百二十七話 幸せの溢れる世界『ハピネスタウン』
「よし...いくよ?」
そう言いながらアリスは赤い宝石を手に持った。もう片方の手に握られた杖にはその宝石を入れるであろうくぼみがある。そこに赤い宝石をはめると何の変哲もない杖が青く光りだし茶色い木でできた杖は青白い杖へと変わっていった。
「すごい!!」
「これでアナザーとか言うところに行けるのか?」
「ああ」
「これで...テティを救える。早速行くよ!」
「俺も行ったことないからな。楽しみだ」
杖を振ると黄金の扉が開かれる。その扉を開くとそこには全く別の世界が広がっていた。空は夜空になっていて、少し遠くのところにピカピカとカラフルに光る建物がある。
メンバーがアリス、アンバーグ、ユオの3人。
「なに?あれ」
「どうやらここにも文明をきづいて居る奴がいるようだな」
「もしかしたらあそこにテティがいるかも!」
「他に見当たらないし、とりあえずあそこに行ってみるか」
その場所に行ってみると、そこは近未来な街が広がっていた。その場所に思わず「わあ−」という感嘆の声を出してしまう。
「なに?ここ」
「すごい...」
「ようこそ、ここは『ハピネスタウン』。幸せを呼ぶ国になります。まずはロビーで名前を記入してください」
突然現れた案内役のロボットに連れられて、やってきた場所はホテルのロビーのようなところだった。そこのカウンターには紙が置かれていて沢山の名前が書いてある。
「テティの名前がある!!」
アリスは、その名前を発見するや否や喜んだ。確かな手掛かりが見つかったのだ。
「ああ、その方なら、ユア様と一緒におりますよ」
「兄さんが!?やっぱり!」
機械が言ったその名前にユオは反応した。アナザーに消えた兄をやっと見つけられた高揚感でいっぱいだった。
「テティはどこ?」
「ユア兄さんはどこ?」
一斉にすごい剣幕で聞くものだからロボットは困惑してしまった。そしてとりあえず名前を書くようにと促され、アリス達は名前を書いた。名前を書き終わると「そしてこれをどうぞ」と言われ、ハートの形をした物体を5つ渡された。
「これはハート。ここでは良いと思われるとをすればハートがもらえ、悪いと思われればハートが一つ減ります」
「もし、ハートが無くなったら...?」
「聞きたいですか?」
「やめとく」
アリスはそれ以上を聞かないでおいた。なんだかおそろいしい事を聞いて居るような気がして、気が引けてしまったのだ。案内ロボは「どうぞ、お好きな場所へ!」と言うと、各々が散らばってどこかに行ってしまった。
「もう、遊びに来たんじゃないんだから」
「全くだ」
そこに残ったのはユオとアリス。2人は各々が探して居る人物の場所を知りたいのだ。
「テティはどこに居るの?」
「兄さんはどこに?」
「テティ様は申し訳ありませんが存じ上げません。そのあたりで遊んでいらっしゃるのではないでしょうか?」
「兄さんは?」
「ユア様は今お忙しいので、おそらくお会いできないかと」
「2人とも「そう..」と言って案内ロボットにお礼を言うと各々の行く場所に向かった。アリスはテティを探しに探索を、ユオは兄がいそうなビルなどを探そうと歩き出した。
「いないなあ」
しばらく探したが、なかなかテティは見当たらない。そこで、そこに居た2人組の人間に聞いてみることにした。
「ああ、その妖精?何だか連れてかれたのを見たな」
「ああ、ありゃ...あまり言いたくないが地下に行ったんだな」
「地下?」
「ああ、ここはハピネスタウンとは呼ばれて居るが地下にとんでもないものがあるとか」
「そこにはどうやって?」
「やめとけ!あくまでも噂だ」
ピピピーという音とともにロボットがたくさん現れ、そいつを囲んでしまう。
「あらぬ情報をばら撒くあなたは悪い人へと認定されました。あなたのハートは全て無くなり、連行します」
「待て!悪かった!悪かった!だからやめてくれ!!
「いいえ。あなたは連行します」
そう言うとアームを伸ばしてその男達を掴んで連れてこうとしまう。抵抗もするが、抵抗虚しく連れていかれてしまった。
「あなたも、そのような余計な事を言わないように」
「はーい」
アリスは適当に返事をした。
「兄さん...兄さん...!!」
そう言いながら必死に兄を探していた。しばらく話していると、向こうでユアらしき人物を見かける。それを見て感情昂らせながら兄の名前を叫んで追いかける」
「ユア兄さん!!」
「お、ユオか!お前こんな所で何をやってるんだ?」
「兄さんを探していたんだ!!!」
そう言いながら兄に抱きつくユオ。久々の再会でなんて言っていいか分からなかったが。とにかく目の前の兄はあったかかった。
「兄さん...兄さん...」
「ユオ...兄さ...っ!?」
突然胸の辺りに何かが当たっているのがわかる。恐る恐る見て見ると。剣が刺さっている。
「お前は突っ走る癖がある。だから、後々気づいてしまうかもしれない。だからお前は邪魔なんだよ」
「どう...いう?」
そう言いながらユオは倒れた。
たいっっっへんお待たせしており申し訳ございません