百五十九話 迷宮攻略のカギ
「よお!」
「あんた...!」
そう言いながらアリスはレミーに剣を向ける。そのレミーはというと、何だか余裕そうな顔でアリスを見る。
「お前をここで倒すのもいいが...それだとつまらないからな。これからのイベントを盛り上げたいからな」
「それってどういう...?」
「はーっ!」
そこへ後ろから何者かが剣で攻撃を仕掛ける。レミーはいち早くそれに勘づき、攻撃を防ぐ。
「ほう...ちょうどいい」
「アリス!」
「アリスさん!」
「2人とも!」
「ちょうどいい。こいつらを八つ裂きにすればアリスもやる気になってくれるよなあ?」
「そんなこと...!」
「アリスは先行って!」
「え!?」
突然のネネのその言葉にアリスは驚く。
「ちょ、何を言ってるの!?」
「あなたが先に進まないと意味がないの。早く行って!」
「でも...」
「大丈夫です。時間稼ぎはしますから」
「それじゃあ2人が!!」
「制限時間はあとどれくらいかわからない!早く行きなさい!」
そのネネの強い言葉にアリスは剣を握りしめて「わかった!」と言い迷路の奥へと進んだ。それを見届けたネネとミミは再びレミーの方を向く。
「勝てると思ってるのか?お前ら2人で」
「勝てるなんて思ってないわよ。時間稼ぎができればいいの」
「そうか...ならとっとと片付けてゴールをするとしようかな!」
そう言ってレミーは剣を振る。それを避けてネネが反撃、そして後ろからミミの矢が狙い撃ちする。
「メルロとかいうやつに使った手と同じか。ワンパターンな...!」
レミーは横に避け、迫り来るネネを後ろで矢を構えていたミミに向けて蹴りを入れて吹っ飛ばした。そして走り出して一気に距離を詰め、2人に剣で攻撃を行う。
「うああああ!!」
「ああああ」
2人がうめき声を出しながら床に倒れたところにレミーはミミに狙いを絞り近づくと、体を押さえつけた。
「ぐっ!」
「何を!?」
「まあ見てろって」
「うぐああ!」
ミミの悲鳴が響く。レミーは急所を避けて体に剣を突き立ててグリグリと押し込んだのだ。押し込まれた肩からは血が出て来る。
「あんた!!」
そう言ってネネが行こうとするが、レミーはミミの首に剣を突き立てて「動いてもいいのかあ?」とニヤついた顔で脅す。それに動くことができずにネネは冷や汗をたたしているばかりだ。
「さあ次はどこがいいかなあ?その綺麗な足をズタズタにして血でデコレーションしてやろうかなあ?」
「お姉...ちゃん」
「やめて!」
その時、レミーのすぐ横を何かが通った。それは大きな斧だった。耳から離れ、何だか嬉しそうにその斧を振りおろした人物を見る。
「お前は確か...あの冷徹女のところにいたイズとやら」
「イズさん!」
あなたどうして!」
「なんとか逃げ切れたと思ったら...なんだか良くないことをいている奴がいてな」
「心外だなあ。楽しい時間を過ごしてただけなのに」
「お前達は仲間を追ってくれ。こいつは俺が倒す」
「待って!妹をやられて黙ってられないわ」
「お前たちはこんなやつに構ってるな。今はクリアを目指してくれ」
その言葉にミミは立ち上がり、「お姉ちゃん、私は大丈夫だから行こう」と言った。ネネはその言葉に少し不満そうだったが先に行くことにした。
「お前魔物だな。何でここに?」
「お前に言う必要はない」
「なら無理矢理でも!」
そう言ってイズは斧を振り下ろす。イズの斧とレミーの剣がぶつかり合い凄まじい音がなった。
「もう、一体どこに出口があるってのよ!」
アリスがそう言いながら壁に手をつくと。なんだか違和感を感じた。他の壁より少し薄いような気がする。
「壁...薄いような?とりあえず攻撃を!!
壁に違和感を感じたアリスが攻撃しても何も起こらない。
「うーん...?なんかおかしいと思ってたけどな...?ってそうか!」
何かを思いついたアリスは走り出す。そして少しすると向こうに何かが見える。
「うおおおおおおおおあああああ!!」
向こうからそんな声が聞こえて来る。その声の方を見ると、マックスヒーローズの3人とイズがこちらに向かって来る。後ろにはヤギの魔物もいる。
「なんでまた見つかってんですかあああああああああ!!」
「知らん!!!!!」
どうやら一度逃げ切ったまでは良かったが、マックスヒーローズの3人はまた追われているようだった。
「どこまで追いかけて来るんだよおおおおおおおお!!!」
そう言いながらいまだに逃げているマブ達に前に、再びアリスが現れる。今度はアリスはマブたちにこっち!と誘導をかけている。
「なんだかわからんが...こっちか!」
アリスは先ほどの場所へとヤギの魔物を誘導していく。そして薄い壁のところまで行くと、剣でヤギの魔物に一撃を入れる。攻撃を受けたヤギの魔物は「メグェェェ!!!」と言いながらアリスに向かって斧を放った。
「なるほど...そういう事だったのね」
斧で叩かれた壁はドゴーン!!と言う音と共に壊され、新たな道ができた。