百五十八話 迷宮に潜む番人
「うわああああああああああああ!!!」
そう言ってマックスヒーローズの3人は走っていた。後ろから追いかけて来るのは頭がヤギで体がムキムキマッチョの魔物だ。こいつもアリス達が現在戦っている牛の魔物と同じ番人だ。
「なんだよこいつうううううう!!」
「リーダー言ってたでしょ!?番人が2体いるって!!」
「くそおおおおお!!ってあれ?あそこに人が!おーい!!」
マブが呼んだのはレミーだ。レミーは無視して行ってしまう。
「おい!行くなって!おい!!!!」
どっかに行ってしまうレミーにそう言いながら逃げていく。
「くっそー!こうなったらぶっ倒すぞ!」
「はーい!」
マックスヒーローズの3人はそう言ってヤギの魔物に襲いかかるが簡単にあしらわれてしまう。
「うぎゃあああ!」
「つえーじゃねーかぁ!くっそー!」
勝てない事を察したマブ達はそそくさと逃走を継続する事にした。
「くそー!こんなんじゃ出口なんて見つけられねーじゃねーかー!」
「どうするんです?リーダー」
「ぐぬぬ..このまま逃げ続けても...こうなったら!」
「こうなったら?」
「誰かに山羊の気を逸らして貰うしかねえ!」
「他人任せですか...」
そう言いながら右へ左へ曲がるがなかなか人すらいない。そんなこんなのうちに行き止まりに来てしまった。
「どうするんです?行き止まりですよ?」
「ぐぬぬ...」
その時、山羊の後ろから斧の攻撃がやって来る。それはイズだった。
「早く逃げろ!!」
「おお!救世主よおおおお!!」
そう言ってマブは涙を流すのだった。
「さあ、いくよ」
そう言ってアリスは駆け出し、牛の魔物の斧を避けながら足に向けて剣を振る。斬られた足から血が出て来る。牛の魔物はアリスの首を掴むと床に思い切り叩きつける。
片方の腕で押し付けられ、逃げられないところをもう一方の腕で斧を使い真っ二つにしようとする。
「はーっ!!!」
その背後からメルロが剣で勢いよく牛の魔物を斬りつける。その攻撃で怯み腕が緩んだところに炎を纏った剣で勢いよく攻撃を仕掛ける。
「どう??」
「ムォォォォォォォォ!!」
相当なダメージ...と思いきや牛の魔物はまた斧で攻撃をしかけようとして来る。
「ダメージは受けてる...みたいだけどかなりタフね」
「ムォォォォォォォォ!」
牛の魔物は斧を横に振り、大きく砂を起こす。その砂のせいで視界を遮られてしまう。
「っ!」
「見えっ!!」
砂嵐で戸惑っているところを牛の魔物は斧を右へ左へと振りメルロとアリスを大きく吹き飛ばす。
「ぐっ!」
「うぐっ!」
なんとか体勢を立て直し両サイドから反撃を仕掛ける。牛の魔物はアリスの攻撃を防いですぐに背後からくるメルロの攻撃を防ぐ。
「この身のこなし...」
「なら!!」
そう言って炎を纏った剣で勢いよく切り付ける。斧と剣のぶつかり合う。
「ンムォォォォォォォォ!!」
そう言いながら横に斧を振ると斧が大きな音を立てて壁に突き刺さる。相当勢いよく壁に当てたからか、刺さった斧はなかなか抜けない。
「今だ!!!」
その隙をついて一気に攻め入る。何度か攻撃を加えたが少しほどしかダメージを受けてないのか斧を抜いて勢いよく振り回した。
なんだか
「っ!なら!」
そう言いながらアリスは勢いよく燃え盛る炎の剣を構えて駆け出す。そしてアリスは向かっている途中に「メルロ!私に向かってスキルを!!」と呼びかけた。
「なんだか分かりせんが、それで倒せるなら!!」
そう言ってメルロは白い光を県に集約し一気に放つ。その光は勢いよくアリスと牛の魔物方へ向かっていく。
一度アリスは牛の魔物の斧から剣を離し、凄まじい炎を剣から放出してメルロの放った光と交える。
「はああああああああああああっ!!」
その交えた炎と光を合わせて牛の魔物に放つ。それを斧で迎え撃つが、その勢いに斧が破壊され、牛の魔物に直撃し、「ムォォォォォォォォ!!」という凄まじい雄叫びを上げて倒れた。
「うおおおおおおおお!!!すげえ!!!!!」
「倒しやがった!!!」
アリスが牛の魔物を倒した事で凄まじい歓声が湧いた。だがもちろんその観戦の声は別のところにいるアリスには聞こえていないが。
「はあ...はあ...やった」
「さすがはギルメラも倒しあの姉妹を倒して味方につけた人...」
そう小さく呟くメルロに、アリスは不思議そうな顔で見て来る。それを「何でもないです」と言ってそっぽを向いた。
「でも...あなたのことが少し分かりました。なぜあんな犯罪者を庇うのか...ですが私の本心は変わりません」
「望むところよ!」
「では、先に行きますので」
「お互い頑張ろう」
そのアリスの言葉に何も言わずにメルロはどこかに行ってしまった。アリスは「さて、出口を探さないと!」と言い、走り出す。早くしないと制限時間内にゴールを目指すことができない。
ずーっと歩き回きっているが、なかなか見つからない。何か仕掛けでもあるのか...などと思いながらももう少しほど歩いていたが、やはり何も見つからない。
「んーでも結構歩いたはずなんだけどなあ?」
かなりの距離歩いたはずなのだが、なかなか出口が見つからない。
「かなり広いからまだ探索できてない箇所であるのか、それとも...」
「よお」
その時そんな声がし、その声の方を向く。それはレミーだった。