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百五十一話 冷酷な聖騎士



「えーっと...誰だっけ?」



「レミーだ!!!」



「レミー...」



その目の前の魔物の名前を聞いてアリスは「うーん...?」と首を傾げる。どうやら名前を聞いてもアリスにはピンと来ていないようだ。



「ゼロの使者...といえば思い出すか?」



「ゼロ..!」



その言葉を聞いてアリスは顔を顰める。ゼロの使者はは人間を滅ぼすことを目的にした危険な集団だ。そのリーダーでもあるゼロはアリス達の前に何度も現れて対立していた。

アリス達は少し警戒していたが、レミーは「安心しろ、ここでは何もしない」とだけ言った。



「って、じゃあまさかあの襲いかかってきた男達は!」



ここに来る前に襲いかかってきた白い炎を弱く出していたあの男達...それはこいつの仕業だったのだろう。



「俺のプレゼントは喜んでもらえたか?」




「あんた...何が目的なの?」



「お前、大会に出るんだってな」



「何でそれを..!?」



「まあ、そんなのはいいじゃないか。邪魔なんだよなあ。お前が出ると」



「大会に出させないため...?」



「ああ、だがまあいい。まだ算段はあるからな。楽しみにしてろよ?」



そう言ってレミーは去っていった。テティは去っていくレミーにベーっとあっかんべーをした。








「お待たせ!あなたと私たちの分終わったわよ!」



しばらくして大会の申し込みを終えたミミとネネが戻ってきた。



「あなた達も登録したの?」



「ええ。多い方が優勝できる確率上がるでしょ?」



「そうだね」



「どこかで昼食にしましょうよ」



「そうね」


ミミの提案で近くの店に入る。そこは木のテーブルが並ぶ何だかシックな感じの店だった。適当なところに座り、メニューを見る。色々な料理が写真付きで載っていてどれも美味しそうで迷ってしまうぐらいだ。

しばらくして注文を決めた一同は各々食べたいものを注文する。そして注文も終わり後は待つだけだ。



「おい!なんだよ!!」



「なんだあ!?」



その時、2つほど離れたテーブルで男同士の喧嘩が始まった。白いタンクトップの坊主の男とヤンキーのような見た目のリーゼントの男は立ち上がり両者共に胸ぐらを掴んでいてすぐにでも戦いが始まりそうな感じだ。



「この野郎が!」



「ああ!?来いや!」


リーゼント男がナイフを取り出し勢いよく襲いかかって行く。そのナイフはタンクトップ男の肩に刺さってしまった。「ぐあああああああ!!!」と叫びながらタンクトップの男は肩から血を流しながら悶絶する。



「ち、違う!これは勢いあまって...!」



そうタンクトップ男は弁明する。どうやらこの男も威嚇で出しただけで刺すつもりはなかったようだ。すると、黒髪単発の18程の年の女の人がその現場の方に歩いてくるのが見える。



「な、なんだよ?」




そう言うタンクトップの男に、その黒髪短髪の少女は剣を取り出すと、勢いよくタンクトップの男をぶった斬る。斬られたタンクトップ男も「ぎゃああああああああ!!!」叫びと床に転がっていった。傷は浅かったようで流れてくる血を見てその斬られたタンクトップ男は何が何だかわからず恐怖する。



「てめえ!何しやがる!」



「あなたも同じ目に合っただけですよ?」



「はあ?」



「だって今あなた人を刺して怪我をさせましたよね?だったらあなたも同じ目にあって然るべきでは?」



淡々とその少女は無表情で言う。その少女言葉には感情はなく。まるでロボットが言っているようだ。



「だから言っただろ!?わざとじゃないんだって!勢いあまって!」



「でもやった事に変わりはない。あなたにも同じ目に遭うべき権利があるんじゃないですか?



