百五十三話 アリスを狙う黒い影
「お姉ちゃん!」
「うん!」
ネネは剣、ミミは弓を使い協力して戦っていた。敵自体はそこまで大したことはないので生き残るだけなら容易だろう。
「よし!このまま...!」とネネが言った時、誰かがネネ達に向けて大きく床に斧を振りかざす。2人がその攻撃を避けて、その斧の主を見ると、それはイズだった。
「お、やっぱ避けるかあ」
「あんたはメルロの...」
「昨日の件は本当に申し訳なかったな」
イズは昨日のメルロが斬りかかった剣を詫び、「だが勝負は勝負だ」といい斧を構える。
「お姉ちゃん」
「うん」
イズを目の前に2人は武器を構え、やる気満々だ。
「はーっ!!」
ネネが剣を振り横からミミの矢で追撃を行う。斧で両方の攻撃を防ぎながら斧を横に大きく振る。その攻撃を剣で防ぐが、斧の威力が高く押し負けそうになる。
「お姉ちゃん!!」
そう言いながらまたミミの矢で援護をする。イズは一旦剣を離して矢を避け、「っ!面倒な!」と言って先にミミを狙おうとする。
「させないわよ!」
そこにネネが割り込み妨害されイズは舌打ちをした。
「さすがは姉妹の連携といったところか。だがそれでは打ち崩せないぞ!」
「っ!」
大きく振りかぶったところにミミの矢が飛んでくる。その矢はイズの肩に命中した。斧は威力自体が高いが大きな動作で隙ができやすい。そこでネネが攻撃を誘いその隙のある振りかぶりの時に矢で攻撃したと言うわけだ。
「ほう、これは一本取られたな」
「矢程度じゃダメね...」
意外とピンピンしているイズにネネはそう言う。勝負が拮抗しているところにまた別の誰かの声が聞こえてきた。
「隊長そんな奴らに何手加減してるんですか」
「メルロか」
2人はメルロの方を向いて剣を構えた。
「たくさんの人に迷惑をかけたこの世界の異端者のあなた達も出たのですね」
「そんなもの勝手でしょ!?」
「あなた達は今まで何人の人に迷惑をかけてきましたか?」
その言葉にネネもミミも何も言えない。アリスと闘う前にも似たようなことを色々なところでしてきたので、何も言い返せなかった。そんな2人に「やっぱり。あなた方は不要な存在ですね」と言い手に入れたであろう槍を構える。
「ここは大会なので見逃してあげますが、あなた方のような悪人はとっとと消しておくべきだと思いますがね」
「そんな!私たちはちゃんと罪を償って...!!」
その言葉にメルロの頭にまたあの光景が浮かぶ。命乞いをする男。そしてそれを許す女性の姿。だが次のシーンではその許した女性は命乞いをした男に殺されてしまっていた。
「そんなの関係ありません。一度危険なことをした時点でもうこの世に居ていいような存在ではありませんので即刻排除をしなければなりません」
「そんな...私たちは...そういう存在...」
ミミが弱気でそう呟くとネネが大きな声で「バッカじゃないの?良く思われてないなんてそんなもの100も承知よ!!」と高らかに言った。
「お姉ちゃん?」
「もちろん私達がやってきたことは永遠に残る。そんなの知ってるわよ!それを否定するつもりはないわ」
「ほう...」
「そんなもの知ってるからこそその償いをしてるんじゃない。一回罪を犯したら終わり?バカじゃないの?ごちゃごちゃ言ってないで剣で来なさいよ」
そういうとネネは剣を取り出して戦闘態勢に入る。ミミも持っている矢で姉を援護する態勢に入った。その姿にメルロも「そうですね」と言いながら槍を出す。
「では行きますよ」
「来なさいよ!!」
メルロの槍とネネの剣がぶつかり合う。ネネの使う水龍剣は攻撃のたびに水を生み出し相手を翻弄するというもので、ネネが剣を振るとそこからコップ半分ほどの水がメルロに向かって襲いかかり目の前が一瞬水で遮られる。
その隙にネネは「はーっ!」と言いながら攻撃をするがその攻撃は防がれてしまった。
「まだまだ!」
ネルロに何度か攻撃を仕掛けるが、簡単に攻撃を防がれてしまった。だがそれもネネの想定内。ネネに集中している間にミミが矢でメルロを射抜こうとする。矢が3発ほど勢いよく飛んでいくが、一度ネネから離れて矢を避け、勢いよく槍で攻撃を仕掛けてくる。
「っ!!」
「お姉ちゃん援護を...!」
「無駄です」
そう言ってミミの放った矢を剣で弾く。その好きにネネが攻撃を仕掛けるが槍で攻撃を防いだ。
「この!」
そう言って攻め入るが華麗な動きで全て避けられてしまう。
「はー!
「ヒャハー!」
突然、横からそうい言いながらどこからか現れた2人の男女がメルロに攻撃をかける。ネネとの戦いの最中に隙をついて乱入し、仕留めようという魂胆なのだろうだがその2つの攻撃は弾かれ、あっという間に倒された。
「邪魔をしないでください」
「やるわね。これなら!」
ネネの攻撃を受けながら弾き返して一撃喰らわす。
「まだまだのようですね」
「やられるっ...!」
そうネネが覚悟した時、横からの剣がメルロの攻撃を防いだ。
「アリス!!」
「アリスさん!!」
「間に合った!」
その乱入してネネへの攻撃を防いだのはアリスだった。