百十七話 姉と妹
「大丈夫なの？」
アリスがミミを心配するがミミは刺された場所を押さえながらもネネの方を向く。どうやら刺し違えてでもネネをとめるようだ。ネネは余裕そうにほくそ笑んでいる。
「アンタが私を止める？冗談でしょ？」
「冗談じゃない！！」
「っ...！まあいいわ。できるものならやってみなさいよ！！」
ネネは何体か石で作られたゴーレムを召喚しネネの方へと向かう。だが、ネネは槍をくるくると回しながらやってくるゴーレムを簡単に倒す。槍を持ちなおしミミの方へと勢いよく突っ走って行く。ミミはまた今度は鉄の盾を持った騎士を呼び出すとその盾を使って攻撃を防ごうとする。
「無駄よ！！」
そのネネの言う通りでその盾を簡単に貫いて槍はミミの方へと向かって行く。ミミは持っている杖で何とか槍を防いだ。ネネは距離を離さないように攻撃を続けて行く。ミミは近距離で攻撃を受け続けていると召喚ができない為距離を取ろうとするがもちろんその弱点を承知のミミは引っ付くようにミミのゼロ距離を保つ。
「あなたの考えなんてわかるわよ！姉妹だもの！」
「なら！！」
ミミは手に持っていた赤や青のボールを地面に向けて叩きつける。するとそのボールと同じ色の煙がもくもくと噴き出してくる。その煙はあっという間に立ち込めて２人の姿はすぐに見えなくなった
「煙幕...！小賢しいいことを！」
「今度はもっと強いのを！！」
そういうとミミは今度は巨大な象を呼び出した。その象はドシンドシンと大きな音を立てながらネネの方へと向かって行く。煙を巻き上げながら象の姿が見え一瞬驚いたような顔をしたネネだったが象の突進を槍を横にして防ごうとする。だがその重量級の一撃に耐えこれずネネは吹き飛ばされてしまった。
「そんな...攻撃っ！！」
「行って！」
その指示に象は再びドシンドシンとネネの方へと向かって行く。ネネは再び迫り来る象を横に避けて勢いよく跳ぶ。そして背中の方から槍で勢いよく突き刺すと象は簡単に倒れてしまった。
「大したことないじゃない。私に挑もうなんて100年早いっての」
「っ！！！」
「どうするの？その一番強いであろう奴を倒しちゃったわけだけど諦める？？？」
「諦めない」
その答えにネネは「そう...」とつまらなそうに呟いた。ミミは先ほどのゴーレムをまた2匹ほど呼び出すと、何をするのかと思いきや杖を突き上げ始めた。すると杖が光り始めて近くにいたゴーレム2匹がその杖の中に吸収されてしまった。ネネはじっとそれを見ていてしばらくすると今度は先ほどのゴーレムがさらに強そうな雰囲気になって現れた。体は銀色に輝き頭にはVの字のついたヘルメットのようなものを装着している。
「なあに？それ」
「魔結合...お姉ちゃんには一回も見せてなかったわね。これであのゴーレム達は一つになった。さらに強くなったってわけ」
「そう」
「行って！！」
その命令で合わさったゴーレムたちは勢いよくネネの方へと向かって行く。そんな突然の結合にも特に動じることなくネネは槍を振るう。だが、その体は2匹のゴーレクが合わさったものでとても硬くなっていてキン！という金属のような音とともに槍は弾かれた。
「へえ、少しはやるじゃない」
「さらに！！」
そこにミミはアリスの支援の時に使った補助の魔法を使いさらにゴーレムを強くしていく。アリスも、このゴーレムならばもしかして...！？と期待を膨らませていた。だがネネの方も攻撃を涼しい顔で避けていて何だか余裕そうだ。
「硬いだけで攻撃自体はそこまで強くないわね。硬いだけじゃ意味ないのよ？？」
「わかってるよ！」
そう言いながらミミがクイっと杖を上げると体が開いて中から何かが出てくる。中から出てきたのは少し大きめの銃口のようなもので何やらチャージをはじめた。
ネネはその何かの攻撃の準備を見てさすがにやばいものがくると思ったのか急いでゴーレムを仕留めようとする。だがその銃口すら固く全くと言っていいほど効いていない。ゴーレムは近くにきたミミを捕まえると溜めていたものを発射する準備に取り掛かる。ネネは振り解こうとするがその硬い手からは逃れることができず、一刻と発射の準備が完了して行く。そして少し大きめのキャノン砲をぶっ放す。
「すごい威力！！！」
「あんなのを至近距離から受ければ...！！！」
とても勢いよく放たれたその砲撃は地面をえぐり向こう側にあった街を全て吹き飛ばすほどのゼロ距離からのあの砲撃を受けてまっさらになっている。それほどの威力のものを喰らえばさすがに...アリスはそう思っていたが
「はーっ、結構危なかった」いいながら、ネネが煙の中から姿を現す。かなりダメージはいっていたはずなのだが割とピンピンしている
「あんな凄そうな攻撃を受けてあまり効いてないの！？」
「やっぱり...あれでもダメなの」
「んじゃ、返すね」
そういうと、ネネはくるくると槍を回転させながら空を突いて見せる。するとミミのゴーレムが放った砲撃と全く同じものがネネの槍から発射され、ゴーレムとその後ろにいたミミを巻き込んでしまう。
「ミミ！！」
「すごいでしょ？相手の攻撃を吸い込んで返すの。と、言っても全てを吸い込めるわけじゃないんだけどね」
「もう終わり？やっぱり倒した事ないのね。じゃ、とどめを」
そう言いながら倒れているミミの方へと走るネネを遮るように、アリスが割って攻撃をする。ネネはアリスの攻撃を槍で防いで後退する。
「やっぱあんたが来るのね」
「もう好きにはさせない」
「そう。まあ元々あなたと戦いたかったしいいわ。来なさい」
