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十三話 「強い」という証明



「あんた...一体何が目的なの」



茶色が続く高原でガーディスと相見えるアリスがそうたずねるとガーディスは「ふっ」と笑みを浮かべた。


「この剣で『強さ』を手に入れた俺がやることは1つ。『バルトラードの討伐』ただ1つだ」



「そ、それって!!」



確かそれは誰もクリアできてないというクエスト、聖龍バルトラードの討伐。

その剣を使って...倒す気でいるのか。



「でも、そんなの強さじゃない」



「またそれか



頭をポリポリと掻いてそう呟く。そして少し間を空け、ガーディスは「だがな」と続けた。



「危険だろうがそんなもの厭わない。俺は強くなったからな」



「そんな強さは....おかしい」



「おしゃべりはこの辺でおしまいだ。お前が俺の『強さ』を否定するのなら、それを証明してみろ!!!俺より強いということを!!」



「魔刀の雷!」



アリスの放たれた先制攻撃の雷はガーディスの剣で簡単に相殺されてしまう。さすがに「究極の闇魔」というだけあって、剣1つで星3のスキルを相殺できるほどの桁違いの強さだ。



「ほお、星3の武器でスキルと。少しは面白そうだ!!」



ガーディスはアリスの方に向かうと剣で何度も攻撃を仕掛けてくる。剣で防ごうとするがその早さについていけず所々肩や腕に傷がつき、そこからは血が垂れてくる。




「早い...」



「今度はこっちの番だな!スキル:黒魔斬刀!!!」



相手は剣に黒い渦のようなものを集めこちらに向けてくる。これをモロに当たったらひとたまりもないだろう。くっ、と歯を噛み締めガーディスの方に剣を向けこう叫んだ。



「魔刀の雷っ!!」



とっさにスキルを使って相手の攻撃を相殺しようとする.....のが相手のスキルに吹っ飛ばされてしまう。



「わかっただろ?実力差というやつだ。分かったらお前の持ってるのとあそこにいるやつのを合わせて俺に...」



「はーぁっ!!」



果敢に攻めてくるアリスにガーディスはふっ、と笑う。それはなんだか何かを懐かしんでいるような感じだった。



「そっくりだな、あいつに」



「あいつ?」



突然そんな事を小さくそう呟いた。その言葉に攻撃の手が止まる。



「あいつって...一体何のこと?」



「まあ教える義理は無いが、減るもんでもないしいいか」



ガーディスは静かに口を開き、「とある少女」の話を始めた。



「その無鉄砲さとか、ほんと幼馴染に似てると思ってな」



「幼馴染?」



「ああ、死んだ幼馴染にな」



「死んだって..!」



「それから....俺は決めた。強くなると」



「それ、とっても危険なの知ってるの?体を蝕んでいくって..!」



「ああ。だがそんなものは強さの代償だ」



「そんなもの....強さとは言わない」



「そんな言葉だけじゃなく、それを証明してみろ!」




危険な武器まで使って体を危険に晒して、それで意味があるのか。だから「否定」をしなければならないそんな違法武器という嘘で固められたような「強さ」を。



「もっと来い!もっとだ!!」



だがそれは剣を振るだけで簡単に消えてしまう。余裕そうに指を動かしまるで「もっと来い」と挑発しているようだった。



「ならお望み通り、魔塔の雷!!...ってあれ?」



そう叫ぶが雷は出てこなかった。不思議そうに剣を見るアリスにガーディスは少しつまらなそうな表情でアリスを見る。




「スキルにも使用制限がないことすら知らないのか。スキルも無限に打てるわけじゃねえんだ」



武器にもマジックポイントのようなものがあり、スキルには打つのに必要なポイントというものがある。マジックポイントは道具などで回復することもでき、とても重要なものだった。



剣の詳細を見る。マジックポイントと書かれたところが0/180となっていて、このスキルは使うたびに20を要した。つまり、剣のマジックポイントはで、今までに9回打ったのだ。


「あと、お前はスキルに頼りすぎだ。そんな何発もスキルをぶっ放して勝てるわけがない。基本がなっちゃいない」



「なら...!」



当てずっぽうで剣による攻撃を仕掛ける。ガーディスもやけになったのか小さく呟きそのアリスの剣を弾きながら攻撃を仕掛け。圧倒する。



「まだ30%ぐらいだぞ!!どうしたどうした!!」




その光景を見ていたテティは心配そうに見ていたが、見かねたのか、ルビスとアンバーグにこう尋ねた。



「アリスは押されてる!ルビスかハンバーグ手助けできないの?」



「無理いえ、俺はもうこの通りボロボロだ」



「ああ、アリスが勝つことを祈って見てるだけだ」



「もう、アリス...」




「ほら、お前の強さはこんなもんか!?」



「どうすれば...ってあれ?さっきより輝いてる...?」



剣がバニアと戦っている時よりも輝いているということに気づいた。一体これは何の意味が...。



「隙だらけだぞ!」



再び剣が混じり合う音。その瞬間、アリスの剣は姿を変えていった。さらに鋭そうな刃と雷のようなデザインの柄。これは一体?



「なに?」



「まさか、この戦いで剣が進化したというのか!!」



「超魔刀・イツルギ」


剣の詳細を見ると星が4になり、マジックポイントも全回復している。そして攻撃力が30から一気に70まで上昇している。



「聞いたことがある。戦ううちに強くなっていく剣があるって」



「面白い!そうこなくちゃな!!」



剣の進化で心が躍るガーディスに剣を構える。

相手が自分より強くても...武器でいくらでもひっくり返すことができる。



「俺も全力でいけそうだ」



ガーディスは黒い闇の衣をまとった。

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