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百二十六話 美しき炎鳥の王

その場所は深い山奥だった。かれこれ30分以上は数十分ほど歩いくと、例の場所にまでついた。この場所がそのアナザーに行くために必要な赤い宝石とやらがある場所だ。そこは砂の地面に岩が転がっているだけの風景だった。



「本当にここにその怪物とやらがいるの?」



「ああ、間違いない」



「でも何もいないよ?その必要な宝石とやらも見当たらないけど」



「キシャーーーー!!」



その時大きな炎を纏った怪鳥が降り立つ。その鳥の頭には赤い宝石のようなものが嵌まっている。



「これ...火鳥王フェニキア!!」




「それって四獣の!!」



「まさかあの頭に嵌ってるのが?」



「ああ、そうだ」



頭に嵌っているのが求めている物。つまりあの火を纏った怪鳥を倒さない限り手に入らない。



「行くぞ!」



怪鳥に攻撃を仕掛けようとするとフェニキアは炎を吐いて壁を作る。その炎を翼で巻き上げて遠くへと飛ばしてくる。



「このっ!!」



何とかその炎をくぐり抜けて攻撃をしようとするが翼で作り上げた風圧で押し飛ばされそうになってなかなか攻撃へと転じることができない。



「何?この炎!」



「いけ!!」



ドグロが死者を操り特攻させるが全て炎を吐かれて丸焦げにされてしまう。そして再びフェニキアが飛び立つと翼の炎を地面に向けて複数発射する。ゲルムの「避けろ!!」という声と共に散っていき何とか避けてはいるが攻撃のチャンスが全くと言っていいほどこない。



「くっ...飛びやがってずるいぞ降りてこい卑怯者!!...ってあちち!なんか俺ばっかり狙ってない!?」



そのマブの煽りにマブに攻撃が集中してくる炎の球は何発も全部マブに向かって向かっていくのでこれはチャンスだ。



「今がチャンス!」



「ゲッゲッゲ!一斉に遠距離の攻撃だ!!」



その声と共に一斉に遠距離での攻撃が放たれる呪文や衝撃、爆撃などが混じりあって1つとなりフェニキアに襲いかかる。その攻撃は見事に命中し少しダメージを与える。



「やった!」


「この調子で!」



だがフェニキアは体の炎をさらに激しく燃やし回転し始めた。周りには炎の渦が巻き起こりこちらに向かってくる。



「何!?アレ!!」



「っ!!!とりあえず避けるぞ!!」



その攻撃に皆で避難して行く。その炎の渦が通った後は地面が大きく抉れているのが見える。



「どうするんだあれ!」



「どうすると言われたってなあ...!」




「私に手があるの」



アリスはそういうと話を始めた。その提案に耳を疑ったマブは「正気か!?」と言ったがアリスは本気のようでコクと頷いた。



「ゲッゲッゲ、他に方法はないようだやるしかないな。だが一度きりだろうな。これで失敗でもしたらおそらくもう一度はできないだろう」



「わかってる。アリスのためだかた」



「ふっ、面白いじゃねえかやろうぜ」



炎の渦は着々とアリス達の方へ近づいてくる。アリスはしゃがみ隣にいたドグロが剣でスキルを放つ。それをアンバーグの矢で凍らせてアリスの前へと持っていった。そこにドグロの操っていた死者がアリスに向けて風の魔法を放つ。アリスは固まったスキルの攻撃をと共に炎の渦へと突っ込んでいく。



「はあああああああああ!!!」



最初に氷がぶつかりすぐに溶けると中にあったゲルムのスキル「魔刀陣」がぶつかる。そこにアリスの剣が加わり無理やり炎の渦を突破しようという魂胆だ。炎の渦は崩れて一瞬穴が開いてそこからフェニキアの赤い体が見える。その穴に向けて勢いよくアリスはスキルをねじ込む。

そのスキルはフェニキアに届いたようで炎の渦が消えた。




「やった!」



「いや...まだ!」



「ギャーーーーース!!!」



雄叫びを上げながら体を炎に包んで勢いよく突進してくる。フェニキアの体が地面にぶつかると周りに炎に衝撃が巻き起こり全員を吹き飛ばす。



「なにあれ!」



「ゲームでいう第二形態...というところだな」




「ぐっ...体が」



今の一撃でかなりのダメージを受けて誰も動くことができない。あの一撃で全員かなりの深傷を負っていた。



「ぐぐぐ...」



「やばいなこりゃ...」



「まだっ!!」



そう言いながらアリスはボロボロの体を立たせる。そして「はぁぁぁぁっ!!」という掛け声と共に勢いよく向かっていく。だが何度やってもなかなかフェニキアの元にすら辿り着けない。



「ぐっ...!」



「アリス!」



「もういいでしょう。あなたの熱意は伝わりました」



その突然の声に誰もが驚く。少し遠くにいるゲルム達に確認を取るが、誰も喋っていない。ここにいるのはアリス達以外なら...このフェニキアだけだ。まさかな...と思っていると続け様に喋りかけてきた。



「あなた達を試すような真似をし申し訳ありません」



「やっぱりこの鳥が喋っているの!?」



「そんな、アリスそんな変なことを言うなって」



「本当です。あなた方に喋りかけているのは正真正銘、この私フェニキアなのです」



「え!?」



「私は色々なところの会話を聞くことができましてね。あなた方の会話は全て聞いておりました」



「じゃあ..!」



「ええ、なので先ほど試すような真似と言いました」



「やっぱりアナザーに行くのが危険だからですか?」



「ええ、そうですね。でもあなたはどうやらその資格を持っていたようです」




そういうとフェニキアの顔はアリスが赤い宝石を取れる位置までやってくる。アリスはその宝石を取りお礼を言った。



「それとお願いがあるのですが」



「えっと...何でしょう」



「バルトラード...やつを倒して欲しいのです



バルトラード。聖竜にして何度もアリス達前に立ちはだかった驚異。一度はゼロという名の人の姿でやってきた事もあった。あの怪物はアリス達にとって打ち倒すべき敵。



「でもあなたも四獣のはずでは?」



「ええ。ですがその四獣の中で最も危険なのです。この世界を破壊しうる力を持っているほど」



「ほお...」



「なのでお願いします!あの危険な竜を止めてください!」



「わかりました!」



「では、アナザーへ行ってらっしゃいませ」



その言葉にアリスは「はい!」と元気よく答えた。

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