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百二十四話 歪みきった愛憎


「驚いたよ。アンバーグが生きててしかもなんか讃えられてるんだから」



「いやまあ、俺も驚きだ。気づいたらこんな状況だったんだ」



ゲルムに例の武器を渡すために倉庫へと向かうアリスとアンバーグ。そこに誰かが立ちはだかった。そいつははぁはぁという荒い息をあげ「見つけた」とだけ言った。



「げ、リグ」



そいつはリグ...魔物の世界で何度も何度もアリスの邪魔をし、アリスに狂った愛情を押し付けてきたやつだ。まさかこのタイミングでこいつが現れるとは...とアリスは完全にリグの存在を忘れていていた。



「ああ...アリス...アリス...」



「なんかこいつお前の名前呼んでるぞ」



「こいつ私のこと好きみがいなんだけど...なんか気持ち悪いの」



「まあ...みてれば普通じゃないことはわかるな」



「何でそんな事言うんだよおおおおおおおおおおお!!」




「あと、私たち付き合ってるの」



「おちょちょ!おい!!」



そう言いながら抱きつくアリスに、何だかまんざらでもないアンバーグ。そして再び突然ヒステリックに叫び出すリグ。「だったら...」と小さな剣を取り出す。明らかにやる気満々と言う感じだ。おそらくターゲットはアンバーグだろう。前の戦いからあまりアリスを傷つけたがらない事はアリスにもわかっていた。



「さあ、来なさい」



「おい!」



「アンバーグは先に行って。わたしはこいつの相手をする」



「わかった!」



そのアリスの言葉で走り去る。リグは「ぐぐぐぐ...と言いながらアリスに襲いかかってきた。「はあっ!」と言う声を上げて肩を斬る。リグは「えへへありがとう...」と奇妙に笑っている。相変わらず気色の悪いやつだなとアリスは思いながらも攻撃を続ける。



「ふんっ!」



「ぐっ!」



リグの蹴りが炸裂しアリスの腹に当たる。すかさず探検を足に突き刺した。片方の足を攻撃され自由があまり効かなくなったアリスは床に座りながらも攻撃を続ける。そんな攻撃した気にせず、そこらじゅうからアリスの剣で血を流したリグはアリスに短剣で攻撃をして行く。



「ぐっ!」



「ああーアリスゥ〜痛かったかぁ?じゃあ直してあげるなあ」



そういうと緑の球が嵌まっている杖を出すと、何を思ったのかアリスを回復し始める。その光景にアリスは困惑の表情を浮かべる。



「じゃあ、もうちょっと遊ぼうねえ」



「何こいつ...」



「はあ!」


また攻撃を仕掛けるリグに剣で防ぐ。アリスは体を捻りながら攻撃を仕掛け体に直撃した。体から血を流しながらもリグはアリスに短剣をつきたてる。リグの攻撃も急所を外したとはいえ肩の近くに刺さり「ぐっ...」と言うケ声を出す。




「ああ〜痛かったなあ...治してやるなあ...」



「そう言うと肩の所の傷を治し始めた」



「アンタ...何がしたいの?」



「俺は傷ついたアリスを助けたいだけだよお...!」



「気持ち悪い...」



「ほら、治してほしいだろお?」



そんな気持ち悪いことを言うリグにもうどうしようもないと判断したアリスはスキル雷伝鬼を放つ。痺れているリグは無理やり体を動かしアリスに襲いかかってくる。




「うぐガッあああああああがガギャグギャ!何でだよお!!俺はアリスのためにいいいいいいいいいああああああああああ!!」



逆上したリグはアリスを押し倒し何度も探検を突き立てる。死なないように急所を外しながら短剣を何度も突き刺す。



「ああ...ごめんなあ。治してやるからなあ」



そう言いながら傷を治す。アリスがいきなり動きださないようにいくつか刺しては治してと言うのをただ見ているしかなかった。動こうにも傷のせいで動くことができないアリスを治しては傷つけてと言うのを繰り返すリグ。このループから抜け出せないのか...アリスがそう思っていた時だった。

リグの頭に矢が刺さりリグは倒れた。そこの立っていたのはアンバーグだった。



「アンバーグ!!」



「心配できてみりゃ...何やってんだよ」



「アンバーグ...」



「い、いや!俺はあのさっきのことが気になってだな!」



「さっき?」



アリスは何だか分からず首を傾げる。アンバーグはその言葉を口から出そうとするがなかなか言い出せない。何回か言おうとしたがいえずに「あーもういいや!何でもない!」と少し恥ずかしそうに言った。



「変なの」



「ほら、行くぞ!」



「動き出したりしないわよね?」



リグを見ながらアリスは少し心配そうにそう言う。それに対してアンバーグは「変なこと言うなよ」と返した。



「姿変えてまた襲いかかってきたりして」



「そんな縁起でもないこと...ないよな?」



チラッとリグの方を見るが遅いか買ってくる気配はない。頭に矢が刺さり完全に絶命しているのを確認し、アリスたちは目的地へと向かった。









「すごい...」



テティは中に入ると驚いてばかりだった。透明なチューブがそこらじゅうを巡っていてその中に少し薄型の乗り物が凄まじい勢いで飛び交っているのだ。その現代の車のようなものは数秒ごとに右へ左へ向かっている。



「何?どうなってるの?」




「お、こんな所にお客様か?珍しいな」



そう言って出迎えてくれたのは魔物だった。どこか見た事のあるような雰囲気の魔物だ。その魔物はテティを歓迎してくれてとある建物に誘導してくれる。そこにカウンターがあり一枚の紙が置いてあった。は無人だがそこには名前と思われるものがたくさん羅列してある。



「まずはここで名前を書くんだ」



「えっと...」



突然そう言われても何が何だか分からなかったが、その通りに羅列してある名前の最後に名前を描き終わるとその魔物は「よし!」と言いテティの方を向く。



「俺はユア。よろしく」



「テティよ」



「君はどうしてここにいるんだい?」



「それが...なんだかいきなり穴が現れて。そこに吸い込まれて...」



「アナザーホールだねそれは。アナザーホールは軸が歪むような事が起こるとまれに空いてここに辿り着くんだ」



「へえ...」



「でも大丈夫!!ここのは楽しいものがいっぱいあるから!」



外を見ると魔物だけではなく人間も歩いている。おそらくここに行き着いた魔物も人間ここで暮らしているのだろう。ユアは「あ、ちょっと席を離すよ」と言うと建物の奥にあるドアの中の入っていった。とりあえずまっていると一人の人間が近寄ってきた。



「助逃げろ!!」



「え?



「ここは地獄だ!!お前は早く逃げろ!!」



「えええ...???」

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