十六話 オノマトピア襲来!!
闇魔との戦いの終わり、集会場でいつものようにクエストボード眺めてクエストの紙を一枚取って受付の方に行き、そこにいたお姉さんに渡す。お姉さんはニッコリと笑いながらこちらを見ている。
「今日もクエストですか?」
「ええ」
すると「あ、そうだ」と受付のおねえさんが思い出したようにカウンターの下で何やらもぞもぞしてる。
しばらくして取り出したのは赤い缶だったその蓋をあけるとクッキーがいくつも入っていた。四角いもの、丸いもの、花びらのようになているものなど様々なクッキーが大量に入っている。アリスは一つを手に取り裏を見たりしてみる。意外とふつうのクッキーだ。
「おいしそう!アンバーグはどう?」
「いや、俺はいいや」
アンバーグはなんだか嫌そうな顔でそう答えアンバーグなんでそんな顔になったかよくわからなかったが、特に気にしないでおいた。アリスとテティでクッキーを取り口に入れる。その瞬間、アンバーグのあの顔の理由がやっとわかった。
「んっ!!!」
それは言葉にならないようなものだった。まるで口の中で爆発したような感じでその風味などが広がってくる。
何だこのマズさは。2人が最初に出た感想がそれだった。ちゃんとしてる見た目とは裏腹にどう表現していいかと言う味。簡単にいうならば「まずい」だった。
「どうですか?」
「あ....あ...美味しです」
それっぽく返答する。さすがに目の前で「まずい」とはいえないだろう。そうは言っても顔が引きつりあまり美味しそうな顔になっている。その顔を見てお姉さんは少し不思議そうな顔になる。
「うーん、みんなあんまり美味しそうに食べてないの..?」
「ねえねえアリス、これってアレじゃない」
「あれって?」
テティが小声でアリスに囁く。テティの言葉がよくわからず、アリスはよくわからずに首を傾げている。
「よくあるじゃない、料理って言われて出されたのがこの世のものとは思えないってやつよ」
「ああ」
アニメやゲームに料理を出すキャラは基本的に得体の知れない料理とは程遠い物体が出てきたりするいわゆる「メシマズキャラ」だ。こんな受付のお姉さんみたいなモブキャラにそんな設定いるのかとは思うがまさか...。
「もっとあるんでいかがですか?」
その言葉にえっ?と言う声を出し、お姉さんの方を見てアリスはえーっと、という声を出して頭の中に何とか言い訳を並べる。文章として頭の中に並べたアリスはそれをそのまま口に出した 。
「あーちょっと急用を思い出しまして!」
アリスはその言葉にこやかな顔をしながら逃げるように集会場を後にしたアリスはふーっと安堵のため息ついた。そこに残されたアンバーグにお姉さんはクッキーを渡す。アンバーグはその渡されたクッキーを持ちながら困った顔をした。
「何なの?あれ!」
「あれは通過儀礼のようなものだ」
集会場の外に出てテティが怪訝そうな顔になった。言葉にアンバーグが応えた。おそらく食べなかった所と通過儀礼という言葉から、すでに同じ思いを経験済みなのだろう。
「味がひどいなら先に言ってよ」
「通過儀礼みたいなもんだだからな」
「もう..」
「お、チビ助じゃねーか何やってんだ」
そこを通りかかったのは、昨日集会場でテティに「筋肉バカ」と呼ばれていたヴェラードだった。「よお」と手を振ってヴェラードはちかづいてくる。改めて見ても、その大きな体に凄まじいほどの筋肉。筋肉が好きだったら見とれてしまっていたかもしれんし。
「あんたこんなところで何してたのよ」
「まあちょっと...な。さて、確か闇魔とか言う武器を集めるクエストをやってたんだろ?ありゃ相当難しいはずだ。と言うわけで...集会場じゃできなかったがお前の実力...見せてもらうぞっ!!」
大きな斧が襲いかかってくる。それを剣で防ぐがとても強い力で防ぎきれることができない。
ズガガンという音を立てて斧により床に抉られた跡が残る。
突然始まった戦闘に周りに人が集まってくる。この街では特に戦闘に制限はなく今のように力比べなどでよく戦いが起こる。見てる人は「いけいけー!!」などと囃し立ててさらに場を盛り上げる。
