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百二十話 そこに居れる場所

3週間もお待たせして申し訳ありません!!


アリスは夢を見た。テティと一緒にいると、突然空に大きな穴が開いた。その穴は凄まじい勢いで吸引を始め、それにテティが吸い込まれると言うような夢だ。アリスは真な夢で飛び起き、辺りを見回す。そして夢だと分かると大きく安堵の息をついた。

アリスは着替えて外に出る。今日もいい天気だ。外ではたくさんの人が修復作業に明け暮れているあの姉妹の出来事から1日たち、今はもう平和な日常が戻ってきていた。



「アリスー!!」



「テティ」



テティの名前を呼ぶとテティは嬉しそうに周りを飛び回る。ふとあの夢の事を思い出してしまったが、所詮夢だろうと首を振った。



「今日はどこ行くの?」



「あの2人の様子を見に行こうと思ってね」



「そうね」



あの2人...今回の事件を引き起こしたネネとミミは流石にお咎めなしとはいかなかったがまあ境遇とかなんやを決めつつ、今は修復の手伝いをしているらしい。アリスは2人を見つけると「あ、いたいた!おーい!!!」と手を振りながら小走りで駆け寄って行く。ミミの方はアリスたちに気づくと手を振ってくれる。



「あ、アリスさんとテティさん」



「やっほー」



「何よ、昨日まで敵同士だったのに」



ミミは何だかむすっとしながらそう言う。そんな事を言い放ったネネに「もう、お姉ちゃんも嬉しいくせに!!」と言うとそれを強く否定された。




「んで、この子たちどうするの?」




「どうするって...ねえ?」



「もう何をされても覚悟はできてます。それぐらいの事はしました」



「まあね。今はミミがいればいいし」



「あら、アンタたちやけに仲がいいのね」



「あれから2人で話し合ってな」



「ねえ、あれ何?」



向こうからゾロゾロと何やら兵隊がたくさんこちらにやってくる。数は100はいるだろうか。その兵隊達はアリスたちを囲むと槍を向けてくる。突然の事にその場にいた者たちも武器を抜いて応戦しようとする。



「何だ?こいつら」



「やっちまうか?」



「ちょっと!」



一触即発という状態に赤い髪のメガネの女性がやってくる。この兵士たちとはえらい違いの重装備でお偉いさんという感じなのはすぐにわかった。

ポニーテールに大きな太い剣を大きな音を立てて地面に突き刺す。その突き刺された地面には剣が少しめり込み大きくヒビが入る。



「私はアネス。鉄の要塞アルカディオンの所長だ」



「鉄の要塞アルカディオン...どっかで聞いたような」



「ほら、ギルメラの時の」



「ああ、あのドカンを逃した猿警備の!!」



「ほう?なぜ知ってる?」



鉄の要塞アルカディオンはギルメラとの決戦の時にアリスとガーディスがドカンを脱獄させた監獄だ。もちろんあの時のガーディスの機転で誰が脱獄させたかは不明のままだ。そもそも判明していたらアリスたちも今頃あの監獄にいるだろう。

相当問題になったようで今もドカンは行方不明になっている。そのドカンが爆散したという最期を知っているのはガーディスと一部だけだけなので、そこに居なかったアリスもアネスももうドカンがこの世に居ない事を知る由もないのだが。


「ああ、風の噂でね」



「あそこはただの隔離場所だ。と言っても、最重要危険を隔離する場所だったがな」



「最重要危険...まあそうね」



「あいつと戦ったお前たちなら知っているだろう。アリスとテティ...だったか」



「私達の名前は知ってるのね」



「ああ、ドカン収容に貢献してくれたからな。おっと話が逸れたな。さて、ここに来た理由だが...。そこにいる2人を連行する。



「え?」



アネスの指差した先にいるのはミミとネネ。まああれだけ派手な事をしていれば目をつけられていただろう。アネスが「連れて行け!」と命令すると兵士がゾロゾロと向かって行った。それをアリスは両手を広げて遮る。



「待って!彼女達にも事情が...」



「事情!知らんな。こいつらはとんでもない事をしでかしてくれた。連れ行くべきだ」



「そんな!」



「文句があるなら...力づくでもいいが?」



「そうね」



「待って!!」



アリスが剣を抜こうとした瞬間、そう言ったのはミミだった。ミミとネネは抵抗する事なくアネスの元へと向かって行く。それに「なんで!!」とアリスもテティも声が出てしまった。



「いいよ。それほどの事をしたんだもん」



「そうね。楽しかったわよ。あんた達との戦い」



「ええ!」



「安心しろ。別にこいつらを取って食う訳でも無い。しばらくして更生すればまた会えるさ」



「でも...」



「また会いましょう」



「また会える日が来るのを楽しみにしてるわよ。アリス、それとテティ」



そう言うとネネとミミは連行されていった。ただその姿を見ているしかなかった。



アネス達が居なくなってもネネ達が去っていった景色をずっと見ているアリスとテティに、「アリス!!」という声がかかる。

後ろを向くとマブ達マックスヒーローズとヴェラード、それにルナもいる。



「あの姉妹は?」



「連れて行かれちゃった」



「えーもっと遊びたかったのにい。じゃあヴェラッチでいいやー」



「おいルナ!離れろ!!」



ルナがくっつくのを引きはがそうとするヴェラード。その姿を見てアリスはふふふと笑った。



「そうね、いつまでもクヨクヨしてられないものね」



「アリス...」



テティと別れる変な夢を見た。そしてミミとネネと別れた。だが別れもあれば出会いもあるとアリスは前を向く。









「はあー、危なかった。逃げてよかった。あのまま一緒にいたらあいつらみたいに捕まっていた所だったな」


ヌゥルは遠くなっていく街を見てそう呟いた。そこに誰かがやってくる。



「おや、あなたは利用するだけ利用してして捨てるのですか?」



「やあヘントール兄さん」



その恐竜の姿にスーツ姿はいかにもヘントールだった。ヘントールは弟に会えた嬉しさに少し嬉しそうな顔をしている。



「まあ兄さんみたいに裏方の仕事じゃ無いからね。しょうがない犠牲だったよ」



「それで、準備はできましたか?」



「ああ、あの馬鹿な姉妹のおかげでね。『アナザー』へと行く準備はバッチリさ...」

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