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百五十六話 奇妙な提案


「手を組む...?」


そのレミーの言葉に困惑しながらアリスはそう呟く。手を組む...と言うと言葉通り夏協力すると言うことだ。突然どういう風の吹き回しなのか...もちろんアリスもすぐにOKとは言わずに慎重に質問して行く。



「なんのつもり?」



「よく考えたらわざわざ争う必要ないじゃないか」



「2回も襲いかかってきたのに?」



「あーそれは悪かったよ。だからどうだ?俺かお前か、どちらかが優勝すれば優勝商品は手に入る。優勝商品自体は何かわからないがおそらく欲しいものは違うだろうしどっちかが必要ならその時そいつに譲ればいい」



アリスはレミーというやつが何を考えてるかわからないので慎重に尋ねる。その答えにアリスは「それは...」とだけ言う。



「お前にとっても損になる話じゃないはずだ」


「それは...」



「敵対するなら、お前が一番邪魔な存在になるから今まで以上の妨害をしてやるがそれでもいいか?」



そのレミーの言葉にアリスは迷うことなく「ええ」とだけ答えた。


「あなたが何を企んでいるかはわからないけど、ゼロの手下であるあなたに渡したら大変なことになる」



ゼロの思想は人間を滅ぼして魔物の支配する世界にすると言うものだ。もちろんそんな危険思想な人物の部下なのだから商品が何か危ないものであったら渡すわけにはいかない。



「なんだ残念だな」



「私今忙しいの。あなたに構ってる暇はないわ」



そう言ってアリスは急足でテティを探しに行こうとすると、レミーは「まあいいかな」と少し怖い顔で言う。何か裏がありそうな感じがする。



「お前のお仲間の妖精...どこ行ったかな?」



「っ!!」



まさかこいつテティを...!?そう考えたアリスは剣を構えて臨戦態勢に入る。



「なーんてな。わざわざお前にそんな事する必要はないからな」



「は?」


「だったらこの先も邪魔なお前を排除させてもらうがな。それだけだ。じゃあなあ」



そう言ってレミーは去っていった。アリスが何が何だかわからないでいると、すぐにテティも戻ってくる。



「アリスー!ってどうしたの?」



「テティ...よかった」



「何?アリスどうしたの??」



「なんでもないよ」



レミーは何を考えているかはわからない。邪魔をするにしても中途半端で本当に邪魔をしたいのかそうでないのかすらさっぱりわからない。アリスは「一体...あいつは何が目的なの...?」と呟いて空を見た。



「見た?あいつ」



「うん」


そう言いながらアリスの元を去って行くレミーを見ている2人がいた。ネネとミミだ。



「あいつアリスに変な提案してたわよ。怪しいわね」



「そうだね」



「ついていってみよう」



「えー危ないよお姉ちゃん。ここはまずアリスさんと合流を...」



「バカ!そんなことしてたら見失っちゃうでしょ!」



アリスと話していたレミーを怪しいと睨んだネネとミミはさっそくレミーを尾行した。見失わずバレないようにこっそりと後ろをついて行く。しばらく後をつけると、レミー進んでいき、人気のない外に出てしまった。



「外に出たよお姉ちゃん」



「いったい何を..」



「おい、さっきからついてきてるお前達。何者だ??」



人気のないところに来たと思いきや、レミーはそう言い2人が隠れている大きめに石を破壊した。ネネとミミの姿が丸出しになる。その声にネネとミミはビクッとする。尾行は最初からバレていたようだ。



「おやおや、これはこれは。何の用なのかな?」



「っ!どうするの?お姉ちゃん」



「ここで倒してしまえばアリスの優勝は確実よね」



「そうだけど...」



「今忙しいんだが...と言いたいところだが、少し時間がある。相手をしてやろう」



そう言ってレミーは剣を出した。今は大会中のため武器を預けているため、大会で使っていたものだ。




「いいの?こんな事して」



「大丈夫大丈夫。元凶を絶てば全てなるっとおさまるってもんよ。2人で行くわよ」



「うん!」



ネネとミミが剣と槍で同時に攻撃をする。だが剣一つで簡単にそれを防がれてしまった。

余裕なレミーは2人に「これで終わりか?」とニヤついた顔で言う。



「まだまだぁ!!」



そう言って何度か剣を振る。だがレミーの一振りでネネは大きく吹き飛ばされる。



「お姉ちゃん!!」



「人の心配してる場合か?」



レミーは迫って来るミミをあしらうと小さく白い炎をミミの体の周りに散布させる。続いてネネが攻撃を仕掛けようとするとレミーが指をクイっと動かした。するとミミの体は引っ張られるようにネの方へと向かっていった。



「なっ!」



ミミが庇うような形でレミーの前に出たのをネネは咄嗟に攻撃を止める。



「ほう、やるじゃないか」



「あんた...」



「お姉ちゃん...体が...」



「ふむ...サンドバックにもいいな」


そう言いミミの体を何発か殴る。それを見たネネはレミーに攻撃を仕掛けようとしたが、ミミの体で防御をするのでなかなか攻撃ができない。



「あんた...ほらほらー攻撃してこいよーさもないと...」


剣でミミの腕をスッと切る。そこから血が少しずつ流れて来る。ミミは痛そうに「っ!」と言うような声を出して苦しそうな顔をした。



「ミミをっ!」



「おっと、時間だ」



そう言うと操っていたミミを解放し、「じゃーな」とだけ言って戻ろうとする。ネネは急いでミミの方に駆け寄る。



「大丈夫??」



「うん...」



「あいつら逃げちゃったね...」



「いいわよ」


そう言って2人は追うのをやめた。











「ふう」



レミーは街からかなり離れたところにある洞窟に来ていた。その奥では怪獣の見た目でスーツをきた魔物が出迎えてくれる。



「ヘントールどうだ?」



その言葉にスーツの怪獣の見た目のヘントールと呼ばれた魔物は「はい。今のところは大丈夫です」と答えた。

レミーは「なぜ...」と言いながら装置の中に入った主、ゼロを見る。体はボロボロでその姿はまるで装置の中で延命処置を受けているようだ。


「すぐに、大会に優勝してアレを手に入れ、すぐにあなた様を...」



「大会などめちゃくちゃにして取ってくれば良いのでは?」



「さすがにあそこには人が多すぎる。確実な手を使わないとな」



「確実な手、ですか」



「ああ。アリスが勝ち上がってくれているし、味方にはならなかったが問題ない。これも計画のうち...」

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