百五十五話 白き炎のエトワール
「おい、ありゃあなんだ?」
「なんだ?隙だらけじゃねえか」
「やってやろうぜ!」
屋根でずっと佇んでいるだけのレミーに向かって何人かの男らが襲い掛かろうとする。だがレミーはがそれでもずっと動かずにじーっと何かを待っているかのように動かずにいる。
「はっはー!もらったあ!!」
そう言って剣で攻撃しようとしたその時だった。レミーの剣が光がともり、それが勢いよく雲のかかった空に飛んでいく。一瞬何が起きたのかわからず焦ったが、何もないとわかると再び男らは攻撃をしようとする。だがその攻撃は叶わなかった。
「無限のエトワール」
レミーがそう言うと、上から何かが飛んできて、チンピラ男らに命中する。そしてその黄色いのはさらに数を増してまるで雨のようにフィールド内の至る所に落ちていく。地面に命中するとドスンと大きな音を立てて爆発した。
「おいあれなんだよ!!」
「なんか大量に降ってきたぞ!!!」
「うぎゃあああああ!!」
空から流れ星のように降り注ぐその流星のような白い炎は無作為に降り注ぎ参加者頭達を次々と倒していく。もちろんそれはメルロとアリス達にも襲いかかってきていた。
「はっ!」
「ちょ!」
この雨のように降り注ぐ流星のような白い炎を避けるだけでも精一杯なのに、メルロがアリスに向かって剣を向けてくる。メルロは攻撃が来るたびに剣で弾き返したり避けたりようだった。
「こんな雨みたいに降り注がれちゃ戦ってる場合じゃ!」
「これでやられるぐらいならばその程度ということです」
「んもう...!」
アリスはメルロと同じように流星のような白い炎を弾いたり避けたりしながら迫り来るメルロをなんとか対処する。しばらくすると雨のように降り注いていた炎は止み、フィールドはほぼ壊滅状態になっていた。
その時、ブーッ!!というかなり大きな音がフィールドに鳴り響いた。それは試合終了を通達するものだった。
「試合終了ォォォォォォ!!何と言う事だぁ!レミー選手によって降り注がれた白い炎で参加者がほとんど脱落してしまったぁぁ!!!」
「人数が規定の数まで減ったので試合終了!!今ここに立っている人は2回戦へ進出です!!」
「おやおや、勝負はお預けのようですね」
「ええ」
こうしてアリスは1回戦を生き抜くことができ、2回戦へと駒を進めた。
「終わったのか?」
「そう見たいですよリーダー!!」
「やっぱリーダーは隠れていれば無敵ですね!」
アルの言う通り、武器を手に入れてからずっとマブ達は隠れていた。その結果誰とも戦わずにここに来たのだ。
「よし、次もやってやるぞ!」
「これで大丈夫なのかなあ?」
「次も何もしないでクリアでいるといいねー」
アルとホーがそう言い合っているとマブはゴツンと2人にゲンコツをする。
「ほら、行くぞお前ら!」
「「はぁーい」」
「あれ?テティどこにいるんだろう?」
試合が終わり闘技場をでると、テティの姿が見当たらなかった。どこかで油を売っているのか...アリスはそう言いながらはーっと息をついて歩き出そうとした時、「あの」と言う声が聞こえてきた。その声をかけてきたのはメルロだ。
「あなた方の実力はわかりました。ですが私の信念は変わりません。この世界の秩序を脅かす者と、それを庇う者はもちろん容赦はしませんから」
「.わかってるよ。あなたを倒して見せる」
「楽しみにしていますよ」
そう言ってメロウは去っていった。そんなメロウを見ながら、アリスは再び「テティはどこいっちゃったんだろう?」と呟きあたりを見回してみる。たくさん人がいるのもあって、なかなかテティスの姿を見つけることができない。
「もー何やってんだが...」
「何かお探しかね?」
「あ..あんた...!?」
「よお」
そこに現れたのはレミー。アリスは咄嗟に剣を出そうとするが、レミーは「待て待て争うつもりはない」とだけ言った。
「何か用?今忙しいんだけど」
「お前にとある提案をしにきたんだ」
「て...提案?」
「そうだ、手を組まないか?」
そう言って不気味に笑みながら、レミーは手を出した。