百六十六話 天空の決戦!アリスvs.メルロ
「はーっ!!」
「はっ!!」
2つの剣が混じり合う。アリスとメルロの戦いは何度も剣の混じり合いから始まった。
「このぉ!」
炎を纏いながらの一撃にメルロは剣で防ぎながら反撃をする。やはりこのままだとダメだと判断したのか、アリスは剣を上に構える。
「スキル!!!獄炎葬!!!」
そう言って剣を回転させるとその炎がすごい勢いで周りに広がっていきながらメルロに向かってアリスは剣を振った。
「ぐっ。剣心の太刀」
そう言いながらメルロは剣を振る。そこから勢い衝撃が出てきて、攻撃をスキルで受け止めてしまった。
「嘘!?」
「今度はこっちから行きますね」
そう言って剣で何度も攻撃を行う。炎が出せないアリスの剣は激しいメルロの攻撃を避けるので精一杯だ。
「どうしましたか?この程度ですか?」
「このっ!!」
そう言って剣を振るが、避けられて剣心の太刀の衝撃でフィールドの外に飛ばされそうになる。周りにはバリアが張っているのでそこに激突し、倒れた。
「思ったより大したことないですね」
「っ...まだまだこれからよ!!」
アリスはまた剣から炎を放ち、メルロを近づけまいとしようとする。目の前に視界を遮るほどの炎を出し、完全に2人の視界を遮断する。
「そんなもの!!」
そう言ってメルロが炎を剣で払うと、アリスが一気に距離をつめてくる。咄嗟にその攻撃を防ぐ。
「炎で撹乱しつつ一気に距離を詰めてきましたか...なるほど少しやりますね」
「はーっ!!」
「剣心の太刀」
またあの衝撃が来る。アリスはその攻撃を受けて闘技場の周りに落ちないように貼ってあるバリアの壁に吹き飛ばされる。だが今度は空中で態勢を立て直してバリアを蹴り上げて勢いよくメルロの方へと向かっていった。そして剣で一撃を加える。
「っ!」
「ふふっ」
メルロに一撃を加える事ができたアリスは少し笑みを浮かべる。続けて剣で攻撃をしようとする。剣を混じえた。
「あなたとの勝負楽しいわ!そう思わない??」
「そうですか」
「あなたはあまり楽しそうじゃないわね!」
「当然です」
メルロはどちかというと、義務的に敵を倒すという感じだ。ロボットのように何も感情もなくただ相手を倒す事しか考えていない。
「あなたはもっと楽しまないの?」
「その必要はありません」
「そう、これだけ楽しいのにね!!」
そう言って剣を何度か交えるとメルロはふと、突然こんな事を言い出した。
「わかりませんね。戦いなど楽しむものではないのに」
「あら、そう思う?」
「ええ」
「あなたは一体何があったのか、どうしてそんな冷徹な感じになってしまったのか知らないけど、あなたの凍った心を溶かしてあげるわ」
「あなたには関係ありません」
そう言ってメルロは勢いよく斬りつける。その攻撃を避けたアリスは炎を纏わせながらメルロに一撃を加えようと何度も剣を振るった。
「学習しませんね。そんな攻撃では効かないと...」
「それでいいのよ!」
「ほう...?」
「こうやってあなたとの間合いを確かめながら隙を狙っているからね」
「ほう」
なんとかしてスキルの炎を命中させることができれば勝機はある。だが普通に打っても先ほどのように簡単に無効化されてしまうだろう。
「そろそろ諦めたらどうですか?」
「まさか!勝負はこれからよ!!」
そう言って剣の炎の勢いをさらに上げる。ここからまたあのスキルを使おうと言うのだ。
「おそらくこの攻撃は防がれる。だからその防いだ一瞬が勝負!!」
「ほう」
「スキル!!!獄炎葬!!!」
そう言い勢いよく剣を床に叩きつける。だがあの先ほどのような激しい炎は出ず。周りにでた炎は渦巻くだけでメルロの方へと行くことはなかった。
「あれ?」
スキルの失敗し、剣を見て「ちょっと!何で出ないのよ!!」とアリスが言う姿に観客席からクスクスと笑いが起こる。対戦相手のメルロもついプッと吹き出してしまう。
「あ、あの無表情のメルロが笑った」
「ああ、あの冷徹そうなやつが」
その珍しい反応に観客もそう口々に言っていた。
「あなたもちゃんとそういうのがあるのね」
「そうですね」
「ねえ、聞かせてくれない?あなたに何があったのか」
そのアリスの言葉に少し間を開けて「いいでしょう」と言った。メルロはあの出来事を思い出すたびにこう誓う。「悪は必ず滅ぼすべきなのだ」と。少しでも同情の余地を入れてはならない。徹底的に叩いておかないといけない。またあの時のようになってしまうから...。