百四十七話 崩れていく異次元世界
「さあ、諸君!楽しみませてくれたまえよ?」
ノアはそう言って空中に浮き上がる。そして背中に4つの翼を生やして黄色い光の剣を生み出した。
「さすがこの世界の創造者...なんでもアリね」
「さて、武器はっと」
そう言いながら剣を生み出して大きく振った。
「そうだなあ、この世界のリーダーみたいなのはもう死んじゃったし、新たなリーダーにでも立候補しようかな?」
「何を言って..!?」
「少しは退屈しのぎにはなるだろうし」
「そんなこと...!」
「行くぞ!全員でかかれ!」
「うおおおおおおおおおおお!!」
そう言いながら全員で攻撃を仕掛けていく。だがどの攻撃もノアには当たらず剣の一振りで全員大きく吹き飛ばされていく。
「そんなもん?」
「はーっ!!」
アリスが攻め入るが、ノアの剣に防がれる。その隙に数十人程度が全方向囲むようにノアの方に行くが、大きく飛び上がりその全ての攻撃が届かない位置に行ってしまった。
「てめえ卑怯だぞ!」
「なら!!」
アンバーグが氷を纏った弓を放つ。だがその攻撃を剣で弾き返し。矢は勢いよくアンバーグに向かって跳ね返って行く。
「おいおいおい!こっち来るなあ!」
慌てて逃げ回るアンバーグを見ながら笑っているのノア。そんなノアに何とか一撃でも入れようと次々と戦いを挑むが、大体は避けられて他は全てあくびをしながら剣で受け止めているほど余裕そうだ。
「このっ...!舐めやがって!」
「俺を忘れんなよ!」
そう言ってヴェラードが一撃加えようとする。業魔王を倒したヴェラードなら...!と期待されたが、その攻撃もハナクソをほじりながら剣片手に止められてしまう。
「なにっ!」
「うーん、またまだって感じかな?戦うのはまだ早かったかな。でも倒そうにもめんどくさいのがいるし、少し遊ぶ程度でいいかな」
完全に遊ばれてるアリス達はどうにかして勝てるような策を見出そうとする。
「とりあえず全員でスキルでも叩き込むってのはどう?」
「そりゃあいい」
全員でスキルを使うことを決め、全員で剣に力を貯めていく。剣で近接攻撃するものからノアに向かっていき、その後に後ろから衝撃を放つもの達が攻撃を行う。
炎氷電気など全てのものが混ざり合い勢いよくノアの方へと向かっていく。
「神の裁き」
その言葉と共に雷が起こり、その雷はそこらじゅうに降り注いだ。その数は凄まじいもので、避けるので精一杯だった。
雷でスキルは全てかき消され、雷が命中すると重症なダメージを与えられ、それは雷を受けたものは動くことすらできなくなってしまう程だ。
「あれに当たる!」
「当たるな...つてもよお!」
「ほらほらどうした?もっと楽しませてよ!」
余裕そうなノアに雷の間を縫ってアリスは何とか一撃を入れようとする。そんな無茶な行動にアンバーグは「よせ!」と静止をと呼びかけるがそのままアリスは行ってしまった。
「はあーっ」
「へえ、この攻撃の間からでも攻撃しようとするのか。やっぱ面白い!」
アリスは器用に雷を避けながらノアの方へと向かい剣を混じり合わせる。
「やっぱすごいね。あそこで助けておいてよかった。君なら...なれるかもね。その才能ありそうだし」
「なれる...って何に?」
「それはそのうちわかると思うよっ!!」
アリスのところに雷が落ちそうなのを剣を弾いて遠くに行くことで何とか回避する。しばらくすると雷も落ち着き、反撃のチャンスが訪れた。
「雷がおさまったぞ!せめていけ!」
「しょうがない...もう一度...」
その時だった。激しい地鳴りが起こり、空に亀裂が入る。
「こりゃまずいね...」
「何が起こってんだ!?」
「おいおいやばいんじゃないのか!?」
「ここをコントロールしていたあのユアとかいうやつが死んだせいでバランスがおかしくなってきてる。もうここは終わりだね」
「そんな...俺たちはどうすりゃあいいんだよ!」
「終わりだあ!!」
そう悲観的になる者たちの「落ち着いて」とアリスは喝を入れる。
「今はあいつとの相手より脱出を考えた方がいいんじゃないの?」
「そうだな」
「おいおい逃げる気かい?...まあそろそろ逃げないとアレが来そうだし」
「アレだと??」
その時、空が大きく裂け、そこに黒い渦のようなものが発生した。その渦は何十個も空に現れると勢いよく全てのものを吸い込もうとする。
「は!何だありゃ!」
「来たか...次元の大穴が」