百三十四話 雷の剣技
「いくよ」
「ああ」
アリスたちは剣を取り出し業魔王に向かって行く。アンバーグは氷の矢で応戦しながらアリスが攻撃を仕掛ける。
「うおおおお!!」
「はああああああ!!!」
「無駄だ!この最強の業魔王に貴様らの攻撃など効かない!!!」
「それはどうかな」
業魔王はグオオオオオオオという何だかうめき声のような出している。効いているような感じはするがまだまだ何回も叩く必要があるようだ。
「結構硬いわね...」
「何度も叩けばそのうちやられるだろう」
「だな!」
2人でひたすら叩く。硬い身体に攻撃を仕掛けて行き、傷をつけていく。
「この調子で...!」
「そうはい行くかな??」
グオオオオオオオという唸り声と共に勢いよく襲いかかってくる。まだまだ全然元気という感じだ。
「クソ!後何発当てればいいんだよ!!」
「はあっ!!」
スキルで攻撃を行うが手を前にしてクロスすることでダメージを少しだけ軽減している。
「凄い硬さだな!だが何だかこれなら勝てる気がするぞ?」
動きが最初に出てきた時に比べて鈍くなっているような気がする。一回一回の動きが遅く、隙がところどころある。とはいえ一撃一撃が重いため油断はできない。それはユアもわかっているようで心配そうな声を出す。
「どうした!?とっととそいつらを倒せ!!...まさか、あのヘンテコ3人組との戦いで何かをやられたか!?っ..!小賢しい真似を!まあいい。あいつらが勝てたとしても問題はない」
「グオオオオオオオ!!!」
そう唸りを上げながら口から勢いよく光線を吐き出した。その光線はアリスたちの方向へと向かいズガガガガガガガガガガという大きな音を立てて爆発を起こす。
その爆発に巻き込まれ、アリスたちは吹き飛ばされる。
「っ..!」
「すげえ威力!!」
「はははははは!!!どうだ!!?」
「すげえ...」
「ははは!!これでお前らは...」
「まだまだあ!!魔刀の雷撃!!」
雷を纏った剣で攻撃する。その攻撃は命中して業魔王は膝をつく。
「よし!効いてるぞ!!!」
「グオオオオオオオ!!」
「アンバーグ」
そういいながらアリスはアンバーグに耳打ちをする。アンバーグは少し顔を赤らめていたが作戦を聞いて理解したようで「わかった」とだけ言う。
「マブ、剣借りるわよ」
「お前...何を?」
「まあ、ちょっとね」
2つの剣をかまえて業魔王を見る。その姿を見てニヤニヤとユアはアリスを見ている。ユアは少し鈍くなったところで負けるとは思っていないのだ。だが一方のアリスは勝つ気満々だ。
「行くぞ」
「うん」
アンバーグは「航海するって言うのはこうかい?そんな事言ってると後悔すりよ」と言いながら矢を放つ。
その矢は何十本と言う数に増えて天空から勢いよく降りそそぐ。
その矢は大きな身体というだけあってかなりの数命中し、当たった部分がどんどんと凍りついていく。その隙でアリスは2つの剣を交えて構える。
「属性付与」
そういうとバチバチとアリスの剣の雷がもう片方のマブの方にも伝わっていく。属性の持たない剣に属性を付与することができる。
「はあああぁぁぁぁ!!!!」
そのまま向かって行き2つの剣で攻撃をする。業魔王は防御しようとするが凍った体をなかなか動かせずにいる。2つの剣で業魔王の体を大きな音と共に勢いよく貫いた。
「やった!」
「グゥオオオオオオオオ!」
だがやられる素振りすらなくアリスを掴んで勢いよく投げつける。グハッ!と血を吐いて地面に叩きつけられた。
「あいつ!風穴空いてんのにまだ動くのか!!」
「まだ...あぁ」
もう一度2本の剣で攻撃をしようと思ったが、マブから貰った剣はボロボロと崩れるように消滅する。属性を付与すると簡単にボロボロに崩れてしまう。
「やっぱすぐ壊れちゃうわね...」
「だが効いてる!!かなり弱ってるぞ!」
そのアンバーグの言葉通り、虫の息という感じだ。後一押しすれば倒せるような感じだ。
「最後の一撃を!!!」
そう言って攻撃を仕掛けるが、また両手で顔を覆うように防御しようと腕を動かす。だがその腕が顔に到達する前にアンバーグの矢で凍らせて動けなくする。
「いけ!」
「はああああああああ!!」
アリスは雷を纏わせた剣を勢いよく業魔王に向けて振る。その攻撃で業魔王は悲鳴をあげて倒れた。
「や...った!」
「勝った!!」
「ふふ、ふふふふふふ」
業魔王を倒した瞬間笑いながらアリスたちの前にユアが現れる。
「おい勝ったぞ!アリスを解放しろ!!」
「そうだな...俺の負けだ」
「なら..!」
その瞬間アリスたちに凄まじい重力が押し寄せる。アリスたちはその場から動けなくなる。
「忘れたのか?俺にはこれがある。お前らの動きを止めるなんて簡単な事だ」
「お前ら何やってんだ?」
マックスヒーローズの3人には全くと言っていいほど効いていない。むしろアリスたちの異様な光景に頭にはてなマークしすら浮かべている始末だ。
「こいつあそこに書いて...まあいい」
「マブ!そいつを倒せ!!」
「わかった!!!」
そう言い遅いかかるが簡単に倒されてしまう。正直勝てると思っていなかったが、まあ予想通りの結果で一同は心の中で「あぁ...」と言うような声を出しながら少し憐れんだ目でマブを見る。
「何でそんな目で見るんだよ!!」
「それじゃあ、お前らには地下労働に行ってもらおう。じゃあな」
「待っ...!!」
その言葉虚しく床に大きな穴が開いて全員穴の中に吸い込まれていった。