「ほらほら!どうしたんだ!」
「何考えてんのよ!脳筋バカ!」
突然勝負を挑んできたヴェラードに対し、テティが口を出してくる。それに対してヴェラードは何も言わずに大きな斧大きく上げる。だがアリスに攻撃を仕掛けようとした時向こう側に女性を見つけると、目をハートにして駆け足でその女性の方を向かう。向こうの方で女性に何やら身振り手振りでナンパでもしているのか。
「本当に何なんだ?あいつ...」
「まあとりあえずクエストに行こうよ」
戦いが終わり先ほどまであったひとだかりはいつ間にかなくなっていた。アリスは剣をしまい「そうだね」とテティに言った。
「なあなあ!あっちで何か始まるみたいだぞ!!」
近くでは、男が向こう側を指差して、もう一人の男にそういい言いながら沿いを走っているのが見える。アリスとテティは顔を見合わせながらその男が走っていった方に向かった。
走っていくと向こうに人だかりが出来ている。そこには広場があり真ん中にある大きな台はそこには5人のそこには男女が立っている。その中のすらっとした体型で髭を生やし少し長い髪をしたリーダーと思われる男は、大きく息を吸うとそこにいる者全員に聞こえるぐらいの大きさでこんなことを言いはじめた。
「この街が一瞬にして吹き飛ぶボムを仕掛けた」
「爆弾?」
突然のことにざわめき始める。突然そんなこと言われればそうなるだろう。信じていないものもいるだろうと槍を取り出しその槍で台を一回叩いた。すると広場の隣の木が大きな音終え立てて爆発した。爆発した木は倒れ、燃え上がっている。その爆発にそこにいた者たちの動揺は男は大きくなっていった。
「俺たちは大真面目なのがわかっただろう。そこでだ、簡単なゲームを開催しようと思う」
「ゲームだと?」
「ルールは簡単。君ら全員で我々5人を倒すと言うものだ。我々を全員倒せれば君らの勝ち、君らが全滅してしまうか制限時間内に我々全員を倒せなかったら我々の勝ち。どうだ簡単だろう。その時はこの前の街は吹き飛ぶ。どうだ?面白いだろう?期限は...そうだな...3日だ。3日で全滅できなければドカンっていうのはどうだ?」
「ふざけんな!!なら今ここで倒せばいい話だろ!!」
モブの一人がその男に襲いかかる。だがその男の槍であしらわれ、男は先ほどと同じように槍で地面を叩く。すると男に襲いかかったモブは大きな爆発を起こした。
少ししてからにしようと思ったがそんなにやりたいのなら仕方がない。ゲーム開始としよう。おっと、名乗って無かったな。我々は新しい世界を創る者たち“オノマトピア“だ。覚えておくといい。そして私はリーダーのドカン」
「僕はモグモンだよぉ〜よろしくー」
次にとても肥満体型のお菓子を貪る男が自己紹介を始める。そいつはピンクの服でその服からは太った体が出ている。パイナップルのヘタのような髪の毛で自己紹介をしながらも手に持っているお菓子を袋から無造作に取り出しては口の中に運んでいる。
「僕は美しき戦士キンキだ。気軽に『キンキ様』と呼んでくれて構わないよ」
次は金髪の男。ほかにやつに比べて背は小さいが、ビジュアルからすでにナルシストな感じが漂っている。顔はそこそこという感じだがそのナルシストな感じが相当なマイナスポイントになっている。アリスの苦手ばタイプだ。キンキという男は歯を見せてアリスの方を見て笑っている。アリスは嫌そうな顔で少しキンキに引いていた。
その次は居眠りしている男。はっとして「自分の名前はー」と言いかけ、また眠りはじめた。それを見てドカンははーっとため息をついてドカンはこいつは...と続けた。
「こいつはグーグだ」
最後に青い髪の水の杖を持った女性がつまらなそうな表情で自己紹介をしたその声は小さく1番前にいる者でも聞こえるか聞こえないかというぐらいの大きさだ。
「ザーザ」
名前だけ言ってそのあとは黙り込んでしまった。なんというか暗い感じの女性だ。
「ということで皆の衆ガンバてくれたまえよ
女の持つ雨を模したような弓から水が現れそのお男達を包み込む。そしてしばらくして消えてしまった。いきなり始まったゲーム。果たして全員倒せるのか...。