百六十一話 神隠しの洞窟
「さあ、生き残ったのは20人!」
司会進行役がそういうと会場は歓声が湧いた。その生き残った20人は自信満々に次なる挑戦に挑む。
「続いては『神隠しの洞窟』という場所に行ってもらいます」
「神隠しの洞窟?」
「はい!ここは霧が深く自分の場所をわからなくして脱出が困難となる洞窟なのです」
「何よその洞窟」
「今回はその洞窟の奥にあるキンギョクというものを持って来てもらいます。そのキンギョクは4つだけ。なので最後のステージに立てるのは4人までとなっております!」
「4人..」
司会進行役は「それでは」というと扉を目の前に呼び寄せる。
「ここから入ってください」
「よし...!」
アリスはそう意気込んで入っていく。中に入ると青い氷のような石に覆われた壁や床の綺麗な洞窟にたどり着いた。惑わしの洞窟というだけあって霧が出ていて奥の方は見えない。
「さあ、行きますか」
他の者達の後を追ってアリスも進んでいく。レミーはというと、入り口でずっと何かを待っていたが放っておいた。今にでも倒してやりたいが、優勝のためにこんな奴の相手をしてる暇はないからだ。
しばらく進んでみるが、霧が濃くどこを進んでいるのかすらわからないほどだ。霧のせいでどっちからきたかどっちへ行けばいいかなどはさっぱりわからない。
「本当に何が何だかわからないわね...」
その時、何者かがいきなり斬りかかってきた。それはメルロだった。
「何!?」
「やはりあなたは消えるべきです。ここで消してあげましょう」
「もう!何なの!?」
メルロから逃げるが霧が濃いというのにしつこく付き纏ってくる。そこでしょうがないのえアリスは少し相手をすることにした。メルロの剣に自分の炎を纏わせた剣で相対する。
「はーっ!!」
「はっ!!」
剣を交えながらなんとか先に進もうとする。なんとかメルロの隙を作り、一気に駆け抜けようとした時だった。また別の槍がアリスを襲う。それはなんとネネだった。
「ネネ!なんで!」
「アリス!!」
ネネはそう言いながら槍を使って攻撃をしてくる。
「なんで!?どうしちゃったの?まさかレミーに!」
そうアリスは考えたがレミーに操られた時の白い炎がミミからは出ていない。
「もう...一体!!」
アリスはそう言いながらネネとメルロの相手をする。2人相手では流石のアリスも部が悪く押され気味だ。
「アリス...あなたはいらない...もう必要ないのよ!!」
「あなたのような人は必要ありません」
「もう、ネネもどうしちゃったの!?」
そう言いながら襲いかかって来るメルロに何かを感じ取り、剣を向ける。そして剣から炎を出すと「はーっ!!!」と言いながら剣を振るった。
地面に剣を叩きつけるように振り下ろすと、その炎は勢いよくネネとメルロに向かっていき、その姿はまるで霧のように消えて行った。今まで戦ったメルロもネネも全部幻覚なのだ。
「そうね..あなた達がそんなこと言うわけないものね。ニセモノ相手に何をやってるんだろう...私っ!!」
そう言って進もうとすると霧が渦巻いてさらにネネとメルロが10人ほど現れた。
「嘘でしょ...?」
霧で生成されたメルロとネネの集団はアリスの方へ襲いかかってきた。
「うわぁ...これは戦わないことが得策ね」
そう言ってアリスは走りだす。実力的には本物の半分以下ほどしかないが、これだけ複数いられると相手をするのも一苦労だ。
アリスはが走り抜けようとするが後ろから追ってくる。霧というだけあってスライドするように凄まじい勢いでこちらに向かって来ている。
「くそ!もう!」
「アリス!」
「アリスさん!!」
「2人とも!!」
そこにネネとミミが合流する。2人は大量にいる自分の偽物を見ながら「うへえ...」というような声を出す。
「お姉ちゃんがいっぱい..!」
「これどう言うこと!?」
「霧でできたニセモノ!こいつらをまずはどうにかしないと!」
「なら!」
そう言ってネネが霧のネネを真っ二つにする。だがすぐにまたネネの形へと再生してしまった。ミミも矢を打って見るが、結果は変わらない。霧のネネとメルロはさらに数を増し、20人ほどになっていた。
「ニセモノの私が増えた!」
「一旦逃げよう!」
「そうね...」
そう言って3人は走り出す。だがニセモノのネネ達はあっという間にアリス達を囲ってしまった。
「どうやら、そう簡単にに行かせては行かせてくれないようね...」
「どうするの?アリス!」
「どうするも...強引っに突破するしかないわよね」
そう言ってアリス達は剣を構えるのだった。