弁明するタンクトップ男にロボットのような少女は全く聞く耳を持とうとしないその女はもう一度タンクトップ男に向かって剣を振り下ろす。だがその剣は男にまで届かずアリスの剣によって防がれた。



「いい加減にしなさいよあなた!」



「はあ?邪魔ですよ」



「この!」


アリスはその女の剣を弾き返して一撃加えようとするがスルッと避けられてしまう。その黒髪短髪の無表情のロボットのような



「おかしな人ですね。なぜ人殺しを庇うのですか?それが故意であろうが事故であろうが人殺しに変わりはありません。それならこの人も同じ目に遭うべきでは?」



「それならあなたも同じになるじゃない!」



「私はいいんですよ。ここに治安を守る団体に入っているので」



「何それ..?」



「申し遅れました。私、『聖魔隊』というこの辺りでは有名な秩序を守る団体に入っているメルロって言います」



「わざわざどうも」



その自己紹介になんだか不機嫌そうにテティはそう返す。



「秩序を守るということはこの人はこの街の秩序を破ったことになります。なら罰するべきですよね?」



「だからって同じ目に合わせるっておかしいでしょ?」



「おかしいですか?当然だと思いますけど?」



「当然って!でもそれならあなただって同じことを!」



「我々『聖魔隊』は良いのです。なぜならこれに言って秩序を守っているのですからね」


「やっぱあいつ、『聖魔隊』...」



「マジか、あの?」



その言葉に周りのガヤはそう口々に言う。『聖魔隊』はこの辺りを統治する集団だ。悪を許さず、より良いものにするために努める集団だ。


「はあ?意味がわからないその『聖魔隊』だからなんなの?



そうネネがいうと、メルロはミミとネネの方を向く。二人はその無表情で恐ろしげな様子に少し怯えたような顔をする。冷酷な、冷たい目はなんだか悲しさを秘めているようだった。



「これはこれは、お尋ねもののミミとネネではないですか。これは都合がいい。お尋ね者になるぐらいの秩序を守らないようなゴミはさっさと片付けないといけませんからね!」



そう言ってネネとミミの方に向かって剣を振るメルロにアリスはその攻撃を防ぐ。



「おや、なぜ庇うのですか?秩序も守れないようなゴミを庇う必要はないと思うのですが」



「彼女達はもう反省してるの。だからそんな事をしなくていいでしょ」



「反省?そんな言葉だけのものでは意味がないですよ。たくさん迷惑をかけたのですから消えてもらわないと」



「そんなこと..!人を何だと思ってんのよアンタ!」



「人であっても秩序なきものは裁かれるべきです」



「あんた...」




「あなたも肩入れするならならここで...と」



「やめておけ」



その言葉に誰もがその声の主の方を向く。それは白髪の背の高い男だった。



「もうこれ以上暴れるなよ。こっちに迷惑かかるだろ」



「申し訳ありません。イズ隊長」



「あれイズ隊長...」



「ああ本物だ!すげえ!」



「俺サイン貰おうかな」



どうやらそのイズ隊長とやらは人気者のようで周りがそう口々に言っている。



そう言ってメルロは剣をしまう。そのイズと呼ばれたは白髪の男は「うちのもんが失礼したな」と言い頭を下げる。なかなか筋肉のすごいガタイのすごめの男だ。



「いやいや」



「ほらお前も謝れ!」



そう言ってメルロの頭を下げさせようとするが、なかなか頭を下げようとしない。



「ほんとすまないな」



「隊長なぜ!?奴らは重罪を犯した...!」



「お前は少し黙ってろ」


「いや...別にいいんで」



「そう言ってくれるとありがたい。それじゃあ」



そう言ってイズはもう一度頭を下げるとそそくさと去っていった。去っていったイズ達にテティスは「何よあいつ!」とかなり不満そうに言う


「まあまあ...謝ってくれたからいいじゃないテティ」



「でもアリス!!」



「お姉ちゃん?」



ネネが何かものものしい顔になっているのをミミが姉の名前を呼ぶ。ネネはすぐに「あー何でもないから」と誤魔化すように笑顔で言うがネネのその笑顔は無理に作っているようだった。

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