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百四十八話 次元の大穴


「次元の大穴!?」



そのノアのいう次元の大穴というやつは数をどんどんと増やしていき、吸引力もどんどんと上がっていく。



「そう。次元が歪むとできる大きな穴さ。そしてそれは全てを吸い込んでどこかに移動させるのだ」



「移動ってどこに?」



「さあ?」



「さあって...お前!何ちゃらマスターなんだからどうにかできるんじゃないのか!?」



「あー...申し訳ないけど無理」



「おい喋ってる場合じゃないぞ!」



黒い渦は今にもアリス達を中に取り込もうとどんどんと威力を増していき、戦いや喋っているどころの問題ではなくなるほどだ。


「もうここにいると巻き込まれそうだし、戻るね。バイバーイ」



「おいちょ!待て!」



アンバーグのその「待て」というが、ノアはワープの力でどこかに行ってしまった。取り残されたアリスたちは木や電灯などに張り付くようにして何とか巻き込まれずにいる。



「アリスどうするんだ!?」



「みんなそのまま何かにつかまってて!きっと消えてくれるから!」



「本当か!?」



「わからないけど多分...」



「多分かよ!...ってうわああああああああああああ!!」



そんな話をしているとアンバーグが吸い込まれるように次元の大穴の中に消えていく。



「アンバーグお前のことは忘れない。安らかに眠れ」



「ちょっとヴェラード!変なこと言わないでよ!」



テティに叱責されるヴェラードの横で、「なんかあっちにあるの!?ボクも行く行くー!」と言いながらルナまで穴の中に飛び込んでいった。



「あのバカ...!」



「でももう...無理!」



黒い渦の力は増していき、もう掴んでいられないほどに強くなっていた。次々と吸い込まれていく者たち。そしてテティも吸い込まれそうになるが間一髪でアリスが手を掴んだ。



「アリス!」



「テティ!うわっ!!」



だが吸引力の強さに片手だけでは到底敵わず、アリスもついに勢いよく渦の方へと吸い込まれてしまった。2人は「うわああああああああああ!!!」という悲鳴をあげて黒い渦に吸い込まれてしまった。










「ここは...?」



気がつくと草むらにいた。この場所は..?そう思いながら辺りを見回す。周りは草原ばかりで、他は何もない。どうやらここはアリスたちが元々住んでいた世界に戻ってきたということはわかる。



「テティ...ここどこだろう?」



「わからない」



この場所は明らかにハピネスタウンではないのはわかる。アリスは立ち上がり歩き出す。ここがどこ何かもわからないため、まずは建物を探そうと考えた。しばらく歩くと道が見えてきた。道があればおそらく街か何かにたどり着くだろう...そう思いながら2人はその道を進んでいく。



「ねえアリス!あそこ!」



テティがそう言いながら指差した先には小さく何かの建物がポツンと立っていた。あそこなら何かが聞けるかもしれない...そう思いながらアリス達はその建物へと向かう。

そこはどうやら団子屋のようで、赤い細長い椅子が置いてあり、白、緑、ピンクの団子が描かれた旗がその建物の隣に立ててある。



「そこで休憩がてら情報収集しましょうよ!」



「テティは団子が食べたいだけでしょ?」



「うっ」



どうやら図星だったようでテティは何も言い返せなかった。



「すみませーん」



「あいよー」


中からは年老いた老人が出てきた。一人で切り盛りしているのだろうか。アリスは団子を2つ頼むと、老人は「あいよ。すぐに奥の彼女らに作らせるからね」と言いどうやら奥にも人がいるようだ。



「ここは老舗って感じですけど長いんですか」




「ああ、前までは一人でやっていたんだが、何でも色々と問題を起こした若い子たちがやってきてね。手伝うと言ってきたんだ」



「そうなんですか」



「何でも少しの間監獄にいたらしくての」



「監獄...」



「ねえ、ここはどこなの?」




テティがいきなりそんな質問をするのでアリスは「テティダメでしょ」と言った。やはりというべきか通じていないようで何を言っているのかというような感じだ。



「えっとあの...」



自分達が居た街の名前を言ってみる。老人はその名前自体は知っているようだがそこまでをどうやったらいけるかはわからないらしい。



「困ったわね...」



「そこに何の用で?」



「色々あって、戻らないといけないんです」



「ほう」



「だが困ったのう、そこまでの道のりをどうやって行くかどうかなんて...そうだあの娘たちに聞いてみよう。どうやらそこに行ったことがあるようでな」



「ありがとうございます!」



「もしかしたら何かわかるかもね!テティ!」



「でも監獄にいたんでしょ?凄いやばいやつかもよ?」



「うーん...」


アリスとテティはどんなやつかを想像する。きっとすごいゴリラのような女が出てくるのだろう...そんなことを考えていた。



奥の方で何やら話し声が聞こえてくる。奥には老人の他に3人ほどいるようだ。女が3人と男が1人。先ほどのアリスの話をしている。



「なんでそこに行きたいワケ?」



「さあ?事情はわからんがそう言っとるな」



「ここからそんなこといけるわけないと思いますが?」



「きっとクレーマーみたいなものよ!わけわからないことを言って団子代でも踏み倒す気よそうに決まってる!!」



「お姉ちゃんそれはないと思うけど...」



「それは面倒ですね。どうしますか?」



「そうね...ここは私がガツンと言ってやるわ!」



「お、お姉ちゃん大丈夫?」



「私にまっかせなさい!」



「頑張ってください」



向こう側にいた3人のうちの1人は裏方からアリスの方に向かっていく。どうやらアリスをクレーマーか何かと勘違いしているようでどんどんと近づいていき「ちょっとあんた!」と声をかける。



「さっきから何を言ってるのかわからないけど、これ以上言うなら私が容赦しないわ...」



その人物の言葉は途中で止まった。なぜなら見覚えのあるアリスの顔を見て何もいえなくなってしまったからだ。



「あ、あんた...!なんでここに!?」



「あ、アンタは!」



その奥から出てきた人物を見てそう言う。それアリスと激闘を繰り広げて監獄へと連れてかれた、ネネだったのだから...。


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