう必要ないか」
「っ...どうする...」
アリスは考える。このまま攻撃を受けてもジリ貧でやられてしまうだろう。かと言って時間をかけたらまたの攻撃が来てしまう。
「さあ、どうする?さて、お前にこれ以上の手立てはあるかな?」
「っ...!もちろん!!」
「なら...見せてみろ!!」
「はーっ!!」
再び2つの剣がぶつかり合う。その激しさはさらに過激さを増していき、フィールドに炎が飛び交っていく。
そういうと剣から炎を出し剣を振る。まるで波が来るかのようにアリスに向かって炎が迫り来る。それをアリスも炎で応戦するが、レミーの炎の量が勝り打ち消されてしまう。
「なら!獄炎葬!」
アリスもスキルで応戦する。その放たれた炎でやっと相殺できたが、かなりのダメージを受けてしまいアリスははあはあ、と息を切らしている。
「満身創痍じゃないか。あの威勢はどこへ行ったんだ??」
「うるさい!!」
アリスは考える。どうにかしてレミーのあの動きを止めなければならない。アリスはそうだ!!と言い剣から炎を出して振り下ろす。するとアリスの半径数メートルあたりに円形を描くように炎の壁が現れる。
「これで逃げられないでしょ?」
「ふん、だがシンプルな力比べで勝てるとでも?」
「はあーっ!!!」
「ふん!」
真正面からくるアリスの攻撃にレミーはお得意の移動ではなく、剣で防ぐ。ガキン!という音と共にお互いに赤と白い炎が出てくる。
「今なら...!スキル獄炎葬!」
「獄炎葬!」
お互いに炎を出して相手を包み込む。だがレミーの方は白い炎で簡単に相殺されてしまう。アリスも同じように炎を破壊しようとするが、なかなか突破口する事ができない。だがなんとか炎で無理矢理突破口を見出し攻めていく。
「さあもっと盛り上げていこうじゃないか!」
そう言うとまたレミーは 炎滅の流星の構えになる。アリスはどうするか考えていたがふととある事に気づく。
「さあ、これで終わりにしよう。 炎滅の流星」
そう言うと再び上から大量の炎を纏った何かが隕石のように勢いよくフィールド全体に落ちてこようとする。アリスは勢い駆け出しレミーの方へと向かった。
「無駄だ!これを避けられるはずが...っ!!」
だが 炎滅の流星はアリスには一発も当たらなかった。それはレミーのすぐ近くにいるからだ。そして勢いよく剣に炎を纏わせると、「はあああああ!!」と言う掛け声と共にスキル使用中の無防備な状態のレミーに一撃を与える。
「ぐあああああああ!!
レミーは勢いよく叫びながら吹っ飛ぶ。そしてアリスはさらに追撃と言わんばかりに連続攻撃を仕掛けた。
「なぜ...」
「簡単な話よ。あなた 炎滅の流星を使う時毎回自分には当たってないでしょ?そしてよく見るとあなたに当たらないように半径数メートルあたりには落ちないのに気づいた。だから落ちてくる前に一番安全地帯になってるあなたの近くに移動したってだけ」
「ぐぐ...こしゃくな!!」
「さあ、反撃と行くわよ」