百四十四話 願いをこの一撃に込めて!
「はぁー!」
アリスのその攻撃にユアは剣で防ぐ。さらに後ろからユオが追撃をするが、簡単に横によけられてしまう。
「そんなもんか?」
「っ!」
「俺を超えるんだろう?ユオ!!」
ユオはその言葉に昔のことを思い出す。それは幼い2人が木の下での事。
「僕、兄さんより強くなる!!」
「そうかそうか...きっと強くなるぞ」
「うん!」
そのようなやり取りをしたことを思い出す。ユオにとっては貴重な思い出の一つ。だからこそ、ユアの目を覚まさせ、一緒に帰ろうと奮闘するのだ。
「2人いたところでこの程度かお前たち!!」
「っ!」
「この幸せな世界は壊させない!」
「兄さん!何が幸せな世界だ!!こんなもの...昔に戻って!!」
そうユオが言うが、ユアは「昔か....」とだけ言って黙り込んでしまう
「もう何もない過去に何の意味がある?」
「それは...」
「あのところは同じではダメだ!あのようなことにならないように!」
「だからって!!これはおかしいだろ!兄さんはもっと優しくて...」
ユオが言い終わる前にユアはユオに切り掛かってくる。そして「これが優しいか?」と少しニヤついた様子で言う。
「こんな兄が優しいと思うか?」
「っ!」
ユオは負けじと何度かユアと剣を交える。こんなはずはない、目を覚まさせればきっと...そんなこと思いながらひたすら攻撃を続ける。
アリスも2人の攻防の隙をついて攻撃に参加しようとするがその攻防が激しすぎてなかなか入ることができないでいた。
「いいぞ!いいぞ!その調子だ!!」
「兄さん...っ!」
「お前の言い分が正しいのなら...この俺を止めてみろ!ユオ!!」
「言われなくとも!!!」
そう言ってユオはドラゴン・バスターにオーラをまとってユアに振り下ろす。
「甘いな!!」
「っ!!」
「お前はまだまだだ!!!」
そう言ってユオの攻撃を弾き返す。そしてお互いに「うおおおおおおおおおおおお!!!!!」と言いながらお互いに走り出し、剣を振るった。ぶつかり合う剣にお互いは各々の想いを込めていた。
「俺は、大切なものを...ユオ!お前をもう失わないために!!!」
「だからってこんな事をしなくとも!現に俺はここに入る!」
「もう...戻れないんだ。あの頃に..あの生活には...っ!!!」
そう言って何度もユオに剣をぶつける。ユオもユアの迫り来る攻撃を避けながら自分の言葉をぶつける!
「戻れないなら今から作ればいいじゃないか!俺もいる!!」
「っ!!」
「さあ!帰ろう!!」
「また同じようなことが起きたら意味が...無いだろう!もう..!またお前を失ったら...」
その瞬間隙ができていたユアにアリスが切り込む。そのアリスの攻撃は肩に直撃し、血が吹き出してくる。
「今ここにいるのは、あなただけじゃないでしょ」
「っ!!」
「なんでも背負い込まないで、誰かに頼んだら?だって...そうやって私も乗り越えてきたから」
「っ...!」
その言葉にユアは斬られた肩から出る血を抑えながら何も言い返さなかった。
「だから...こんなくだらない楽園作ってないで...」
「くだらない?理に適ってるじゃないか!この場所なら危ないものはない。そして危険因子となるものは地下に落とし教育をする。これのどこがおかしうというんだ?」
「平和を望むならわざわざあなたがリーダー気取りで判定する意味がどこにあるの?」
「うるさい!」
そう言いながらユアは剣を振るう。アリスとユオはその攻撃を避けて反撃をしようとする。そして向こうのほうでもドンドンと激しい音が鳴り響いている。
「あっちもかなり苦戦しているようね...」
「グオオオオオオオオオ!!!」
業魔王の唸り声と大勢の声と共に大勢が魔法や剣を駆使して戦っているがなかなか倒すkことができずにいた。
「くるぞー!!!」
その誰かの声が聞超えるとすぐに業魔王の口から光線が放たれ、その光線に数人ほどが巻き込まれてしまう。
「任せてー!!」
そう言うとルナがすぐに被害を受けた者たちに駆け寄って杖を振る。その杖であっという間に傷が無くなってく。
「ありがたい!」
「こりゃあすごいな」
「このまま行け行けー!」
「うおおおおおお!」
そんな光景を遠くから見ながらアリスは「大丈夫そうね...」とホッと息を吐いたあと、ユアに向かって剣を構える。
「さあ、こっちも行くわよ」
「来い!この剣の力を見せてやる!!」
そう言いながら剣に凄まじい力を溜め始める。おそらく次に来る攻撃は凄まじいものなのだろうと言うのはアリスにもユオにもすぐにわかった。
「こっちも合わせ技で行くよ!」
「アリスの力がなくたって...」
「お兄さんを救わなくてくいいの!?」
「っ...!」
その言葉に何も返さずにユオはコク、と頷いた。
「でもどうするんだ?」
「私に特大のスキルを打って!!」
「はあ!?」
「いいから!」
「っ...わかった!うおおおおおお!」
そう言ってユオの剣に凄まじいほどのオーラを見に纏い、勢いよく剣を振り下ろす事によってそれを放った。
「龍破魔光!!!」
その白い衝撃は龍の形となり、アリスを包み込む。アリスは雷を剣に纏いながら白い竜と合わせながら勢いよくユアの方へと向かっていく!」
「はーっ!!魔刀の雷!!!!」
「消え去れぇ!!!!」
一気に溜めた力をアリスに向かって振り下ろす。ぶつかり合う両者のスキルは激しい音を立てて負けじと相手のスキルを押し返そうとする。
「うおおおおおおおおおお!!!」
「はあああああああああああ!!!」
衝撃が起こりお互いに叫びながら激しい衝撃が起こる。
「なっ!俺の攻撃が...破られる!?」
ユアは自分の攻撃が破られそうになり、そのような声を出す。アリスのユオの思いとスキルがこもった一撃は向かい来るスキルによる攻撃を打ち破りユアの元へと辿り着く。そしてユアは竜の中に消えていった。
「はあはあ...」
アリスはボロボロになりながらユアを見る。ユオの竜の衝撃の中にいたのもありタダでは済まないだろう。一方のユアは倒れていて動く気配はなかった。
「兄さん!!」
急いで叫びながら兄の元へと向かっていくユオ。ユオの体を抱きしめて涙を流していた。
「もしかしたら...止めて欲しかったのかもなあ...」
「え?」
「わかっていた...自分でもやっている事はおかしいと。だが...俺の中の闇のようなものが俺を覆い尽くし...守ると言う言葉だけを残して俺を食い尽くして...その言葉だけを頼りに...このような事を」
「兄さんは間違っていた。だけどこれからやり直せばいいじゃないか」
「ああ...そうだな...っ!」
ユアは、空に小さく光が見え咄嗟にユオを突き飛ばす。その一筋の光はこちらに向かってきており、ドンドンと大きくなっていく。
その光は人1人を飲み込めるほどのそこそこの大きさで、ユアに向かって飛んできているようだった。
「兄さ...!」
ユオそう言う言い終わる前に、その光はユアに直撃した。