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百四十三話 再び地に立つ業魔王


「まさか生き延びていたとはなあ...」



そう言いながらユアはユオの顔を見る。じっくりと弟の顔を見ながら不気味にふっ、と笑んだ。



「あれからお前みたいなやつでもなんとか生き残れたのは意外だが...まあいいか」



「兄さん!一体なんで!?」



「素晴らしいだろう?この場所」



「どこが...」



ユオがそう言うと、ユオは「じゃあ、教えてやらないとな...!」と言って剣を使って勢いよくユアに攻撃を仕掛けようとする。だがその攻撃を防いだのは、アリスだった。



「ほう...」



「あなたの相手はこっちよ」



「ほう...」


アリスは少し怒ったように威嚇するがユアは「おー怖い怖い!」とおどけたように言っている。



「おいアリス!邪魔をするな!」



「こっちもテティをあんなことされてるの。だから倒すのは私」



「お前...!」



「ほう、なら2人で来い。そっちの方が都合がいい」



「ならっ!!!」


そういってアリスとユオはユアに勢いよく向かっていく。2人で攻撃をしかけるが、片方の攻撃を回避しながらもう片方の攻撃を避けるというかなりトリッキーな動きで翻弄する。



「どうしたどうした!」



「ならっ!」



2人でスキルを繰り出してユアに襲い掛かる。ユオは勢いよく白い衝撃を放ち、アリスが剣に力をためてその気の溜まった剣を一気にユアに向かって放つ。



「「はあああああああああ!!」」



2人の叫びが重なり勢いよく迫り来る攻撃を、ユアは剣の一振りで簡単に相殺してしまった。そして迫ってきたアリスを蹴りで向こう側に吹っ飛ばす。



「っ...!!」



「まだまだだなあ!!」



「この!」


アリスはなんとかもう一度攻撃を仕掛けようとするがなかなかアリスの剣はユアには届かず、涼しい顔で自らの剣でアリスの剣を防いでいる。



「お前らに面白いもんを見せてやろう」



そう言ってパチンと指を鳴らすと。ゴゴゴゴゴゴと大きな音が鳴り、そこに現れたのは、業魔王だった。



「こいつ!」



「どうして!」



業魔王はユアが生み出した怪物だ。前に一度アリス達が倒したのだが、姿はそのままでまたアリス達の前に立ちはだかってくる。



「まあ、2号機...と言ったところかな?大変だったんだぞ?お前らが壊すから修理するのになあ」



「「グオオオオオオオオオ!!」



「またこれの相手を...」



「こいつはお前らが倒したやつよりパワーアップしているからな。お前ら2人だけでは倒すのは難しいだろうなあ」



「グオオオオオオオオ!!」



業魔王は大きく咆哮を上げながら口から白い光線を放つ。その光線は遠くまで放たれその道中にあったものは全て消滅して何も残っていなかった。



「っ!!こいつをどうにか!」



「やれ!!」




その時だった。氷の矢が一発業魔王の頭に命中する。業魔王は怯まずその氷の矢が飛んできた方を向く。



「こいつらだけじゃ、勝てないなら大勢で叩き潰せばいいんだろ?簡単な話じゃねーか」



「アンバーグ!」



そこにはアンバーグの姿。そしてその後ろには大勢の人の姿があった。それはユアに落とされ、地下の労働を強いられていた者達だった。その数は100...いやもっといるだろう。


「アンバーグ!あなた一体なにを!?」




「それが...」


アンバーグは状況の説明を始める。アンバーグは、なんとか出口を探して色々なところを彷徨っていた。



「うわっ!」



見張の姿を確認し、咄嗟に隠れる。向こうでドンチャンと騒いでいるためほとんどの見張りがそっちに向かったのだが、逃げ出すやつがいないようにと少し見張りを残していたのだ。



「くっそー出口はどこにあるんだ?」



そんな事を呟きながら隠れながらアンバーグが歩いていると、ちょうど目の前に見張の男と鉢合わせになり、アンバーグと目があってしまう。



「おまっ...!」



「ああ...どーも」



アンバーグはそう言って全速力で逃げる。だが、近くにいた見張りもアンバーグの追跡を開始し、いつの間にか10人ほどに追われていた。



「まてー!!」



「ひゃー!!なんでだああああああ!!」




「今戻れば許してやるぞ」



「そんなこと...!あっ」




その時だった。アンバーグはつまづいて転んでしまう。後ろからは労働施設の見張り達が襲いかかってくる。



「終わりだぁー!」




その時だった。横から何かがやってきた、拳で見張り達をぶん殴った。それはその労働施設のボス、ギランだった。その背後には労働していたもの達の姿。



「おまっ..!どうして!」



「俺たちはどうやらここにいてはいけないみたいでな。みんなで脱出をすることにしたんだ」



「ボクが色々と外のこと話したんだー!」



そう自身げにいうのはルナだ。ルナがどうやら色々とギランに吹き込んでいたようだ。




「よし、それじゃあ、行くぞ!お前達!」



「「おおー!!」」






と言う経緯があり、今ここに労働施設の者たちは今ここににいるのだった。



「あれ?ヴェラードは?」



そこにヴェラードがいないことに気づいたアリスはそう尋ねる。ヴェラードは施設に入ってから偽の腹痛で脱出するという作戦を披露して見せた。だが、そこから全くと言っていいほど音沙汰がない。



「そう言えば忘れてた...あいつそう言えば脱出できたのか?」







「ふわぁーよく寝たなあ」



そう言って施設の医療室で目を覚ましたヴェラードはやけに静かなことに気づく。そして労働施設の中を見て回ったが、みんなすでに脱出をしているため、誰もいない。



「っておい、なんだよこれえええええええええええ!?!?」



ヴェラードは1人取り残された労働施設でそう叫ぶのだった。









「きっと大丈夫だろう」



ヴェラードが取り残されているとも知らないアンバーグはそう言う。それにアリスも「そうね」と答えた。



「お前達なんでなんでなんで!!!俺は素晴らしい世界を作ってやったというのに!!!!」



そう激昂しながら言うユアは豪魔王に「行け!」と指示を出す。その指示を受けた豪魔王は、口からまた同じような光線を出そうとする。それを労働施設の者達が大勢で取り囲み攻撃を仕掛けていった。




「ぐっ...ゴミ共がぁ!!」



そう言うユア。アンバーグはアリスに「こいつは俺たちに任せろぉ!!そいつを叩けぇ!」と大きく叫んだ。



「わかった」



「俺だって兄さんを止めて見せる」



「クソどもが...!まあいい、あいつら如きに豪魔王を止められるはずが無い。こっちは俺直々にまとめて駆除してやる!」



「いくよ!ユオ!」



「ああ!」


そう言ってユオとアリスは駆け出した。


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