百六十話 マックスヒーローズ大活劇!!
「すげえ...!!」
新しくできた道にマブはそう言う。
「あとは...逃げるだけ!」
「ンモォォォォォォォォォ!!」
そう言ってアリスは新しくできた道に行こうとするが、突然牛の鳴き声が響く。そしてドシドシと言う凄まじい足音がだんだんと近くなって行った。
「おいあれ!」
マブが指差すとそこには倒したはずの牛の魔物が勢いよくこちらに向かってきていた。
「うそ...復活しているの!?!?」
「ンムォォォォォォォォ!!!」
「倒してる暇はない。とっとと...」
だが山羊と牛の魔物は新しくできた道を塞ぐように立ちはだかる。
「っ!強引に突破するしか!」
「ンモッ!?」
その時矢が飛んで来てその矢は牛に命中する。それはミミの矢だった。ミミとネネはうまくアリスと合流できたが今の状況に飲み込めないでいた。
「アリス!これは!?
「あの道を行けばゴールなの。でも牛の魔物が...
「ここの魔物は自己回復を行い、何度でも復活するのです!でもないと、番人で開けてもらわなければならないこの道を通れなくなりますからね。まあそもそも片方倒すのが奇跡のようなものですけど」
司会者は観衆に向けてそう説明する。もちろん別のところにいるアリス達には聞こえないのでなんで復活したかなどは知る由もないのだが。
「まずいですね...両方を相手にと言うのはなかなか...」
「おいアリス」
その時肩を叩いてマブがそう言う。アリスは「何!?こんな忙しい時に!!」とマブを相手にしている場合ではないので軽くあしらおうとそう言った。
「お前が1匹倒したのか?」
「ええそうよ!まあなんかピンピンしてるけどね」
「そうか...」
そう言ってマブは前に立つ。そしてアル、ホーとお供達の名前を呼んだ。
「俺たちだってこいつらぐらいぶっ倒せるってところを見せてやるぞ!!」
「え?リーダーマジでやるんですか?」
「勝てないでしょー」
「つべこべ言うな!俺たちだっていけるはずだ!!!」
そういう時3人は武器を出し、何やら演劇めいたセリフを言い出した。
「さあさあお立ちあい!ここにいるのはマックスヒーローズのマブ!最強にして最強!『最強』とかいて『さいきょう』と読むマブとぁ彼のことよ!」
「それ普通に呼んでるだけじゃん」
「しっ、アリスさんあんまり言ったら可哀想ですよ
「そうね」
「行くぞお前達!!」
「おおー!」
そう言って向かっていくが。結果は分かりきっていた。瞬殺。その言葉が適切だと言えるほどに瞬殺だった。
「リーダー!!」
「リーダー!!」
「お前達...あとは...任せ..」
「リーダァァァァ!!」
「何これ」
こんな茶番を見せられているアリスはそう言った。
「ンメェェェェェ!!!」
「ンムォォォォォォォォ!!!」
大きく雄叫ぶ2匹の番人達。もうこいつらを相手にしている場合ではない。どうにかしてこいつらを抜けていくしかない。
「ネネ!ミミ!行くよ!!」
「はい!」
「任せなさい!!」
そう言って3人で一斉に攻撃をする。だが斧で簡単に防がれてしまう。
「っ!やっぱ!」
もう片方の魔物の攻撃が来てそれを避ける。
「くっ...どうしたら...」
「ふっふっふ、任せろ!」
そう言って懲りずに前に躍り出たのはマブ達マックスヒーローズだ。
「こいつらを倒してやるぜ!」
「リーダー、目的はゴールする事でこいつらなんて放っておいても...」
「うるさいうるさい!倒すって言ったら倒すんだ!ぜーったい倒すんだ!」
「はあ」
その子供の駄々のような言い分にアルもホーもため息をつく。
「行こう!」
「ンメェェェェェェェェェェ!!」
番人が大きな斧で攻撃を仕掛けて来るのを3人がかりで防ぐ。3人がかりでも防ぎきれないほどのパワーで押されていると、ヤギの魔物の足元に矢が刺さりその矢は落とし穴となってヤギの魔物を落とす。
その落とし穴はマブのものだった。片足を穴に落ちて一瞬油断したところに勢いよく走るアリス達。しばらく走って行くと光が見えた。
「ついに突破者が出ましただァァァァ!!!」
戻ってきたアリス達にその声と大きな歓声が湧いた。
「戻って...これたの??」
アリス、ネネ、ミミの3人は無事突破する事ができた。
そしてしばらくすると、また出口から誰かが出て来る。それはメルロだった。
「あなたも突破したようですね」
「ええ、おかげさまで」
「あなたは犯罪者の味方。なので私の手で葬っておきたかったのでちょうどいいです」
「あなたとは決着をつける必要があるようね」
その後も数人ほど出てきて、時間ギリギリで最後に出てきたのは...。
「イズ隊長」
「イズさん!」
だがその出てきたイズは何だかぐったりとしている。すると出てきたイズは倒れ、後ろから「たいしたことねーなあ。こいつ」といいながらレミーが現れた。イズの体はとてもボロボロだ。
「あなた!?」
「そこの姉妹を痛ぶってやろうと思ったがこいつが邪魔をしてきてな。しょうがないからこいつを痛ぶって遊んでたんだ。言うほどたいしたことなかったけどな」
「あ...う...」
虫の息というぐらいにボロボロのイズはただそう呻くだけだった。
「いい感じにボコボコにしていい作品ができたから、お前に見せてやりたくってな」
「っ!...最低」
「雑魚のくせに立ち向かってきたこいつが悪いんだぞぉ?」
そう言いながら足でイズの顔を踏みつけるレミーにアリスも怖い顔でレミーを見た。
「えーっと、こちらの都合により第3回戦を始めさせてもらいます」
司会進行役はそういうとまた迷宮の時と同じように次のステージに続く扉を出現させる。
「次のステージは『神隠しの洞窟』です!」